赤いSuicaと青のSuica? Suicaって緑じゃないの? それってお得?(さらに追記あり)
※ご指摘を受け、本文途中に「オレンジのSuica」等の追記をしました(掲載日)
※さらにご指摘を受け「赤いSuica(カードタイプの)」は実はあった!という追記をしました(7/16)
Suicaといえば緑のはずが 「赤いSuica」「青いSuica」?
キャッシュレス決済、電子マネーの利用件数や利用シーンではトップクラスにあるのがSuicaです。JR東日本が発行しており乗車券として先に普及したICカード形式のSuicaだけでなく、スマホに設定するモバイルSuicaでも利用できます。
Suicaといえばペンギンのキャラクターと緑のカラーが印象的です。しかし、「赤いSuica」「青いSuica」もあることをご存知でしょうか。
「カップラーメンじゃあるまいし! だってそんなカード、見たことがないよ!」という人は半分正解です。なぜなら赤いSuicaや青いSuicaの「ICカード」は存在しないからです。(※実は赤いSuicaがあったので下記に追記しました)
それぞれ「楽天ペイのSuica」「みずほ銀行のSuica」です。そしてどちらもスマホに設定するモバイルSuicaの形式を取っています。
実はSuicaが独自に発行するスタイルを崩しているのはとても珍しいことで、特に楽天との提携は話題となっています。
しかし、この2つのSuica、お得なのでしょうか。
※追記1 「緑以外のSuica」については、「水色のSuica」としてりんかい線のSuicaがあります。また「オレンジのSuica」として東京モノレールの発行するSuicaがあります(ただし現在はオレンジではなくむしろ緑色のデザイン)。これらはカードタイプで発行されます(オレンジのモノレールSuicaは発行終了)。あと「緑のSuica」と簡単に言い切っていますが、もちろん本家Suicaは黄緑系ですね。「赤いきつねと緑のたぬき」になぞらえたかったので、「緑」と言い切ってますことはご容赦を。
※追記2 ICカードタイプの「赤いSuica」ですが、実はありました! 訪日外国人観光客向けに発行している「Welcome Suica」がそれで「日の丸をイメージした赤をバックに、白い桜の図柄が映えるデザイン(JR東日本HPより)」なので、赤いSuicaで間違いありません。ちなみにこのSuica、デポジットの500円がなく、28日間のみ有効、帰国時には持ち帰り歓迎という特殊な仕様です。空港最寄り駅やターミナル駅だけで販売されています。詳しくはこちらを参照してください。情報提供ありがとうございました。
楽天のSuica、みずほ銀行のSuica レアキャラだがそれぞれに魅力あり
○青いSuicaことMizuho Suica
まず「青いSuica」です。これは「みずほWallet for iOS」というアプリを活用して実現します。
このアプリ、みずほ銀行のモバイルバンキングユーザーが活用するもので、「Smart Debit」と「Mizuho Suica」という支払い方法を設定することができます。ただし、アプリはiPhone用のみ提供されています。
スマートデビットのほうはQUICPay+の仕組みを使ってコンビニ等で電子マネー支払いをする仕組みです。こちらは銀行預金残高から直接支払われるのでチャージが必要ありません。ただしポイントもつきません。
みずほSuicaのほうは一般的なモバイルSuicaのようにふるまいます。あらかじめチャージして利用するのもSuica的ですが、みずほ銀行口座からチャージする限定仕様です。
こちらはJREポイントが貯まります。みずほSuicaの発行はJR東日本となっているからです。
管理は面倒になりますが、普通のモバイルSuicaとみずほSuicaを同時に設定することもできるようです。
○赤いSuicaこと楽天のSuicaは
さて赤といえば楽天のシンボルカラーです。赤いSuica、いつもの緑のSuicaを見慣れている人にとってはインパクトのあるイメージです。
先ほどのみずほはiPhoneのみですが、こちらは逆にAndroidスマホのみになります。楽天ペイ(楽天のQRコード決済)のアプリをまず設定し、そこからSuicaを発行することになります。
ただし、Suica発行のためには楽天カードが必要になります。楽天ペイ自体は楽天カード以外のクレジットカードでもチャージ用にひもつけすることもできるのですが、Suica連携についてはカードが楽天のものに限定されるわけです。
なお、すでにモバイルSuicaが発行されている場合、楽天ペイアプリからSuicaへチャージする連携(もちろん楽天カードを指定する)の設定を行うこともできます。
楽天カードからSuicaのチャージで楽天ポイント(0.5%相当)が貯められることになります。プレスリリースでは「楽天ポイント」をSuicaにチャージすることも将来行えるようになるとのことです。
ところでiPhoneユーザーの場合、楽天ペイアプリから設定をすると、楽天カードを使ってモバイルSuicaにチャージ、楽天ポイントを貯めることができます(赤いSuicaにはならない模様)。
Viewカード+通常のモバイルSuicaとどっちが魅力的?
