台風26号発生 今年と似ている昭和42年は10月28日上陸
台風26号発生
台風26号が10月23日3時にマーシャル諸島付近で発生し、発達しながら北西進しています(図1)。
台風26号は、海面水温が29度以上という台風が発達しやすい海域を進むため、グアム島のあるマリアナ諸島付近で26日(金)には、猛烈な台風となる見込みです。
もし、台風26号が猛烈な台風となれば、台風3号、8号、21号、22号、24号、25号に次いで今年7個目の猛烈な台風となります。
統計のある昭和52年(1977年)以降では、昭和58年(1983年)の6個を更新します。
10月末に台風が日本に影響を与える可能性はほとんどありませんが、上陸台風は15年に1個くらいはあり、上陸しなくても停滞前線を刺激して大雨を降らせた台風もあります。
今年と似ている昭和42年(1967年)の台風34号の例もあり、台風は10月末でも油断できません。
昭和42年(1967年)の気象
今から51年前の昭和42年(1967年)は、くり返し厳しい寒波で寒冬となり北陸で大雪となりました。
梅雨は空梅雨気味であったものの、7月3日から10日にかけて、台風7号から変わった熱帯低気圧による暖湿気流によって梅雨前線が活発となり、長崎県佐世保市で1時間に125ミリの記録的な雨を観測しています。佐世保市、広島県呉市、神戸市などでは2日間で300ミリを超える大雨となっていますが、これらの三市は、背後に山地がある都市部で、大雨によって土砂崩れや鉄砲水が多発し、多くの犠牲者がでました。
このため、気象庁は「昭和42年7月豪雨」と命名しました。
8月は典型的な猛暑の夏となり、西日本と関東付近では月平均気温が記録的な高さになったところが多くでています。
しかし、8月末になると本州に秋雨前線が停滞して新潟・山形・福島方面に大雨が降っています。8月28日から29日にかけての新潟県北部と山形県の一部に豪雨、通称「羽越水害」では、新潟県の加治川の堤防が決壊したり、中小河川に沿う山々の山腹が各所で崩落したことによる土石流で、多くの死者を出しています。
盛夏期の台風発生数は、7月7個、8月9個の計16個と活発な発生数でした。
このように、昭和42年(1967年)の1月から10月は、平成30年(2018年)の1月から10月によく似ています。
そして、気になるのは、昭和42年(1967年)に台風34号が日本に上陸したことです。
昭和42年(1967年)の台風34号
今年と春から秋の気象状況が似ている昭和42年(1967年)は、10月24日頃には大きな高気圧が張り出しているので北東進して日本の南海上を通過すると思われていました。しかし、西進して沖縄本島の南東海上で停滞気味となり、27日にも本州南岸を進むのではという予報を裏切り、27日になって急に動き出し、北東進して10月28日3時半頃に愛知県の伊良湖岬に上陸しています(図2)。
そして、温帯低気圧に変わりながら発達したため、全国的に大荒れとなり、死者30名以上という大きな被害が発生しています。
また、台風34号は降雪をよんだ台風で、長野・群馬両県の県境から奥秩父一帯に、ところにより50センチの雪をふらせました。
台風情報の十分な活用を
昭和42年(1977年)頃、気象庁では気象レーダーを全国に展開していましたが、気象状況をきめ細かく、迅速に把握できるアメダスを持っていませんでした。アメダスの運用開始は、昭和49年(1974年)11月です。
また、広い範囲を連続的に観測する気象衛星「ひまわり」も持っていませんでした。「ひまわり」が最初に打ち上げられたのは、昭和52年(1977年)7月14日です。
台風の進路予報も、現在はスーパーコンピュータを用いた、精度の高い予報が5日先まで実施されています。しかし、昭和42年(1977年)当時の台風予報は24時間先までがやっとで、しかも精度は高くありませんでした。
台風26号は、発生したばかりということもあり、進路予報には不確実性をもっています。
このため、一般的には西進する台風の予報円は小さいのですが、台風26号は大きな予報円となっています。
とはいえ、台風に不意打ちはありません。必ず、南海上から接近してきます。
今後も最新の台風情報をご確認ください。
タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。
図1、図2の出典:気象庁ホームページ。