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現役夫婦世帯の年収や貯蓄の実情をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
就業者がいる夫婦世帯の年収や貯蓄は世帯主の年齢でどこまで違うのか(写真:イメージマート)

就業者がいる夫婦世帯の年収や貯蓄はどのような状況なのだろうか。世帯主の年齢でどこまで違いが生じているのか。その実情を総務省統計局の調査「家計調査」の貯蓄・負債編における公開結果から確認する。

今件における「勤労者世帯」とは、世帯主が勤め人の世帯を意味する。ただし社長などの役員は「勤労者以外」と定義されている。例えば世帯主が役員、個人営業世帯、無職世帯(年金生活を営み、世帯主が働いていない場合も含む)などは今件データでは勘案されていない。また「(年間)収入」とは税込み収入(実収入)で、特記がない限り世帯員全員の実収入を合計したものとなる。要は世帯収入。

まずは年間収入の推移。

↑ 年間収入(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2022年)
↑ 年間収入(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2022年)

↑ 年間収入(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)
↑ 年間収入(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)

世帯主の年齢が上がるにつれて収入も増加するのは、年功序列制度、そして実績・経験の積み重ねによるもの。一方で60歳以上では、定年退職をした後に(退職前と比べて安い賃金で)嘱託などで雇われた人、さらには前職とは関係のない場所でアルバイトに従事し、年金・退職金の補てんをする人などが含まれるため、平均的な「収入」は落ちることになる。

一方、2002年以降の中期的動向として、各年齢階層で右肩下がり、つまり収入の漸減傾向が見受けられた。他方、その流れに反する形で2013年以降は60歳以上の層以外で上昇の動きが生じている。若年層世帯の年収増加は喜ばしい状況に違いない。なお60歳以上の額が漸減しているように見えるのは、「60歳以上」における、より高齢≒低収入の世帯数・比率が増加しているからに他ならない。ただし60歳以上においても、この2年ほどは上昇に転じているように見える。

次に貯蓄額。これは負債を勘案せず、純粋な貯蓄の額(預貯金だけでなく、生保の掛け金、有価証券、さらには社内貯金、共済などの貯蓄の合算。そして世帯主個人ではなく、世帯全体の貯蓄である)。借金がいくら多い世帯でも、貯蓄額だけの値が示される。例えば住宅ローンのある世帯では数千万円単位の負債を抱えている場合もあるため、「貯蓄額数百万、負債総額数千万」との事例も想定されるが、この事例でも「現在貯蓄額」は数百万となる。

↑ 貯蓄額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2022年)
↑ 貯蓄額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2022年)

↑ 貯蓄額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)
↑ 貯蓄額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)

60歳以上の値が2007年に急上昇しているのが目にとまる。いわゆる「団塊の世代」が定年退職を迎えるにあたり、退職金を手にした人が急増したことによるものと考えられる。

一方でその他の年齢層は横ばいから下降の傾向にあった。これは年間収入と同じ動きといえる。景気の低迷が年間収入や貯蓄にも微妙な影響を与えていることになる。他方、年間収入同様に2013年以降は一部年齢階層で増加の動きを示している。ただしその対象となるのは30代から50代で、29歳以下は対象外となっていた。2016年以降では29歳以降が一時的ながら急激な伸びを見せ、底上げしたのは好ましい話に違いない。

全体像としては、額面上で上から順に年齢階層が下がっている並びを見せていることから、経年による蓄財の結果が、そのまま数字に表れる形に違いはない。つまり「年齢を重ねるに連れてその分だけ貯蓄額も増えていく」、言い換えれば「若年層ほど蓄財年数が少ないので、貯蓄額も小さい」となる次第である。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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