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今シーズンに達成されそうなマイルストーン[投手編]K-RODは史上6人目の快挙に迫っている

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランシスコ・ロドリゲス September 13, 2008(写真:ロイター/アフロ)

今シーズンに達成されそうな野手のマイルストーンを紹介した「イチローの3000安打と500盗塁だけじゃない。今シーズンに達成されそうなマイルストーン[野手編]」に続き、今回は「投手編」だ。なかでも、K-RODは史上6人目の400セーブに迫っている。

●勝利…次の200勝投手が出てくるのは早くて2018年か

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昨年4月のマーク・バーリーを最後に、200勝投手の誕生は今後しばらく途切れそうだ。現役トップ2のバートロ・コロン(ニューヨーク・メッツ)とCC・サバシア(ニューヨーク・ヤンキース)は200勝を超えているが、3位のジョン・ラッキー(シカゴ・カブス)は165勝なので、来シーズンの到達ですら確実ではなく、届かないままキャリアを終える可能性もある。バーリーに続いて200勝投手となるのは、ジャスティン・バーランダー(デトロイト・タイガース)か。バーランダーは現役ではラッキーに次ぐ157勝を挙げていて、37歳のラッキーよりも4歳若い。

ただ、今シーズンは何人かの150勝投手が出てくるはずだ。ジェイク・ピービー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)だけでなく、フェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)とザック・グレインキー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)の2人も、まず間違いないだろう。ブロンソン・アローヨ(ワシントン・ナショナルズ)は1勝どころか1球も投げず、このまま引退してもおかしくない。2014年7月にトミー・ジョン手術を受けたアローヨは、昨シーズンの全休を経て、今年1月にナショナルズとマイナーリーグ契約を交わしたが、3月半ばに肩を痛めてしまった。ジェレッド・ウィーバー(ロサンゼルス・エンジェルス)の到達は微妙なところだ。昨シーズンは1ケタ勝利ながら、それまでの9シーズンは少なくとも11勝を挙げている。だが、近年はもともと遅めだった速球がさらに減速の傾向にあり、今春は3月9日の登板で最速81マイル(約130.3km)しか出ず、「ジェレッド・ウィーバーの速球は高速道路の制限速度をわずかに超える程度」(FOXスポーツ/クリス・バー)と題した記事も出た。無所属のカイル・ローシュクリフ・リーのうち、昨シーズンを全休したリーは引退が濃厚だ。

●イニング…ニューヨークのベテラン2人は他のマイルストーンも達成

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サバシアもコロンも、遅くとも5月中には3000イニングに到達するだろう。2人のベテランは、他のマイルストーンにもリーチをかけている。サバシアは史上25人目の2600奪三振と22人目の2700奪三振が見えてきた。それぞれ、残すは26奪三振と126奪三振。アルコール問題を抱えていた昨シーズンも137三振を奪っており、後者も今シーズン中の達成は可能だ。サバシアは3000被安打(残り169)や300被本塁打(残り7)、900与四球(残り6)、100与死球(残り5)にも到達しそう。これらをマイルストーンと呼ぶのは躊躇われるが、長く投げ続けてきた証であることは間違いない。コロンは史上49人目の2300奪三振まであと63奪三振に迫っている。42人目の2400奪三振は難しいか。2004年以降は160奪三振に達したシーズンがなく、昨シーズンは136奪三振だった。

●セーブ…K-RODは前年と同数なら歴代4位タイに

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昨シーズン、ミルウォーキー・ブルワーズでクローザーを務めたフランシスコ・ロドリゲス(タイガース)は、トロイ・パーシバル(358セーブ)らを追い抜き、歴代順位を10位から7位まで上げた。今シーズンはいよいよトップ5入りが有望だ。6位のデニス・エカーズリー(390セーブ)のみならず、400セーブからさらに数を増やし、ビリー・ワグナー(422セーブ)とジョン・フランコ(424セーブ)を超えることもあり得る。昨シーズンと同数なら、フランコと並ぶ4位だ。ジョナサン・パペルボン(ナショナルズ)の400セーブは来シーズンになるだろう。2008年に62セーブを挙げたロドリゲスをはじめ、シーズン50セーブ以上は過去に15度記録されているが、パペルボンのキャリアハイは2008年の41セーブだ。ジョー・ネイサンは昨シーズンの開幕戦でセーブを挙げた直後に肘を痛め、4月下旬にトミー・ジョン手術を受けた。本人は今シーズンのカムバックを望んでいるようだが、どこかの球団と契約してマウンドに立てたとしても、セーブ機会を得られるかどうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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