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日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ、ワールドカップ候補選手発表(前半)【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ワールドカップ初戦まで、「時間はいくらあっても十分ではありません」。

ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は6月29日、都内で会見。4年に1度のワールドカップ(イングランド・9月)に向けた第3次候補メンバー(詳細下記)を発表し、今後の指針も明らかにした(後半はこちら)。

6月26日まで宮崎で合宿を張っていた日本代表は、7月6日からキャンプを再開。12日からの北米遠征中はパシフィック・ネーションズカップ(PNC)でカナダ代表、アメリカ代表、フィジー代表と順に戦う(その後は同大会の順位決定戦もあり)。ワールドカップでは予選プールで南アフリカ代表、スコットランド代表、サモア代表、アメリカ代表とぶつかる。

以下、ジョーンズHCによる公式会見の様子。

「ワールドカップへ向かって、次のステージへ進みました。6月、宮崎で非常にいい合宿があり、選手たちのストレングスが上がりました。フォワードの仕事量、バックスのスキルが上がりました。

ボールを持っていないところの動きでも向上が見られました。次は北アメリカでのツアーがあります。それに対し、37名の選手を選びました。そのうち6人(2~7月の南半球最高峰スーパーラグビーでプレーしていた選手)は途中で合流します。時期はコンディションによります。7月6日、彼らの状態を見て判断します。

PNC。ジャパンは全てを勝ちに行きます。ただ、それよりいい機会と捉えています。選手を成長させ、ワールドカップの戦略を試し、37人がポジション争いの機会をする、いい機会です。ワールドカップには31人しか行けない。落とされる選手(の決定)は、現状のパフォーマンスとこれまでのパフォーマンス、これからどれだけ成長できるか次第です。2011年のPNCで優勝したのは誰でしょう(日本)。そして、その後のワールドカップで何が起こったか(予選プール1分3敗)。そういう意味で、PNCでは自分たちのプレーを磨き上げる、ワールドカップへの準備をする。それを色んな手法をとっておこないます」

――PNCはワールドカップへのシミュレーションか、ないしは課題克服の戦いか。

「両方(の意味がある)。カナダは南アフリカを想定します。(カナダも南アフリカも)大きな相手が多く、セットプレーを重視するチームだからです。フィジー戦は(同じ環太平洋の)サモアを想定します。アメリカ戦はポーカーみたいな試合をします。手の内は明かしません」

――候補選手の絞込みの時期。

「スコッドを絞るタイミングは確定していません。南アフリカのスコッドを見ると、フーリー・デュプレア(スクラムハーフ)、デュアン・フェルミューレン(ナンバーエイト)、ジャック・フーリー(センター)など、レギュラー選手の怪我人がいます。なので、何が起こるかわかりません。記事に書きたいのもわかるし、日程を教えてもいいんですが、その日通りにはいかないです」

――現段階で外れた選手がいます(プロップ長江有祐、プロップ ホラニ龍シオアペラトゥー、フッカー有田隆平、スクラムハーフ矢富勇毅)。

「矢富は残念ながら怪我を抱えています。不運が重なった。スタメンの香港戦がああいう形で終わり(5月23日/香港/豪雨で中止)、その後も怪我が重なりました。いまのコンディショニングでは試合はできないでしょう。ソア(ホラニ龍シオアペラトゥ)も同じです。ハムストリングの負傷をしていて、胸も怪我しました。有田はずっとふくらはぎの怪我を抱えています。ただ、これらの選手は怪我から復帰すれば、考えられます。コンディション次第です。ただ長江は過去2年間、怪我をしていました。ワールドカップスコッドでプレーするのは厳しいでしょう」

――これまでの宮崎合宿での収穫と課題。

「特に、宮崎で学んだことはありません。トレーニングをしていただけです。ワールドカップで何が必要かはわかっています。いいセットプレー、ディフェンス、チャンスをポイントに変えることです。現状、レフリングの仕方を見ると、スクラムがワールドカップの中心になるでしょう。我々はスクラムに時間をかけています。PNCでその現状の問題を確認したいと思います。ラインアウトは、実戦で確認するまで真偽はわかりません」

