五郎丸歩が語る ヤマハ開幕3連勝、2019年ワールドカップ日本大会【ラグビー旬な一問一答】
今秋、ワールドカップイングランド大会の日本代表で副キャプテンを務め、大会のベストフィフティーンに選ばれた五郎丸歩は、11月28日、日本最高峰であるトップリーグのリーグ戦・第3節に出場。ヤマハのフルバックとして先発し、最も活躍した選手へ贈られるマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。
会場は静岡・エコパスタジアム。2019年のワールドカップ日本大会のゲームがおこなわれる50000人収容のスタジアムで、この日の公式入場者数は「13051人」を記録した。
チームは前半12分に先制されながら、15分に五郎丸のトライとコンバージョンゴールで7-5と逆転。以後はNECのテンポある攻めを受けながらも、接点でのターンオーバーやまとまったスクラムなどの持ち味を発揮。39-19のスコアで開幕3連勝を決めた。
以下、試合後の五郎丸の共同会見時の一問一答(一部、編集)。
――(当方質問)試合の感想。
「NECさんに先制点は取られましたが、チームとして動揺することなく、我慢強く、自分たちのプレーを出せたと思います。あまり、パニックをしなかったですね。試合のなかで修正ができましたし、強みのフォワードも前面に出せました。最後は点差も開いた。そういったところでは、非常に満足しています」
――トライは、テレビマッチオフィシャルでボールをインゴールにつけていたかの確認がなされた末に判定。
「グラウンディング(ボールを地面につける動作)ができている感覚はありました。ただ、ラインの上に置いているかは、わからなかったですかね」
――開幕3連勝。
「結果として連勝できていることはチームとしてプラスになっています。ただ、冷静に分析するとまだまだ足りないところがある。まだまだ先を見られるチームではないので、1戦1戦しっかりと戦って、結果としてチャンピオンを取れたら、と思います」
――イングランドと日本。ワールドカップ開催会場を比べて。
「僕らも(イングランドでは)3万人規模のところでしか試合ができなかったのですが、日本のワールドカップの会場はかなり大きな規模のスタジアムが多い。そこが満員になると、選手としては嬉しいと思います。ティア2(世界上位国であるティア1よりランクが下とされるチーム)と呼ばれるレベルの国が、そういった環境(大規模スタジアム)でできるということは、イングランドではなかった。日本の大会では、スタジアムに多くの方へ足を運んでいただいて、素晴らしい環境のもとで各国代表の選手たちをおもてなししたい。その環境づくりのため、僕らとしては、グラウンドでいいパフォーマンスを出し続ける」
――会場のプレーのしやすさは。
「やりやすいですね。日本の芝は世界で一番だと思います。イングランドでは多少緩かったり、人工芝がミックスされていたりする。日本の芝は非常に素晴らしい環境で育っていますし、手入れもされている。これは世界に誇れます」
――4年後のワールドカップ会場で試合ができたことは。
「まず、僕がワールドカップに立つかどうかもわからない。ワールドカップ関係なしに、このエコパスタジアムで試合をするのは初めて。いい環境で試合をさせてもらったと思います」
――女性ラグビーファンや女子ラグビーについて。
「ラガール(女性ファン)と言われている方々が増えていると知っていただける機会はいっぱいある。ワールドカップでラグビーを知った方も多いと思う。いま、東京の秩父宮(ラグビー場)では、女子(7人制日本代表)がオリンピックをかけた戦いをやっている。
キャッチフレーズが『次に世界を驚かせるのは、私たち』。『ラグビーみたいな激しいスポーツは男子しかできない』という固定観念があるなか、彼女たちが勝つことは、女子ラグビーの素晴らしさを伝える機会になると思います。まずは結果を出して、オリンピックの切符を手にしてほしいです」
――きょうの観客数について。
「やり方によってはもっともっと集まると思います。我々も魅力あるラグビーを伝えていきたいです。この会場での試合は、間違いなく(統括団体の)ワールドラグビーの関係者は観ていると思います。ヤマハがプレーするからお客さんが入ってほしいというだけではなく、4年後の静岡に素晴らしい好カードを持ってくるためにも、きょうは素晴らしい環境でできることを示す場でした。今回は集客ができていない。まだまだ情報の発信が足りないですね。まず、チケットが売り切れているということが頭にあると思うんです(開幕前に複数の試合で前売り券が完売も、当該の会場に空席が目立った)。ここからは皆さん(報道陣)のお力添えが必要です。まだ、チケットはあります」
――12月6日の第4節。熊本のうまかな・よかなスタジアムで、兄の亮選手がいるコカ・コーラと対戦します。
「まずはチームが努力するように努力すること。個人的には…。(ほほえみながら、冗談の口調で)兄との対決がラストになるかもしれないので、思い切りやりたいです」