トップリーグ得点王の五郎丸歩、スーパーラグビーで「失敗したい」【ラグビー旬な一問一答】
ヤマハの五郎丸歩が、今季の日本最高峰トップリーグの得点王とベストフィフティーンに選出された。各種表彰式典があった1月25日、都内で取材対応。今季を振り返り、2月以降のスーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)への挑戦などについて語った。
16チーム中3位で戦い終えたチームにあって、リーグ戦7試合で83得点をマークした。3季ぶり3度目の得点王受賞となった。ベストフィフティーンに輝いたのは5季連続5回目だった。
今季は2015年9、10月に日本代表の副キャプテンとしてワールドカップ・イングランド大会に出場した。同国史上初の3勝を挙げ、ラグビーブームを巻き起こした。試合や練習の合間に、各種イベントやメディア出演をこなした。
シーズン終了後は、スーパーラグビーのレッズへ加入。であるオーストラリアはクイーンズランドへの転居に際し、ヤマハで1日1時間程度の英会話のレッスンを受け続けている。
以下、取材時の一問一答の一部。
――得点王に輝いた。
「結果が一番、大事。タイトルを獲れたのは大きいと思います。3冠(得点王、優勝、最多の成功率でもらえるベストキッカー賞)を獲りたいと、もらいたかったのですけど。(ベストキッカー賞に輝いた)べリック・バーンズさんは90.91パーセント…。上には上がいるということで。いいモチベーションができましたね」
――メディア出演が続いた。辛さは。
「ありますよ。タイトルを獲らなきゃいけないと自分にプレッシャーをかけていましたし。最初(帰国後)は(ファンの反応は)『出てくれてありがとう』でしたが、次第に『いつまで出ているんだ』になる。(周りの声に)波は、あります。大事なのは、自分が何をしなければならないか(を認識すること)、です。
僕のなかでは2015年のワールドカップに集中して、帰国後は国内のラグビーに集中しようと思っていた。ところが、実際はその2倍、3倍近く、きつくなって。ただ、そんなタフななかでもラグビーができたことはいい経験ですし、人生のプラスに捉えて…。またスーパーラグビーにもチャレンジしますし、そこでも色々な失敗をしたり。かけがえのない時間になると思います」
――タフな状況を乗り越えられた要因は。
「仲間の支えですね。チームのスタッフなども助けてくれました。本当に感謝しています」
――以前、「トレーニング時間を犠牲にしても発信の場を増やした方が…」といった意味合いの発言をされていましたが。
「練習量は皆と同じ。そうなると…家族との時間を犠牲にするしかないですね。…そんな環境のなか、ラグビーがこれだけ取り上げられましたし、2019年に向けてはいいスタートを切れたかなと」
――今季、成長した部分。
「あまり、僕のなかでは変わっていないイメージです」
――物事に動じなくなった、など。
「動じなくもないんですが…。成功しようが失敗しようがチャレンジしようという気持ちは、前よりも強いかもしれないです」
――2016年の日本代表への思い。
「いまは、ないですね。先のことは、誰もわからないです。まずは引っ越し、レッズで練習、ジャージィを着ること…。そこが目の前のターゲットです」
――レッズ入りへの期待感と不安感は。
「もう、すぐですね。あっという間に来ました。不安もありますけど、楽しみでもあります。色んな楽しみがありますよ。僕は海外で生活したこともないですし、1つひとつもチャレンジですね」
――12月6日、熊本のうまかな・よかなスタジアムでのコカ・コーラ戦(トップリーグ第4節、38-28で勝利)は後半27分に途中交代。当時の怪我の状況は。
「握力、なかったですね(左手の故障)。接触プレーで、です。それでもスケジューリングされていたので、(翌日以降のメディア出演やイベントなどを)キャンセルするわけにもいかず。チョイスは、なかったですね。アサヒビールの会見の時(の写真など)を見てもらえればわかりますが、手、ゴム手袋みたいになっていますよ」
――症状としては、打撲か。
「皆、興味ありますね」
――手…。
「ま、次に行きましょう」
――ベスト15にも選ばれた。キヤノン在籍の現役南アフリカ代表、ウィリー・ルルーら実力者を抑えての受賞です。
「15番にこだわりがあるので、名だたる選手を抑えて選ばれたのは嬉しいですね」
――改めて、スーパーラグビーに向けての準備は。
「まずは、休みたいですね」
――休めるのですか。
「休めません(周囲、笑う)」
――スーパーラグビーのイメージは。
「速いですよね、展開が。インプレーの時間も長いし、タフな試合が続くでしょうね。キックの部分は期待されていると思うので、そこでチームの力になれるように努力はしたいです」
――(当方質問)チームのスタッフとのやりとりは。
「スケジュールに関するメールがcc(一括送信か)で来ていますが…何と書いあるのか(周囲、笑う)」
――チームから、プレシーズンゲームの出場へのリクエストは。
「そういうものはないです」
――開幕までに、どれくらいの試合に出ておきたい…などのイメージは
「…待ってください。(苦笑しながら)開幕戦に出る前提で喋ってますか。そんなに、簡単ではないですよ。少し、休みます」
――開幕戦(2月27日、シドニーでワラタズと対戦)への意識は。
「意識はしないです。手の状況もそれほどよくはないので」
――(当方質問)ファンの方は、日本拠点のサンウルブスとの対決(5月21日、サンコープでの第13節)を楽しみにしています。
「そこは、出ないと非難されるでしょうね。…そのあたりまでには、コンディションを上げていきます」
――改めて、海外でどんな経験をしたいか。
「成功より、失敗がしたいです。日本にいるとなかなか失敗することがなくなりましたが、海外でいっぱい失敗して、最後はそれを成功に繋げたいですね」