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ドジャースはQOを申し出ていればビューラーを引き留めることができた!? レッドソックスとの契約は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウォーカー・ビューラー(中央手前)Oct 30, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ウォーカー・ビューラーは、ロサンゼルス・ドジャースからFAになった。ドジャースは、ビューラーにクオリファイング・オファー(QO)を申し出なかった。

 QOは、FAとなる直前にその選手を保有していた球団が提示できる、1年間の再契約だ。年数だけでなく、その金額も、年俸上位125選手の平均と決まっている。今オフのQOは、1年2105万ドル(2025年)だった。

 QOを申し出られた選手のリストは、こちらに記載した。

「テオがクオリファイング・オファーを受け入れてドジャースに残留する可能性は0%!?」

 来シーズン、ビューラーは、ボストン・レッドソックスの投手としてマウンドに上がるようだ。ヤフー・スポーツのラッセル・ドーシーやESPNのジェフ・パッサンによると、1年2105万ドルの契約で合意に達したという。

 報道のとおりだとすると、この契約は、年数も金額もQOと同じだ。ドジャースがQOを申し出ていれば、ウォーカーが受け入れた可能性もあったように見える。

 ただ、ビューラーがレッドソックスと交わす契約には、パフォーマンス・ボーナス(出来高)がついているらしい。パッサンは、それについて、最高250万ドルと報じている。QOに出来高などをつけることはできない。

 また、ローテーションの一員として投げるチャンスは、それぞれの顔ぶれからすると、ドジャースよりもレッドソックスのほうが高い。ちなみに、今オフ、ドジャースにはブレイク・スネル、レッドソックスにはギャレット・クローシェイが加わっている。

 2度目のトミー・ジョン手術から復帰した2024年に、ビューラーは、75.1イニングを投げ、奪三振率7.65と与四球率3.35、防御率5.38を記録した。ポストシーズンの4登板は、15.0イニングで奪三振13と与四球5、防御率3.60。6失点(自責点6)の2イニング目を除く14イニングはゼロを並べ、最後の1イニングはワールドシリーズを締めくくった。上の写真は、その直後だ。

 このポストシーズンの投球を「復活」と謳うには、サンプル数として少ない気がするが、ビューラーは、実績もある。2018~21年の4シーズンに564.0イニングを投げて記録した奪三振率9.89と与四球率2.19は、このスパンに400イニング以上の75人中、18位と14位。防御率2.82とFIP3.16は、4位と8位に位置する。2025年のシーズン年齢(6月30日時点)は30歳だ。

 FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 なお、ビューラーは、来シーズンが終わるまでに延長契約を交わさない限り、再びFAとなる。レッドソックスで1シーズンを過ごした後にドジャースへ戻ってくることも――今のところ、可能性は低そうだが――あり得なくはない。レッドソックスが低迷した場合、夏のトレードで放出され、その移籍先がドジャースということも起こり得る。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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