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大型で非常に強い台風16号が伊豆諸島に接近 特に八丈島は厳重警戒

饒村曜気象予報士
太平洋洋上から見る八丈島(写真:y.tanaka/イメージマート)

八丈島へ台風16号接近

 大型で非常に強い台風16号は、海面水温が台風発達の目安となる27度以上の海域を進んでいますので、海面から熱と水蒸気の補給を受けています。

 このため、非常に強い勢力を維持したまま、10月1日(金)明け方から昼過ぎにかけて伊豆諸島、特に八丈島にかなり接近する見込みです(図1)。

図1 台風16号の進路予報と衛星画像(10月1日0時発表)
図1 台風16号の進路予報と衛星画像(10月1日0時発表)

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 台風の予報円は非常に小さく、この台風予報の信頼度が高いと考えられます。

 台風16号の中心付近では12メートル以上の高い波となっており、東北南部から西日本までの太平洋沿岸では、3メートル以上の高い波が入ってきます(図2)。

図2 台風16号に伴う波の高さの予報(10月1日15時の予報)
図2 台風16号に伴う波の高さの予報(10月1日15時の予報)

 24時間降水量は、八丈島で300ミリを超えるなど、伊豆諸島(特に八丈島)の雨が突出しており、関東地方で一番多い予想は、千葉県沿岸の150ミリです(図3)。

図3 24時間降水量予報(10月1日)
図3 24時間降水量予報(10月1日)

 伊豆諸島では猛烈な風が吹き、猛烈にしける所があるでしょう。

 また、非常に激しい雨が降って大雨となるおそれもあります。

 暴風や高波、大雨に厳重に警戒してください。

八丈島における大きな被害台風

 八丈島における大きな被害台風として、昭和13年(1938年)9月の台風と、昭和50年(1975年)10月の台風13号があります(表)。

表 昭和13年(1938年)の台風と昭和50年(1975年)の台風13号の記録
表 昭和13年(1938年)の台風と昭和50年(1975年)の台風13号の記録

 

 ともに八丈島近海を通過した台風ですが、今回の令和3年(2021年)の台風16号は、この2つの台風経路の間を北上しています(図4)。

図4 八丈島に大きな被害を発生させた昭和13年(1938年)の台風と昭和50年(1975年)の台風13号の経路
図4 八丈島に大きな被害を発生させた昭和13年(1938年)の台風と昭和50年(1975年)の台風13号の経路

 昭和13年(1938年)9月の台風(当時は番号なし)では、漁船の遭難で死者・行方不明者13人、負傷者33人、住家被害1016棟などの大きな被害が発生しました。

 また、昭和50年(1975年)の台風13号では、死者は0人であったものの、負傷者は85人、住家被害は2077棟6763人、樹木倒壊5万本などの大きな被害が発生しました。

 この時の八丈島の被害は55億円に上り、「有史以来の大きな被害」と言われました。

 接近する台風16号に十分備え、過去のような災害を発生させないことが重要です。

台風16号の通過後は

 10月1日の東日本から東北南部は、台風16号によって太平洋側を中心に暴風が吹き荒れ、激しく雨が降る所がある見込みですが、その他の地方は晴れる所が多いでしょう。

 ただ、西日本の日本海側と南西諸島ではにわか雨の所もありそうです。

 2日以降は、東・西日本と南西諸島は晴れの日が続き、北日本は晴れの日とくもり又は雨の日が短い周期変化をするでしょう。

 週末は台風一過の晴天となるところが多そうです。

図1、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図4、表の出典:気象庁資料より筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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