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トップリーグ得点王の五郎丸歩、スーパーラグビーで「失敗したい」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
24日には3位決定戦に出場。神戸製鋼に26―22で勝利した。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

ヤマハの五郎丸歩が、今季の日本最高峰トップリーグの得点王とベストフィフティーンに選出された。各種表彰式典があった1月25日、都内で取材対応。今季を振り返り、2月以降のスーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)への挑戦などについて語った。

16チーム中3位で戦い終えたチームにあって、リーグ戦7試合で83得点をマークした。3季ぶり3度目の得点王受賞となった。ベストフィフティーンに輝いたのは5季連続5回目だった。

今季は2015年9、10月に日本代表の副キャプテンとしてワールドカップ・イングランド大会に出場した。同国史上初の3勝を挙げ、ラグビーブームを巻き起こした。試合や練習の合間に、各種イベントやメディア出演をこなした。

シーズン終了後は、スーパーラグビーのレッズへ加入。であるオーストラリアはクイーンズランドへの転居に際し、ヤマハで1日1時間程度の英会話のレッスンを受け続けている。

以下、取材時の一問一答の一部。

――得点王に輝いた。

「結果が一番、大事。タイトルを獲れたのは大きいと思います。3冠(得点王、優勝、最多の成功率でもらえるベストキッカー賞)を獲りたいと、もらいたかったのですけど。(ベストキッカー賞に輝いた)べリック・バーンズさんは90.91パーセント…。上には上がいるということで。いいモチベーションができましたね」

――メディア出演が続いた。辛さは。

「ありますよ。タイトルを獲らなきゃいけないと自分にプレッシャーをかけていましたし。最初(帰国後)は(ファンの反応は)『出てくれてありがとう』でしたが、次第に『いつまで出ているんだ』になる。(周りの声に)波は、あります。大事なのは、自分が何をしなければならないか(を認識すること)、です。

僕のなかでは2015年のワールドカップに集中して、帰国後は国内のラグビーに集中しようと思っていた。ところが、実際はその2倍、3倍近く、きつくなって。ただ、そんなタフななかでもラグビーができたことはいい経験ですし、人生のプラスに捉えて…。またスーパーラグビーにもチャレンジしますし、そこでも色々な失敗をしたり。かけがえのない時間になると思います」

――タフな状況を乗り越えられた要因は。

「仲間の支えですね。チームのスタッフなども助けてくれました。本当に感謝しています」

――以前、「トレーニング時間を犠牲にしても発信の場を増やした方が…」といった意味合いの発言をされていましたが。

「練習量は皆と同じ。そうなると…家族との時間を犠牲にするしかないですね。…そんな環境のなか、ラグビーがこれだけ取り上げられましたし、2019年に向けてはいいスタートを切れたかなと」

――今季、成長した部分。

「あまり、僕のなかでは変わっていないイメージです」

――物事に動じなくなった、など。

「動じなくもないんですが…。成功しようが失敗しようがチャレンジしようという気持ちは、前よりも強いかもしれないです」

――2016年の日本代表への思い。

「いまは、ないですね。先のことは、誰もわからないです。まずは引っ越し、レッズで練習、ジャージィを着ること…。そこが目の前のターゲットです」

――レッズ入りへの期待感と不安感は。

「もう、すぐですね。あっという間に来ました。不安もありますけど、楽しみでもあります。色んな楽しみがありますよ。僕は海外で生活したこともないですし、1つひとつもチャレンジですね」

――12月6日、熊本のうまかな・よかなスタジアムでのコカ・コーラ戦(トップリーグ第4節、38-28で勝利)は後半27分に途中交代。当時の怪我の状況は。

「握力、なかったですね(左手の故障)。接触プレーで、です。それでもスケジューリングされていたので、(翌日以降のメディア出演やイベントなどを)キャンセルするわけにもいかず。チョイスは、なかったですね。アサヒビールの会見の時(の写真など)を見てもらえればわかりますが、手、ゴム手袋みたいになっていますよ」

――症状としては、打撲か。

「皆、興味ありますね」

――手…。

「ま、次に行きましょう」

――ベスト15にも選ばれた。キヤノン在籍の現役南アフリカ代表、ウィリー・ルルーら実力者を抑えての受賞です。

「15番にこだわりがあるので、名だたる選手を抑えて選ばれたのは嬉しいですね」

――改めて、スーパーラグビーに向けての準備は。

「まずは、休みたいですね」

――休めるのですか。

「休めません(周囲、笑う)」

――スーパーラグビーのイメージは。

「速いですよね、展開が。インプレーの時間も長いし、タフな試合が続くでしょうね。キックの部分は期待されていると思うので、そこでチームの力になれるように努力はしたいです」

――(当方質問)チームのスタッフとのやりとりは。

「スケジュールに関するメールがcc(一括送信か)で来ていますが…何と書いあるのか(周囲、笑う)」

――チームから、プレシーズンゲームの出場へのリクエストは。

「そういうものはないです」

――開幕までに、どれくらいの試合に出ておきたい…などのイメージは

「…待ってください。(苦笑しながら)開幕戦に出る前提で喋ってますか。そんなに、簡単ではないですよ。少し、休みます」

――開幕戦(2月27日、シドニーでワラタズと対戦)への意識は。

「意識はしないです。手の状況もそれほどよくはないので」

――(当方質問)ファンの方は、日本拠点のサンウルブスとの対決(5月21日、サンコープでの第13節)を楽しみにしています。

「そこは、出ないと非難されるでしょうね。…そのあたりまでには、コンディションを上げていきます」

――改めて、海外でどんな経験をしたいか。

「成功より、失敗がしたいです。日本にいるとなかなか失敗することがなくなりましたが、海外でいっぱい失敗して、最後はそれを成功に繋げたいですね」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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