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90年代ヒット曲セルフリメイクに注目 〜 hitomi「LOVE2020」、持田香織「まだスイミー」

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
hitomi:photo by avex

名曲は再びよみがえる。原曲を手がけたオリジナル・アーティストによるヒット曲の“リメイク”に注目が集まっている。

音楽は、記憶のタイムマシンだ。フレーズを耳にしただけで記憶の扉は解放され、当時の思い出や感情、匂いへ瞬時にアクセスする。Apple Music、YouTube Music、LINE MUSIC、Spotifyなど、定額制ストリーミング音楽サービスの普及によって新譜も旧譜もフラットにリスニングできる時代となった現代。かつて夢中になったナンバーがリアレンジされ、歌詞が少し変わるなどハッとする試みに注目が集まっている。いわゆる映画シリーズでいう続編であり、スピンアウト作品のような楽しめる物語的手法だ。

2020年、東京オリンピックも近づく昨今。hitomiが今年6月にリリースした人気曲「LOVE2000」のリメイク「LOVE2020」に着目したい。

原曲である「LOVE2000」は2000年6月28日に発売したhitomiの17枚目のシングル曲だ。2000年に開催されたシドニー五輪女子マラソン金メダリスト・高橋尚子の愛聴曲として話題となった。マラソンの練習中やレース前にこの曲を聴きながらテンションを上げていたという。その結果、約20年を経た現在でもランニングをテーマにしたプレイリストや、スポーツ系番組のBGMに選曲されるなどエバーグリーンな人気ナンバーとなっている。

hitomi本人がリメイクした「2020年」の歌詞は、原曲を大事にしながら約20年経った気持ちを“若い頃言われてた 今はだれかに言ってる 人の立場になって考えなと”、“20年経っていろんなことが 変わって私はここにある”など、現在の気持ちを織り交ぜ、新たにリリックをアップデートしている。“愛はどこからやってくるのでしょう”という問いかけとなる名フレーズの意味合いや、ラストに刻まれた答えにも大きな変化を感じた。20年越しのストーリーを感じる感動ポイントなので、ぜひ聴き比べて体感してほしい。

最近では、持田香織(Every Little Thing)がカンテレ・フジテレビ系のドラマ『結婚できない男』の続編として話題の『まだ結婚できない男』の主題歌として、当時の主題歌「スイミー」のリメイク「まだスイミー」をiTunes Store、レコチョクなどダウンロード配信サイトからリリースしたことも話題だ。作曲は、鬼才 東京エスムジカのコンポーザー早川大地。そんな名曲を、歌詞の一部を書き換え、クラムボンのミトによるキラキラしたアレンジによって2019年仕様で仕上げられている。

他にも、シンガー・ソングライター平松愛理が「部屋とワイシャツと私〜あれから」をリメイク・リリースしたり、DA PUMPが現在のメンバーで2000年発売のヒット曲「if...」や1998年発売の「ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~」などをアルバムでリメイク収録するなど枚挙にいとまがない。

リメイク曲といえば、ギネスにも認定されたTM NETWORKの「Get Wild」を36曲もの別ヴァージョンで収録した4枚組アルバム『GET WILD SONG MAFIA』が有名だが、ネット発音楽シーン、原曲ファンはもちろん新規ファンをも新たに巻き込むリメイク曲のリリースは今後もさらに広がっていきそうだ。

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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