――ワールドカップでの「31人目の選手」について。

「明らかなことですが、ワールドカップは毎試合、ベストチームで戦います。そうなると、3~4人は試合に出ない可能性がある。その3~4人に必要なのは、ハードワークする選手、チームの環境をよくする選手。違うカテゴリーで選ぶ選手も、出てきます。そのほかの選手はベストプレーヤーです。ワールドカップでジャパンのために、ベストなテストマッチをするのは誰か。それを見極めるだけです。キンちゃん(ロック大野均)のような選手は31人、必要です。輝かしいお手本。毎回のセッションで、戦います。競ります。(飲酒が趣味のため)夜はともかく、日中は彼のような選手が必要です」

――大学生ウイングの藤田慶和、福岡堅樹両選手について。

「(記者に向け)絶対、そういうと思いました。ファンクラブを運営しているんですか? …2人ともいい子たちです。堅樹は誰よりも成長しています。ただ、試合のパフォーマンスを観てみないとわからない。彼が最後にハイクオリティなゲームをしたのは、いまから12ヶ月くらい前です(2014年6月21日のイタリア代表戦)」

以下、発表されたメンバー一覧。

【FW:21名】

・畠山 健介 (サントリーサンゴリアス/63キャップ)

・山下 裕史 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/39キャップ)

・平島 久照 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/38キャップ)

・三上 正貴 (東芝ブレイブルーパス/26キャップ)

・垣永真之介 (サントリーサンゴリアス/3キャップ )

・稲垣 啓太 (パナソニック ワイルドナイツ/2キャップ ※)

・木津 武士 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/33キャップ)

・堀江 翔太 (パナソニック ワイルドナイツ/32キャップ)

・湯原 祐希 (東芝ブレイブルーパス/20キャップ)

・大野  均 (東芝ブレイブルーパス/87キャップ)

・伊藤 鐘史 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/32キャップ)

・真壁 伸弥 (サントリーサンゴリアス/29キャップ)

・宇佐美和彦 (キヤノンイーグルス/3キャップ)

・トンプソン ルーク (近鉄ライナーズ/53キャップ)

・アイブス ジャスティン(キヤノンイーグルス/27キャップ)

・ツイ ヘンドリック(サントリーサンゴリアス/27キャップ ※)

・マイケル・ブロードハースト (リコーブラックラムズ/16キャップ) 

・ヘイデン・ホップグッド (―/7キャップ)

・村田 毅 (NECグリーンロケッツ/3キャップ)

・ホラニ龍コリニアシ (パナソニック ワイルドナイツ/39キャップ)

・リーチ マイケル (東芝ブレイブルーパス/38キャップ ※

【BK:16名】

・田中 史朗 (パナソニック ワイルドナイツ/44キャップ ※1)

・日和佐 篤 (サントリーサンゴリアス/41キャップ)

・内田 啓介 (パナソニック ワイルドナイツ/10キャップ)

・立川 理道 (クボタスピアーズ/32キャップ)

・田村  優 (NECグリーンロケッツ/30キャップ)

・小野 晃征 (サントリーサンゴリアス/24キャップ)

・山中 亮平 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/3キャップ)

・クレイグ・ウィング (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/7キャップ ※2)

・ティム・ベネット (キヤノンイーグルス/―)

・カーン・ヘスケス (宗像サニックスブルース/6キャップ)

・松島幸太朗 (サントリーサンゴリアス/6キャップ)

・廣瀬 俊朗 (東芝ブレイブルーパス/26キャップ)

・山田 章仁(パナソニック ワイルドナイツ/11キャップ)

・藤田 慶和 (早稲田大学 4年/22キャップ)

・福岡 堅樹 (筑波大学 4年/13キャップ)

・五郎丸 歩 (ヤマハ発動機ジュビロ/47キャップ)

<負傷選手>

・アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス/2キャップ ※3)

・マレ・サウ (ヤマハ発動機ジュビロ/20キャップ ※4)

※  7月13〜18日に宮崎にて別メニュー調整予定。北米遠征への合流日未定

※1 合流日未定

※2 7月8日合流予定。7月13〜18日別メニュー調整、北米遠征への合流日未定

※3 7月6〜18日に宮崎にて別メニュー調整予定

※4 不参加

後半へ続く)

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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