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鬼軍曹・永瀬拓矢王座(28)堂々の挑決三番勝負進出 竜王戦ドリーマー梶浦宏孝七段(26)惜しくも敗退

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月28日。東京・将棋会館において第34期竜王戦、本戦準決勝▲永瀬拓矢王座(28歳)-△梶浦宏孝七段(26歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 10時に始まった対局は永瀬王座先手で角換わりに。永瀬王座は早繰り銀から筋違い角を打ち、戦機をとらえます。中盤で桂を成り捨て、さらには角を切る大技から一時は大きく優位に立ったように見えました。

 しかし梶浦七段も手段を尽くして勝負に持ち込みます。終盤はずっと勝敗不明。梶浦七段が五分以上の形勢に持ち込んだ場面もあったようです。

 最終盤、一手の余裕を得た永瀬王座は、3枚の桂を次々と梶浦陣の急所に打ち込みます。そして一気に梶浦玉を受けなしに追い込みました。

 終局は22時17分。結果は123手で永瀬王座が熱戦を制し、大きな勝利を収めました。

 昨年に引き続き、今年も快進撃を続けてきた梶浦七段。2年連続で1組優勝者の厚い壁に阻まれた格好で、2年連続準決勝敗退となりました。

 永瀬王座は堂々の挑決三番勝負進出。8月6日におこなわれる準決勝・藤井聡太二冠(2組優勝)-八代弥七段(2組2位)戦の勝者と対戦します。

 もう一方の山からは、おそらくは藤井二冠が勝ち上がってくると予想している方が多いでしょう。

 しかし八代七段も絶好調。本日おこなわれた王将戦二次予選で木村一基九段に勝ち、公式戦11連勝と乗りに乗っています。

 藤井二冠、八代七段、どちらが挑決に勝ち上がってきても、永瀬王座との三番勝負は将棋史に残るような興味深いカードとなりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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