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【富田林市】朝採り新鮮イチゴを市価より安く!プロもこぞって買いに来る、佐備の大人気野菜直売の南農園

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

例年ならイチゴの季節として地物のイチゴが旬というところですが、この冬は全国的にイチゴが不作気味なのだそうです。先日もあるスィーツ屋さんが、例年の名物にしていた大玉イチゴの値段が高騰していて、そのスィーツが作れないと嘆いておられました。

そのような状況ではありますが、幸せなことに富田林では、地元産のイチゴが旬を迎え、手に入りやすくなってきています。

私は仕事柄いろんなお店にも取材に行くのですが、複数のスィーツ店で「南農園さんのイチゴを使っています」と伺いました。気になって詳しく聞いてみると、富田林の東條地域佐備に南農園さんの直売所があるとか。

しかもそこでは、その日の朝に採ったばかりの新鮮イチゴが手に入るとのこと!その他の野菜も新鮮そのもの、しかも安いと聞いたので、さっそく行ってみることにしました。

南農園さんの直売所の場所ですが、公共交通の場合は富田林駅から上佐備バス停まで乗れば、目の前に見えています。

看板があります。みつばち交配も気になりますが、それ以上に「朝取りいちご」と、当日の朝収穫したものが販売されていると明記されています。

店の横には専用駐車場があり、見た限り3・4台の車が置けるようになっていました。

こちらが南さんの農園直売所です。中に入り先代さんからお話を伺うと、この店を始めたのは今から30年くらい前なので、平成の初め頃のことだそうです。当時はこういう直売所が周囲になかったということで、直売所の先駆的存在だったのですね。

それまでの農家はできた作物をJA(農協)に買い取ってもらっていましたが、形の良しあしなどで、それを受け付けてもらえないものもあったとか。しかし、味的には全く問題のないものであったため、それらを独自で販売しようということから直売所を始めたそうです。

店内の様子です。本当にたくさんの種類の野菜が販売されていました。すべて南農園さんの畑の作物。毎朝採りに行き、そのお野菜を10時から販売開始するとのこと。一応午後4時30分が閉店ですが、無くなり次第終了なので、早く終わることもあるようです。

こちらがお目当てのイチゴです。取材時は14時でしたが、1パックを除いて既にすべてが予約品とのこと。この時のものは、河内長野にある奥河内くろまろの郷さんに卸すそうです。

その他にも南農園さんのイチゴは、この直売所での販売のほか周辺の道の駅などにも置いてあります。また、和菓子店、ケーキ屋さん、飲食店などとも取引していたり、直接購入に来られているようです。

みかんも豊富にありました。

しっかり大きい白菜ですね。珍しい紫色の白菜もあります。しかし、大玉1個で200円とは!直売品はとにかく安いです。

ニンジンや青菜なども採れたてのためか、見た目からしてイキイキしています。ついつい衝動買いしてしまいました。

本当に種類が多いのですが、南さんはご家族を始め、パートの人を合わせて6人体制で店と畑を運用しているとか。また土日になると農業大学の学生さんが手伝いに来てくれているそうです。

大豆や切り干し大根などの乾物、南農園さんのおばあちゃんが作る手作りお漬物も!別のコーナーには、こんにゃくもありました。野菜に関するものは、何でもありって感じです。

新米も販売しているのですが、南さんは米に関しては、かつてすごい場所に献上したことがあるそうです。

それを店内に飾っていました。驚いたことに東京の皇居まで行って上皇陛下が天皇陛下の時代に、お米を献上したとか。2013(平成25)年で、先代の時代にあったできごとで、大変名誉なことですね。

ちなみに、6年前に現代表の南信宏さんに代替わり。それ以降も、なにわ農業賞を受賞するなど、農業に対する功績を残しています。

南農園さんの直売所では、農産物の発送の手続きもしてくれるそうです。

さて、ここで代表の南信宏さんに、イチゴ農場を案内してもらうことになりました。

南農園さんの農園は、佐備川の東側の小高い場所にありました。ここには複数のビニールハウスがあります。南さんによれば、イチゴはビニールハウスで栽培されているとのこと。

私は今まで市内にある海老芋の畑とか、他の自治体ですが、小さな農家さんの畑にお邪魔して、いろんな農作物を拝見したことがあります。しかし、いずれも露地栽培(ろじさいばい)とよばれる屋外で栽培している人たち。

