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化学メーカーの1日の仕事内容は?役職と仕事内容の関係は?

TOUYA化学系研究者

これから化学メーカーを目指す学生にとって、化学メーカーの一日の仕事内容が気になる方も多いと思います。ここでは化学メーカーの研究開発職として勤務する私が、役職別の一日のスケジュールについてご紹介します。

まずはいろいろな経験を:新人研究者の仕事内容は?

新人研究者は入社一年目の研究者で、on the job training (OJT) をしてくれる直属の先輩と一緒に行動して社会人研究者としての基礎を学びます。

企業の研究はチームで一つのテーマに取り組むことも多いため、まずはOJT担当者と一緒に実験することで他人と歩幅を合わせる訓練をします。

新人研究者の一日のスケジュールは?

そんな新人の一日のスケジュールはこんな感じです。

  • 9:00 メールチェック
  • 9:20 OJT担当者と一日の流れを確認して実験
  • 12:00 昼食・休憩
  • 13:00 実験の続きや課内庶務など
  • 16:00 課内会議用資料の作成
  • 17:45 帰宅

新人の頃は他部署との会議にはあまり参加せず、基本的には課内での会議が中心となります。そのため会議頻度は少なく、2日に1時間くらいです。

実験の内容もチームで決めた実験が9割を占め、残りの1割が上司と相談して決めた自分専用の研究テーマに取り組みます。当時の私は、自分の研究テーマは好きにスケジュールを調整できた一方で、チームで研究する難しさを痛感しました。

ぜひとも学生時代に、一人での研究の仕方はマスターしておきたいですね!

実務の主力部隊:若手研究者の仕事内容は?

若手研究者は入社2年目から6年目くらいの研究者で、複数の研究テーマの実務をひたすら行う主力部隊です。

若手研究者の研究テーマの多くは、事業化が決定している商品開発など上層部が決めたテーマを扱うことが多い印象です。実際私も3年目には商品開発のテーマに取り組み、自分で設計した商品を世に送り出す仕事を経験しました。

新規テーマを行う時間があまりなくてがっかりする方も多いと思いますが、お金を生む商品を自分で開発できるのは貴重な経験だったなと今でも思います。大学時代の研究も教授が用意したテーマに取り組んでいる方も多いと思うので、若手研究者が1番学生時代の研究のやり方に近いかもしれません。

中堅研究者の一日のスケジュールは?

そんな若手研究職の1日のスケジュールはこんな感じで、新人の時よりも業務量が増えて帰る時間が遅くなります。

  • 9:00 メールチェック
  • 9:20 実験
  • 12:00 昼食・休憩
  • 13:00 実験の続き
  • 18:00 会議用資料の作成
  • 19:00 帰宅

若手研究者になると他部署と関わる機会も増えるため、必然的に会議も増えてしまいます。1日2時間くらいは会議に費やすため、膨大な実験と資料作成を時間内にこなさなくてはなりません。

課外向けの資料は、新人が作成する課内向け資料よりも丁寧に作る必要があるため、資料作成時間も新人研究者よりもかかってしまう場合が多いです。。

実際私も新人研究者の場合は1時間もあれば資料は作成できたのですが、課外向け資料は平均して3時間くらいかかってしまいます。若手研究者は業務量が急激に増えるので、上司から若手研究者は修行の時期だと言われます。

それでも大学院時代より拘束時間は短いのでご安心ください!笑

新規実験とマネジメントの両立が求められる:中堅研究者の仕事内容は?

中堅研究者は入社7年目から14年目くらいまでの研究者で、新人研究者や若手研究者のマネジメントも行いつつ、新たな事業開拓のための新規実験を行います。

中堅研究者は、0→1のビジネスを立ち上げるための研究テーマを考える仕事を求められるため、学生さんがイメージしやすい所だと助教授に近いかもしれません。

中堅研究者ともなるとただ実験をして良い結果を出すだけでなく、商品を上市するために必要な手続きもしなくてはなりません。これは社内決済、法律申請、契約書締結などです。

中堅研究者にもなると全ての業務をこなすようになるため、ようやく一人前の研究者になったと言えると思います。

中堅研究者の一日のスケジュールは?

そんな中堅社員の1日のスケジュールはこんな感じで、実験に費やす時間はとても短くなります。

8:30 メールチェック

  • 9:00 1つ目の会議
  • 10:00 2つ目の会議
  • 11:00 3つ目の会議
  • 12:00 昼食・休憩
  • 13:00 実験
  • 15:00 4つ目の会議
  • 16:00 会議用資料の作成
  • 18:00 書類作成
  • 19:00 帰宅

このように実験から離れはじめるのが中堅社員で、ここから一つ昇進すると管理職のような上級職になるようなイメージです。しかし10年後も実験したいという方は、上級職として主任研究員のような研究に特化した上級職もあるので、研究が本当に好きな方は研究にずっと打ち込める制度を用意している企業が多いと思います。

まとめ:化学メーカーの1日の仕事内容は?役職と仕事内容の関係は?

今回は、研究開発職の役職別の仕事内容と1日のスケジュールについて紹介しました。

より化学メーカーについて詳しく知りたい方は、私の過去の記事をご覧ください。

過去の記事①「化学メーカーって本当にホワイト?福利厚生は良い?
過去の記事②「一部上場の化学メーカーに就職するには学歴や研究歴って重要?入社後の配属にも影響する?

化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの医学系研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。科学やAIを活用したお役立ち情報を書いていきます!

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