才木投手が先制3ランを浴びた、その直後に降雨ノーゲーム《8/8 阪神ファーム》
台風5号が通り過ぎた8日、阪神甲子園球場では『第99回全国高校野球選手権大会』が一日遅れで開幕し、阪神鳴尾浜球場ではウエスタン・広島戦が行われました。甲子園も鳴尾浜も大雨での中断があり、鳴尾浜の方は4回表が終わったところで降雨ノーゲームという結末です。
そもそも試合前からアクシデントがあったんですよね。鳴尾浜球場のグラウンドには、ファウルボールやホームランボールが外に出ないよう、“防球ネット”がぐるりと周囲に張り巡らされていて、強風の場合は自動的に降下し、また今回の台風のような場合は事前に手動で下げてあります。試合をするには一番上までネットが上がっていないといけません。ところが、きのうの朝はそれがうまく上がらなかったとか。
試合開始を30分遅らせて13時からとし、その間に対処。内野と左右外野のネットには問題なさそうでした。でもセンター付近だけが、どこか引っかかったみたいに途中まで上がっては、また下がるという繰り返し。そして12時半過ぎでしょうか、センターバックスクリーンのスコアボード『6回』の向こう側にある柱に人の姿が!
細かい動きまでは見えなかったものの、風のある中でロープを引っ張ったり、手作業をされていたようです。12時40分頃から外野のネットも順調に上がり始め、12時50分までにすべてが上がりました。
その間に先発メンバーの発表もあり、才木投手は投球練習を開始。予告された時刻の1分前にプレーボールがかかっています。私はスタンドで見ていただけですが、そのすぐ下の部屋ではいろんな方が走り回っておられたんでしょうね。なかなかない事態で、関係者の方々は本当にお疲れ様でした。また観戦に来られていた才木投手のお母さんをはじめ、応援団(は言いすぎですか?)の皆さんも「もし上がらなかったら中止?」と心配そうだったので、試合が始まってホッとされたと思います。
しかし…14時頃、西からやっていた雨雲に覆われて、あっという間に土砂降り。結局ノーゲームとなった次第です。ノーゲームなので何も記録には残りませんが、一応そこまでの結果と経過を書いておきます。
《ウエスタン公式戦》8月8日
4回表終了 降雨ノーゲーム
阪神-広島 (鳴尾浜)
広島 000 3
阪神 000 X
※ノーゲームのため記録はなし。
以下は参考までに。
◆バッテリー
【阪神】才木 / 岡崎
【広島】塹江(3回) / 磯村
◆本塁打 坂倉3ラン(才木)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失)
1]中:江越 (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0)
2]二:荒木 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
3]右:キャン (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
4]左:陽川 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
5]一:新井 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
6]指:狩野 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
7]三:今成 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
8]捕:岡崎 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
9]遊:植田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ
才木 4回 76球 (3-4-3 / 3-3) 150
《試合経過》
才木は1回、先頭の桑原に初球(148キロ)を右前打され、ペーニャを中飛に打ち取ったあと二盗を許します。岩本は二ゴロで2死三塁、4番・メヒアに対してはカウント1-1からフォークを2球続けて空振り三振!2回は先頭の小窪にストレートの四球を与えるも、坂倉は右飛、土生は二ゴロ併殺打と3人で片付けました。3回は2死から桑原に中前打されただけ。
