Yahoo!ニュース

泉佐野市/今どきの街の『便利屋さん』の意外な実情。ネガティブ過ぎる“令和の頼みごと”にビックリ仰天

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

『便利屋さん』という言葉の響きすら懐かしいと感じる今日この頃。

わたしたちの街で活躍中の「おてつだい執事くん」をご存知ですか?

その存在に気づいたのは、もうずいぶん前のこと。

なんか今どき珍しい『便利屋さん』がおるなぁ…しかも男前、そんな印象。

『便利屋さん』って、ねじりハチマキしめて、腰に頭陀袋ぶら下げて、声ガラガラだったりしない?(勘違い?) ってかなりの偏見。ごめんなさい(それでもスーパーマンのようになんでもできる人)。

「.COMMUNE」で待ち合わせ

やって来たのは 南海泉佐野駅から徒歩8分ほどのところにある「.COMMUNE」。

古民家×ワーキングスペースという落ち着いた空間を提供してくれる全国的にも珍しい素敵スポット。

今回は、この場所でお話を伺います。

【参考記事】

築100年の秘密基地。あなたならどう使う?最大利用料一日1000円の自由な『居場所』とは

*「.COMMUNE」の利用料金は取材当時のものです。詳細は「.COMMUNE」公式ホームページ(外部リンク)をご確認ください

「おてつだい執事くん」ってどんな人?

「写真苦手なんすよぉ~」と天を仰ぐ おてつだい執事くん。

思っていたより “シャイ” な印象で横顔が南野 拓海 選手(サッカー)っぽい。

それでは、ざっと彼のプロフィールをご紹介します。

本名:川島 栄剛(かわしま えいご) 39歳独身(辛い過去あり)
血液型: O型 動物占い:ひつじ(“優しい”に決まってる)
趣味:映画鑑賞、ギター、絵、工作、料理、観葉植物、アウトドア、運動、楽しいことを考える
好きな映画:「マイ・インターン」「るろうに剣心」「マーベル作品」
特技:細かい作業、キャラクター考案、絵を描く、人と仲良くなる
性格:動物好き、おだやか、すぐ感動して泣く、気がきく、たまに人の話を聞いていない
経歴:12年間キャラクター玩具店に勤務(内8年間店長)。その後、三重で3年間フィギュアの原型師の職に就く。現在は、友人が経営するイベント設営会社に席を置き、街の便利屋さん「おてつだい執事くん」としても活躍中。

「O型」「楽しいことを考える」「動物好き」「すぐ感動して泣く」「たまに人の話を聞いていない」が、わたしと同じだぁ…とちょっと親近感がわく。

そして、やっぱり多趣味。なんでもできるんだろうなぁ。

きっかけは10代の頃の彼女へのサプライズ

昔から人を喜ばせることが大好きだった“おてつだい執事くん”こと川島 栄剛(かわしま えいご)さん。

『便利屋さん』になろう! と決めたきっかけは、10代の頃の彼女へのバースデイサプライズでした。

その年の彼女の誕生日は、部屋でまったりと過ごす計画を立てていた川島さん。

何か彼女が喜んでくれるようなサプライズができないかなぁ…と考えます。

そこで手を差し伸べたのが、川島さんのお姉さん(強力な助っ人登場!)。

ふたりが出かけている間に、煌びやかな装飾を部屋に施します(バルーンや『ハッピーバースデー!』のロゴなど)。

そんなことは露知らずの彼女。当然 殺風景(想像)な部屋が待っているとばかりに帰宅すると…

そこには、いつ誰がやったのかもわからない、自分を祝う「キラキラな世界」が広がっていました。わぁ! と飛び跳ねて喜ぶ彼女。

その瞬間、川島さんは“おてつだい執事くん”になることを決めたのです。

なんて素敵なお話。

(以下、呼び名は おてつだい執事くん)

1時間3000円。何ができるの? 何を頼めるの?

おてつだい執事くんへの依頼料は1時間3000円(延長20分ごと1000円)。

ここで、具体的に「過去のおてつだい事例」「おてつだい執事くんができること」について迫っていきます。

事例1. モノづくりや演出など

「この『ダストボックス』も僕が作ったんですよ」。

いきなりのレベルの高さにびっくり。

壁のグリーンの装飾も、癒しのコーナーも、本棚も、2階のテーブルも、「.COMMUNE」のロゴに至るまで。凄すぎる…

(画像提供「ヒトツナギ」)
(画像提供「ヒトツナギ」)

(画像提供「ヒトツナギ」)
(画像提供「ヒトツナギ」)

かなり器用、そして仕事が丁寧。

以前に取材させていただいた「古民家ファーム@上之郷」でのイベント「上之郷フラクタル」の演出も手掛けていたことを知り、「そういえば、あのイベントの演出も素敵だったなぁ」と当時を思い出します。

フラッグが可愛い「入場門」(画像提供「ヒトツナギ」)
フラッグが可愛い「入場門」(画像提供「ヒトツナギ」)

合鴨とたわむれる 心優しいおてつだい執事くん(画像提供「ヒトツナギ」)
合鴨とたわむれる 心優しいおてつだい執事くん(画像提供「ヒトツナギ」)

【参考記事】

“こんな場所を待っていた!”ヤギのエサやりや農業体験も。「古民家ファーム」で過ごす一日

フィギュアの原型師だったこともあり、モノづくりはお手のもののよう。

事例2. 大切なペット(家族)のお世話

ご主人様が2日間家を空けるということで、鍵を預かり、ネコちゃんの ごはん、お水の交換、トイレ掃除のおてつだい。

この依頼にはとても驚かされたと同時に「その手があったか!」と気づかされました。というのも家族同然のペットを置いて出かける旅行ほど忍びないものはありません。かといって、ご近所づきあいも希薄な今の世は「ちょっとお願い」とも言いづらい。

