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「NHKラジオが旧統一教会の文鮮明の偉業をたたえている」は誤り。北朝鮮が弔電を送った事を報道したもの

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
問題のツイート。Twitterより筆者キャプチャ

 「今朝のNHKラジオ、(旧統一教会の)文鮮明没後10年でその偉業をたたえている」とのツイートが4,500件以上拡散していますが、誤りです。

NHKが文鮮明氏の偉業をたたえた?

 問題のツイートはインフルエンサーの青木正雄氏が8月14日にTwitterに投稿したものです。

 「今朝のNHKラジオ、文鮮明没後10年でその偉業をたたえている。これは悪夢か」というもので、記事執筆時点で4,500件以上のリツイートが行われています。

 このツイートだけを見ると、NHKラジオが文鮮明氏を褒めている=NHKは世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と関係がある? と思ってしまいそうになりますが、事実は異なります。

NHKラジオは「北朝鮮が文鮮明氏の遺族に弔電を送った」ことを報道

 話題になっているラジオは「NHKラジオ らじる★らじる」から聞けます。

 11分あたりから文鮮明氏についての報道を確認できます。書き起こしは次のとおり。

北朝鮮は「韓国で創設された旧『統一教会』、今の『世界平和統一家庭連合』の創始者で、経済事業を通じて北朝鮮との関わりが深かった文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の死去から10年となるのを前に、遺族に弔電を送った」と発表しました。

北朝鮮の対外関係の窓口であるアジア太平洋平和委員会は、「韓国で創設された旧『統一教会』、今の『世界平和統一家庭連合』の創始者、文鮮明氏の死去から、来月3日で10年となるのを前に昨日付で文氏の妻の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁ら、遺族に対して弔電を送った」とウェブサイトを通じて明らかにしました。

弔電では「民族の和解や団結などのために傾けた文氏の努力と功績は、末永く追憶されるだろう」などとしています。

NHK『マイあさ!』8月14日(日)午前7:00放送より

 文字にするとよくわかると思いますが、北朝鮮の発表を報じているだけであり、NHKラジオが「偉業をたたえている」わけではありません。

 また、この後に文鮮明氏の経歴も報じられていますが、こちらもたたえるようなものとは言えません。

現在の北朝鮮にあたる地域で生まれた文氏は、共産主義に反対する保守系の政治団体『国際勝共連合』を設立する一方、南北統一のため努力するとして北朝鮮に接近しました。

文氏は1991年に訪朝して金日成主席と会談したのをきっかけに、北朝鮮で自動車の生産やホテル事業を手がけたことで知られ、2012年に死去した際には、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が自ら遺族に弔電を送るなどしています。

NHK『マイあさ!』8月14日(日)午前7:00放送より

 NHKラジオに文鮮明氏に関する報道は上記で全てであり、NHKラジオが文鮮明氏の偉業をたたえたとは言えません。つまり、問題のツイートは誤りです。

 念のために書いておきますが、筆者は特定の宗教団体との関わりはありません。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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