今回はビニールハウス栽培の模様を拝見することになりました。正直ビニールハウスそのものに初めて入るので、どんなふうになっているのか期待が高まります。

だからビニールハウスの外の部分も気になります。何台もの液化炭酸ガスのボンベが置いてありますね。

なぜこういうものがあるかと言えば、特に冬場の場合、締め切ったハウスの中は光合成に必要な二酸化炭素(CO2)が不足しがちになるとか。

だから二酸化炭素をビニール内に補充することで、作物の成長を促進。作物の増収につなげたり、さらには品質の向上につながったりするそうです。

このあたりは代々みかん山だったそうで、50年ほど前からイチゴを作り始めたとか。30年ほど前から造成してハウス栽培を始めたそうです。

さて、入ってみましょう。入口に防犯カメラがありますが、残念ながら心無い人がいるらしく......。

露地栽培なら出来心とか(それもダメですが)ありそうですが、ビニールハウスに侵入するとは明らかに確信犯ですね。

さて中に入りました。ときおり冷たい風が吹いていた外の寒さと中の温かい温度の違い、それから中には風が全くないというギャップに驚きました。

15アールの広さで、1万株のイチゴを栽培しているとか。圧巻のイチゴ畑に息をのむ思いです。

よく見ると、イチゴの実がなっているのがわかります。しかしこれでもイチゴが不足気味とか。

畑をよく見ると、いつでも収穫できそうな赤いイチゴと、まだ青いイチゴ、これから大きくなろうとしている小さなイチゴなどがあります。南農園さんで栽培しているイチゴの品種と特徴をお伺いすると次の通りです。

  • もういっこ → 濃い甘さ、中が白い
  • 恋みのり → あっさりしていて中が赤く、香りが良い

イチゴの実の横に花が咲いていました。南さんによるとビニールハウスのイチゴ栽培は3毛作とかで、3回イチゴの花が咲き実がなるそうです。今の分の収穫が終われば、次は花の咲いているイチゴの実がなるとのこと。

「イチゴ狩りはしないのですか?」と聞いたところ、昔はしていた時期があったそうですが、今は行っていないとか。イチゴ狩りをすると、どうしても畑が荒らされる結果となり、イチゴそのものの品質に影響が出るんだそうです。

「最近はイチゴ栽培も水耕ですることが多いけど、やっぱり土の方が味が良くなるんですよ」と南さん。しかし、しゃがんで作業をすることになる土からの栽培は重労働で、腰に負担がかかるのは事実。

「大変だけど、お客さんは美味しいイチゴを求めているから、そこは妥協できない」と、南さんは熱く語ってくれました。

さて、ビニールの中には意外なものがありました。これは蜜蜂の巣箱。イチゴの受粉のために飼育しているそうです。つまり看板に書いていた「みつばち公配」とはこのことだったんです。

余談としてハチミツが取れるのかと質問すると、南さんは首を横に振り「イチゴの花からの蜜は残念ながらほとんど取れないんです」とのことでした。

また南さんは、極力農薬を使わないことにもこだわっていました。ただ農薬を使わないと本当に小さな虫が発生してしまいます。そこでその対策のために画像の真ん中にあるバンカーシートと呼ばれるものを使うとか。「天敵の虫、ダニを食べるダニなんです」と南さん。

無農薬へのこだわりは消費者にとってはうれしい限りですが、無農薬だと見た目がよくなかったり、いろいろ問題点もあるとか。なので、最低限だけ使用するように努力されているんだそうです。

苗は別の場所で栽培し、それをこのビニールハウス畑に植えています。米から出るもみ殻をたい肥にすることで、土の状態を良くしているとかも伺いました。

「SDGs ( エス・ディー・ジーズ:持続可能な開発目標 )みたいですね」と質問したら、「それが世間から叫ばれる前からウチはやっているんですよ」と、南さんは胸を張っていらっしゃいました。

南さんはいちご以外の農作物を生産されているので、せっかくの機会ですから別の畑も拝見させていただくことにしました。

こちらはレタスなどの菜っ葉類のビニールハウスです。イチゴ同様に入った瞬間、圧巻でした。

見た目からして青々としていて勢いのある葉っぱの数々。本当に元気に育っているのがわかりますね。

こちらはナスビのハウスとのことです。

まだ、土が耕された状態で何も植えられていません。間もなくナスビの苗を植えて、栽培する予定だとか。

こちらに植える予定であるナスの苗がありました。先ほどの畑に植えて、本格的な栽培が始まるわけですね。

「こんなに元気な葉っぱの勢い、家庭菜園とは違う」と思わずプロに失礼なことを漏らしてしまいましたが、この苗が将来美味しいナスビを作ってくれることには間違いありません。

こうして畑の見学が終わりました。

ところで南農園さんでは、イチゴの家庭菜園用の苗まで販売していました。一瞬迷いましたが、イチゴ畑を拝見した直後。どれだけ頑張っても、やはりプロの南さんのイチゴには到底かなわないと、止めておきました。

ということで、衝動買いしてしまった南さんの農作物です。でもスーパーより安くて美味しそう。食べるのがとても楽しみです。

こちらが購入した、先ほどのビニールハウスで取れたイチゴです。今年は例年と比べて不作とのことなので、非常に貴重品。心していただこうと思います。

南さんの家の南農園(外部リンク)
住所:大阪府富田林市佐備1055-1
電話番号:0721-34-3146
営業時間:10:00~16:30
定休日:水曜日 
アクセス:近鉄富田林駅からバス、上佐備バス停から徒歩1分

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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