ネコちゃんは「自分の家」が大好き。

ペットホテルに預けるより、お値段的にも、ペットの心理面の配慮からも、グットアイデアだと感じました。

もちろん、信頼できるから任されたのだと思います。

ビックリ仰天の“令和の頼みごと”

「これは、まだ実際には受けていないのですが…」と少し口ごもる おてつだい執事くん。

「ご近所トラブルの手助けをしてほしい、という問い合わせがありまして…。

どうやらご近所さん同士でトラブルがあり、向かいの家にクレームの手紙を投函してほしいらしく…」。

そのネガティブ過ぎる依頼に驚きます。

ですが、おてつだい執事くんは、もし依頼があれば 内容を確認して「誹謗中傷」など 相手を傷つける内容でなければ受けるつもり、と話します。

考えてみれば、「公に誰かにお願いできれば苦労しないよ…」ということって、たくさんあるように思います。たとえば、うちの母も高齢で一人暮らし。

介護サービスを活用し、ご近所さんの助けを得て日々元気に暮らしています。

でも、「電球を交換してほしい」「雑草を抜いてほしい」「愚痴を聞いてほしい」など、生活をしていればありとあらゆる“ささやかな欲求”が積もります。“欲求は満たしたいけれど ご近所さんのご厚意に甘えてばかりはいられない”という想いは、日に日に増していくばかり。「ちゃんとお金を払って依頼をする」という“フェアな頼みごと”は、そんな小さなストレスを和らげてくれるような気がします。

先日発表された厚生労働省の日本の世帯数の将来推計によると、2050年に全5261万世帯の44.3%に当たる2330万世帯が1人暮らしとなり、うち65歳以上の高齢者が半数近くを占めるとのこと(厚生労働省HP「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」参照)。

泉佐野市も高齢者単身世帯数は増加傾向にあります。

「便利屋さん」の出番、今こそ!!

その他の依頼

他にも ハロウィン会場の設営やイベントの企画進行、草抜きや片付け、引っ越しのおてつだい(荷造り)など、その依頼は多岐にわたります。

男手がほしい…と子どもの遊び相手を頼まれたことも。

助かる~
助かる~

「おてつだい執事くんができること」の具体例はこんな感じ。

買い物のお手伝い・買い物代行・部屋の片づけ・家具組み立て・家具の移動・引っ越し荷物の受取・話し相手・付き添い・人数合わせ・お子様の面倒を見る・お子様と遊ぶ・夏休み工作手伝い・料理お手伝い・パーティーの準備・後片付け・サプライズ準備・キャンプの設営・サンタクロース役・鬼役など。
*お子様の対応は3歳以上となります。
*ご依頼にご対応できない場合もあります。
*犯罪に関するご依頼はお手伝いいたしかねます。

ある街の自治会長さんからの依頼で、ハロウィンイベントの企画・進行を任された際は、子ども達と一緒に「こども110番」の家にお菓子を持って行き、その場所を覚えてもらう計画を立てていましたが、その街には「こども110番」の家がなかったそう(残念!)。

このように、ただ依頼を受けるだけでなく、何かに繋がるような意味づけをしていきたい、と話す おてつだい執事くん。

おてつだい執事くんの想い

(撮影場所「.COMMUNE」)
(撮影場所「.COMMUNE」)

「社会貢献とか地域活性化とか、特に関心がなくて…。

それよりも困っている人を見たら放っておけない性分。

個人への想いが強いんです。

ある日の帰宅途中、ショッピングカートに2ℓのペットボトルをたくさん乗せて、大変そうにガタガタと押しているお年寄りを見かけました。見るに見かねて声をかけ、一緒に帰りました 笑。

海外では、子どもを預けて夫婦の時間や一人の時間を大切にする文化があり、そんな文化を日本で広めたい。サプライズを通して子どもに感動や喜びを感じてもらい、その子どもがそれを思い出し、自分の子どもにもしてあげたいと思ってもらえるような楽しい連鎖が続く気持ちづくりを目的にしています」。

そんな おてつだい執事くんですが、お断りする依頼もあります。

たとえば、パソコン修理やUSBのデータ回復など、CPは専門外。

他にもチャレンジしてみたけど出来なかったことも。その時は、お代金をいただかなかった、といいます(要相談)。

ご依頼の際は、意思のすり合わせを入念に。たとえば草抜き一つにしても「根こそぎ引っこ抜く」「時間を決めた中で出来るところまでやるか」など。

活動をはじめて2年。

「ありがとう」「助かったわ」と言われることが一番嬉しい、と話す おてつだい執事くん。

見かけによらず「格闘技経験者」という一面も。

「格闘技の練習相手もできますよ 笑。ミットを持ってくれる人いたらなぁ…とか、技もかけられます!」

おてつだい執事くんは今日もゆく。

そこに困っている人がいる限り…

【基本情報】
「おてつだい執事くん」
公式インスタグラム(外部リンク)
公式LINEワークス(外部リンク)←お仕事の依頼はこちらから
Tel:090-6550-3518(受付時間9:00~17:00)
料金 1時間 3000円(延長20分ごと1000円)
*おてつだい執事くんは「のんびり屋さん」のため、お仕事の依頼はお早めに手配されることをおススメします。
*依頼は先着順となり、お断りさせていただく場合もあります。
*延長に対応できない場合もあります。
*金額はすべて税込表示です。
取材協力 「おてつだい執事くん」こと川島 栄剛 様
撮影協力 「.COMMUNE」

ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

旅する日々の記憶と記録。matka08の最近の記事