藤井聡太竜王、名人挑戦なるか?挑戦争いは激戦に-第81期順位戦A級中間展望-
23日(金)の対局をもって、第81期順位戦A級は年内の対局を全て終えた。
挑戦争いは、藤井竜王(20)が5勝1敗でトップを走り、永瀬王座(30)・豊島九段(32)ら5名が2敗で追う展開に。
残留争いは、名人経験者の佐藤(康)九段(53)や佐藤(天)九段(34)が厳しい状況に追い込まれている。
ここまでの戦い、そして今後の展望を解説する。
挑戦争いは藤井竜王が一歩リード
唯一の1敗は藤井竜王。2戦目に初黒星を喫したが、そこから4連勝と波に乗った。
4局とも非常に安定した内容で実力をいかんなく発揮している。
藤井竜王はここから豊島九段(7回戦)、永瀬王座(8回戦)と2敗勢との直接対決が続く。どちらも大きな一番だが、特に後手番で迎える永瀬王座との一戦が名人挑戦に向けて最大の試練といえそうだ。
永瀬王座、豊島九段ともに藤井竜王に対する敗戦は挑戦争いからの脱落を表す。必勝の気合いで臨むだろう。
藤井竜王を追う4勝2敗勢はなんと5名。これはかなり珍しい展開だ。
前期挑戦者の斎藤八段(29)は名人戦敗退以降なかなか調子が上がらないが、それでも勝ち越しまで持ってきたのはさすがといえる。
第35期竜王戦七番勝負で藤井竜王と激闘を繰り広げた広瀬八段(35)も2敗で藤井竜王を追う。残り3戦はすべて2敗勢との対戦で、挑戦争いのカギを握る存在になりそうだ。
A級唯一の振り飛車党、菅井八段(30)も2敗で追っている。なんといっても藤井竜王に勝った星が光る。
ここから2戦は挑戦争いに絡まない2名との対戦だ。直接対決を繰り広げるライバルを横目に、気がつけば挑戦争いの中心に立っている可能性もある。
名人経験者がピンチに
残留争いで最も厳しい立場にいるのは全敗の佐藤(康)九段だ。次戦に負けると降級が決まる。
残留には3連勝がほぼ絶対条件だろう。ただ3戦のうち2戦が直接対決となるので、ライバルをたたきながら星を重ねればまだ可能性はある。
その佐藤(康)九段と7回戦で対戦する佐藤(天)九段も厳しい立場にいる。名人経験者の二人が崖っぷちに立たされているのも、A級の厳しさを示している。
佐藤(天)九段は残り3戦で最低でも2勝が必要だろう。
前期最後まで挑戦争いに加わった糸谷八段(34)も未だ1勝と苦しい戦いが続いている。
ラスト2戦に直接対決を控えており、そこで勝ち星をあげられないとかなり危ない状況になりそうだ。
3勝3敗と指し分けの稲葉八段(34)も前期成績に基づく順位が悪いため、まだ安心できない。
最終戦に挑戦争いでトップに立つ藤井竜王との対戦が待つだけに、早めに一つ勝って安全圏に逃げ込みたいところだ。
今後のスケジュール
1月11日(水):糸谷-菅井、佐藤(康)-佐藤(天)
1月12日(木):永瀬-広瀬
1月13日(金):稲葉-斎藤
1月18日(水):藤井-豊島
2月1日(水):8回戦一斉
3月2日(木):9回戦一斉
年明けは11日に再開する。残留争いに大きな動きが出るだろう。
その後も連日対局が組まれており、一日ごとに状況が目まぐるしく変わりそうだ。
なお最注目の藤井竜王-豊島九段は、12月26日現在で日程が発表されていない。
(※追記:26日午後に、1月18日に行われることが発表された)
そして2月1日に8回戦、3月2日に最終9回戦が行われてクライマックスを迎える。
挑戦争いは藤井竜王が残りを全て勝たない限りプレーオフの可能性が高い。
すんなり3月2日に挑戦者が決まるとは限らないのだ。
藤井聡太竜王を追う次世代の昇級の行方は?ー第81期順位戦B級1組~C級2組中間展望ー
22日の記事でB級1組~C級2組について解説した。
記事内でも書いたように、10~12日にほぼ全てのクラスの対局が行われる。1月9日の週は、順位戦の対局が目白押しだ。
将棋ファンにとって寝不足の続く一週間となるだろう。
果たして藤井竜王の名人挑戦なるか。いつも以上に注目度の高い順位戦A級の戦いを今後もご注目いただきたい。