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社会人サッカーでカップル成立! 「良き場への参加」がすべてです~お見合いおじさん活動月報(7)~

大宮冬洋フリーライター
出会いが目的の場ではないところで出会う。そんな恋愛スタートが似合う人の話です

自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4名の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1名のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4名います。「私は婚活自体に向いていないことがわかった」と去って行った人も4名いますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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「男女1対1のお見合い」に難しさを感じる3つの理由

僕がオブザーバーになった1対1のお見合いを基本としているおみおじですが、なんだか自信を失いつつあります。カップルが成立したケースが1件もないからです。唯一の成婚カップルは、僕がセッティングした合コンで意気投合した男女が再び別に合コンを開催し、男性のほうがその場で別の女性と出会って交際して結婚した、というもの。僕は最初のパスを出したに過ぎません。

1対1のお見合いがうまくいかない理由は大きく3つあります。1つは僕のマッチング能力の欠如です。ありもしない「直感力」に従って紹介しているのですが、「まったくピンと来ませんでした」なんて言われてしまうケースが少なくありません。

理由の2つ目は、お見合いだと男女それぞれにプレッシャーがかかってしまうこと。どんなに和やかな雰囲気を演出しても、AくんとBさんをくっつけるという目的は歴然としています。すると、お互いが探り合いになったり緊張してしまったりするのです。自然な笑顔が出にくくなり、恋愛に発展しないことが増えてしまいます。これはお見合いだけでなく、婚活全般に言えるジレンマと言えるでしょう。

そして3つ目。これが一番重大です。我がオネットのメンバーはいずれも自立した社会人なので、特に女性は「大好きになれそうな人でなければ結婚を考えられない」と思っているのです。当然と言えば当然ですが、その姿勢ではなかなか前には進みません。「生理的に無理はわけではないんだよね? せっかくの機会なのだから何度かデートしてみたら? できれば一度は交際してみてほしい」と勧めているのですが、そんな勢いがあるのであればおみおじの助けなどは要りませんよね。

このような状況で僕たち既婚者がやれることは何でしょうか。それは場の設定です。合コンやお見合いパーティーのように独身男女が出会う目的の場でなくてもいい。むしろ、人と人が安心してのんびりと話せるような会を設けたり誘ったりするべきなのだと思います。そんな場であれば、僕たちお見合いおじさんのマッチング能力はあまり問われないし、参加者もリラックスして過ごすことができます。カップルが生まれてもいいし、生まれなくても全然かまわない。そんな空気感が必要なのだと思います。

サッカー好きの独身男性につぼいさんがナイスアシスト!

「大宮さん、聞いてください。同業の佐藤さんが僕のおみおじで彼女を見つけたんです!僕が紹介してあげた社会人サッカーチームで出会った女性です。これって、おみおじの成果にカウントできますよね?」

相方のつぼいさんから連絡があったのは今年の春のこと。イラストレーターの佐藤啓介さん(41歳)といえば、昨年の夏に僕はお見合いをセッティングしたことがあります(記事はこちら)。あのお見合いは成就しなかったようですが、秋にはデザイナーの由紀さん(39歳)と出会ったとのこと。つぼいさんのナイスアシスト、ですね!

「イラストレーターやデザイナーの仲間でサッカーができるのがとにかく嬉しくて参加しました。女の子もいたので良かったです」

相変わらず言葉少なですが、笑い顔で愛されキャラの啓介さん。つぼいさんによれば、サッカーはかなりのレベルとのこと。一方の由紀さんは完全に初心者。啓介さんは輝いて見えたことでしょう。

「私はのんびりしている人間なので、強引な男性は得意ではありません。優しそうな人が好きなので、啓介さんのことは最初からいいなと思っていました」

確かに啓介さんは強引とは正反対のキャラクターですね。仕事は精力的にがんばっていますが、恋愛に関しては良くも悪くも慎重かつ控えめです。

サッカーの休憩時間におしゃべりをしていたら、お互いにパン好きだとわかって話が盛り上がりました。啓介さんが住んでいる家の近くには有名なパン屋があり、後日、啓介さんはそのパンの写真をスマホで撮って由紀さんに送ります。でも、「食べにおいでよ」とは誘いません。由紀さんからデートの誘いがあるのを期待していたのでした。啓介さんみたいな独身男性は意外と多いかもしれませんね。

「デート 2日連続 可能性」でネット検索してみたら…

ただし、強引な男性が苦手な由紀さんは、啓介さんのようなタイプがちょうど良かったようです。由紀さんには「自分からデートに誘う」という勇気と行動力もあります。

「啓介さんからグイグイ来たら気持ちが引いてしまっていたかもしれません。『一番自然なデートの誘い方は何だろう?』と考えて、サッカーのシューズを一緒に買いに行ってもらうことにしました」

すると、買い物の前のランチ場所として、啓介さんは例のパン屋併設のレストランを予約してくれました。誘ったのは由紀さんですが、啓介さんもちゃんと準備してくれたのです。これなら由紀さんとしても脈ありだと安心できますよね。上野でシューズを買った後は新宿に移動。終電近くまで居酒屋で会話を楽しみました。

別れ際に次回のデートを約束。理由もなく「会いたいから」とはお互いに言えません。イラストやデザインに使われる専門的なPCソフトはたくさんあり、お互いに教え合うことにしたのです。日程はなんと翌日でした。場所は啓介さん宅。このテンポの良さが、恋愛にちょっと臆病な啓介さんを勇気づけます。

「ネットで検索してみたんです。『デート 2日連続 可能性』ですね。すると、2日連続で会ってくれる女性はかなり可能性が高いことがわかりました」

啓介さん、『電車男』みたいなことをやっていますね。自宅に来てくれるという時点で由紀さんの好意はわかりそうなのに……。でも、ネット検索結果で励ましてもらったおかげでデート2日目にして2人は結ばれたのでした。

ちなみに、啓介さんは由紀さんのストイックな仕事ぶりを尊敬して好きになったとのこと。素晴らしい話ですが、可愛らしい女性である由紀さんをもっと多角的に誉めてあげてくださいね。すでに恋人なのだから遠慮は要りませんよ。すでに同棲を始めている啓介さんと由紀さん。末永くお幸せに!

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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