さて、青いSuicaと赤いSuicaを解説したところで、「これは緑のSuicaと何が違うんだ?」という問題が生じます。お得度合いを整理してみましょう。
○ViewカードとモバイルSuicaではダメ?
まず、普通にモバイルSuicaを設定して、普通にJR系のクレジットカードであるViewカードを発行するとどうなるでしょうか。
この場合、ポイント還元率は1.5%になります。ViewカードについてもビックカメラSuicaカードにしておくと年1回の利用で年会費も無料になります(基本年会費は524円)。
また定期券の発行などはモバイルSuicaのみで、青いSuicaも赤いSuicaも定期を作ることはできません。グリーン車席もやはり、緑のSuicaのみとなります(「緑」の席だけに!)。
となると、すでにViewカードを持ってモバイルSuicaを利用している人にとっては、赤いSuicaも青いSuicaもあまり魅力はないことになります。
また、今はViewカードを発行していない場合であっても、普通にJRを利用して通勤して、Suicaを利用している人はモバイルSuicaへの切り替えとViewカードを発行したほうがお得といえます(ルミネやニューマンなどのJR系駅ビル利用が多い方は年会費1048円かかっても5%オフになるルミネカードという手もあります)。
となると、あまりJRの利用が少ない人、基本的には日常使いとしてコンビニやスーパーなどのSuica決済を想定している人、にとって赤いSuicaや青いSuicaの利用シーンが考えられます(もちろん必要であれば、普通にJRに乗ることもできます)。
○楽天ペイと赤いSuicaの違いは?
もうひとつ、比較で気になるのは「楽天ペイ」と「赤いSuica」の差別化です。赤いSuicaを普通に設定すれば、それは楽天ペイの設定をするのと基本的にセットになるからです。
楽天ペイはQRコード決済のひとつです。QRコード決済の普及率はSuicaにはかなわないため、利用したくても利用できないシチュエーションが時々あります。そうなると「楽天ペイと赤いSuicaの併用」はアリということになります。
ところが、Android系スマホには楽天Edyも設定できます。こちらはFeliCaチップを使う決済方法としてはSuicaのライバルそのものです。そしてほとんどのお店ではSuicaも楽天Edyもどちらも対応していることが多いのです(トータルではSuicaのようが使えるお店は多い)。
差別化がはっきりしておらず、ちょっとわかりにくさがあるという印象です。
結論としては緑のSuicaが最後は勝つ?
もちろん、こうしたメリットデメリットは青いSuicaも赤いSuicaも承知のことでしょう。
それでも「みずほ銀行の預金者にワンストップでSuicaチャージを提供する」とか「楽天経済圏に暮らしている人に、楽天ポイントにSuicaの利用分も集約できる」というようなメリットをユーザーには提供できれば価値あり、と見ているのではないでしょうか。
一方で、これ以外の「○色のSuica」というのはあまり考えにくいように思います。たとえば、nanacoやWAONがSuicaとクロスオーバーすることは考えにくいですし、わざわざPayPayやd払い等と組むことも考えにくい感じもします(といって、何が起きるか分からないのがこの業界ですが)。
結論としては「緑のSuica」で困ることはなさそうです。しかしみずほ銀行の預金者や楽天のヘビーユーザーであれば、「青いSuica」「赤いSuica」をセットしておくのも悪くないと思います。