究極の「一発屋」として、このまま姿を消すのか。昨シーズンは30本塁打&球宴選出ながら…
8月24日、金銭トレードにより、ダニエル・ボーゲルバックがシアトル・マリナーズからトロント・ブルージェイズへ移籍した。その5日前にマリナーズの40人ロースターから外され(DFA)、現在はブルージェイズの40人ロースターにいるものの、試合に出場できる28人のアクティブ・ロースターには入っていない。
昨シーズン、ボーゲルバックはブレイクした。2018年まで通算61試合で4本塁打だったのが、2019年は144試合に出場し、30本のホームランを打った。夏には、オールスター・ゲームのメンバーにも選ばれた。けれども、今シーズンは18試合で2本塁打。昨シーズンも打率は.208と低かったが、今シーズンは1割にも達してない。53打数5安打、打率.094だ。
ブレイクから急転直下の不振、というわけではない。昨シーズンも、前半戦の21本塁打(打率.238)に対し、後半戦は9本塁打(打率.162)。7月25日以降の50試合は、5本塁打(打率.157)だった。スライダーとカーブを苦手としていることが、知れわたったようだ。
ブルージェイズで出場機会を得られるのかどうかも、定かではない。一塁とDHには、ブラディミール・ゲレーロJr.とラウディ・テレーズがいる。ボーゲルバックが昇格するのは、同じ左打者のテレーズが、故障するか、今以上に打てなくなった場合くらいだろう。
現在、ボーゲルバックは27歳。まだ引退する年齢ではないが、このままメジャーリーグから姿を消せば、究極の「一発屋」になりかねない。
調べたところ、30本塁打以上のシーズンがありながら、通算本塁打がその倍に届かず、60本未満でキャリアを終えた選手は、皆無だった。最少は、ジョージ・クロウ、リック・ウィルキンス、アイク・デービスの通算81本だ。3人とも、30本塁打のシーズン以外に、少なくとも1度はシーズン二桁を記録している。例えば、デービスは2012年の32本の他に、2010年と2014年が二桁。それぞれ、19本と11本だ。
現時点における、ボーゲルバックの通算本塁打は36本。2018年が4本、2019年が30本、2020年はここまで2本だ。この通算本数は、現役選手を含めても、シーズン30本塁打以上を記録したなかで最も少ない。
ちなみに、シーズン30本塁打以上が1度しかなかった選手のうち、通算の本数が最も多いのは、431本のカル・リプケンJr.だ。他に11人が、通算300本以上のホームランを打っている。