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エンジェルスが手に入れた待望の先発投手は「ハイリスク・ハイリターン」。ハードボーラーではあるが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノア・シンダーガード Jul 30, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスが、ニューヨーク・メッツからFAとなっていたノア・シンダーガードと1年2100万ドルの契約で合意に達したようだ。ESPNのジェフ・パッサンらが、そう報じている。シンダーガードはメッツにクオリファイング・オファー(1年1840万ドル)を申し出られているので、エンジェルスは来年のドラフトで持っている指名権のうち、上から2番目を失う。

 シンダーガードは、29歳のハードボーラーだ。「ソー」のニックネームは、マーベルのキャラクター、マイティ・ソーからきている。スタットキャストによると、これまでの最速は102.1マイル。チームメイトになる、大谷翔平の最速よりも1.0マイル速い。通算254球の100マイル以上は、2015年以降の9位に位置する。シンダーガードの上にいる8人は、いずれもリリーフ投手。ちなみに、大谷の100マイル以上は18球だ。

 メジャーリーグ1年目の2015年は防御率3.24(150.0イニング)、翌年は防御率2.60(183.2イニング)。2018年も防御率3.03(154.1イニング)を記録した。その一方で、2019年は防御率4.28(197.2イニング)に終わった。また、2017年は7登板、2021年は2登板にとどまり、2020年は全休している。2017年は右の広背筋を痛め、2020年は開幕直前にトミー・ジョン手術を受けた。復帰した今シーズンは、9月28日と10月3日に1イニングずつ。計26球の最速は、96.1マイルだった。

 来シーズン、シンダーガードが復活を遂げれば、エンジェルスには大きなプラスとなる。トミー・ジョン手術後の大谷は、2020年の2登板を経て、2021年は130.1イニングを投げ、防御率3.18を記録した。ただ、必ずしもそうなるとは限らない。故障なく投げられたとしても、かつてのコマンドを取り戻せるかどうかは、球速以上に懸念される。

 現時点における、エンジェルスのローテーションには、大谷、シンダーガード、パトリック・サンドバルホゼ・スアレスの4人が並び、残る2枠か1枠は、ハイメ・バリーアグリフィン・キャニングリード・デトマーズが候補となる。まだ、2014年以来のポストシーズン進出を果たすのに、万全の顔ぶれとは言えない。今オフにエンジェルスが手に入れる、もしくは手に入れようとする先発投手は、シンダーガードだけではないはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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