打線は1回、江越が見逃し三振、荒木は中前打しますが盗塁失敗。キャンベルは四球、しかし陽川は3球とも見逃しての三振です。2回は今成の四球のみ、3回は2三振を奪われて三者凡退で終わっています。
そして4回、ポツポツが雨も落ちてきて、ザーッと来そうな予感が漂っていました。そんな中で才木は、まず先頭の岩本を空振り三振。でもメヒアと小窪には、追い込みながら連続で四球を与えてしまい、続く坂倉(この日は6番DH)にワンボールからの2球目、145キロをセンターへ。同い年のルーキーにプロ2号の3ランを浴びます。そのあとは無難に抑え、ベンチへ。
4回裏に備えて広島の選手が守備につき、塹江が投球練習を始めたところで雨脚が一気に強くなり、審判が選手を引き揚げさせました。あとはもう滝のような雨でグラウンドは湖と化し、中断に入った14時7分から8分後の14時15分に降雨ノーゲームの告知。坂倉選手の3ランは幻で、才木投手の黒星も消えたわけです。
フォークに光明、しかし反省点も
試合後、まず才木浩人投手に話を聞きました。三振も取れていたフォークについて「フォーク、多かったですね。空振りを取ったのはだいたいフォークで。きょうはフォークの落ちというか、感覚がよかったです。抜けるボールもあったけど」と振り返っています。フォームを少し変えた?との問いに「この前のソフトバンク戦(7月22日、甲子園)から変えました。自分の投げやすい位置で」とのこと。
変わったのは左足をステップした時の左手のグラブの高さ、でしょうか。写真を比べていただくとわかりやすいと思います。
上が6月、下が8月のものです。ただ試合中の映像だと左手がもう少し上がっていたような気もします。それだけでなく、もっと細かい部分の変化があるようですね。入団してから体も大きくなって、いろいろ試行錯誤の真っ最中なのでしょう。
また直球に関して、初回より3回の方が角度はよくなったのでは?と聞かれ「そうですね。空振りを取りたいし、ファウルにさせるとか、もっと取れたらいいんじゃないかなと思います」と才木投手。真っすぐの精度やコントロールは今後も課題で「きょう打たれたのは、インコース高めに構えてもらったのに少し真ん中へ入ってしまったので。そこの精度を上げていきたい」と、4回に浴びた3ランを反省点として挙げました。
岡崎選手とは、自身が公式戦初登板した4月27日のオリックス戦(鳴尾浜)以来のバッテリー。先発になってからは初めてです。「いろいろアドバイスをもらった」とか。終わってからも話をし、この囲み取材中に引き揚げた岡崎選手が「あとで」と声をかけたのも、また寮内に入ってから“ミーティング”をするという段取りだったみたいです。いっぱい吸収して次に生かしてくださいね。
掛布監督、久保コーチの注文
では監督とコーチの談話もお伝えします。先に久保康生投手コーチ。「メヒアの攻め方とかは岡崎の思った通りに三振を取れたけど、追い込んで決めきれない。一発で決めなきゃいけないところで苦労するというところかな。岡崎が“1軍仕様”のリードをしていても、才木の球の精度がそれについていっていなかった。でもまあ紙一重というところやね」
掛布雅之監督は「きょうは変化球が決まらなかった。腕の振りも鈍かったでしょう?もうひとつ、カウントを整えられない。3人で打ち取れていないし。ま、こういう経験をして、でしょうね」と言い、フォークについても「メヒアにはいいボールだったと思うけど、続けないとね。先発をして1球、2球だけ良くても話にならないから。きょうなんか、もっと点を取られてもいい内容だったと思うよ」とのことでした。
「まあ1年通して野球をするのは初めての経験なわけだけど、高校生は夏に調子上がるはずだよねえ」と、ここは少し苦笑いで「今この暑い時期、若さを出さないと」。期待のゲキです。
9日、望月投手が公式戦初登板!
3月中旬から腰痛で戦列を離れていた望月惇志投手の復帰登板を翌日に控え、掛布監督は「あす1イニング、楽しみだね。リハビリ中にどんなことを考え、何を目標にやってきたか」と話していました。また「腰のことがあるし、そんなに無理はさせなくていいと思うよ。若いし。才木や浜地、藤谷が先発で投げているけど、それを気にしてペースを上げなくてもいい」という言葉も。
そして9日の広島戦で、3月12日以来となる実戦のマインドに立った望月投手。登板した6回を振り返ると、まず先頭の高橋大選手に中前打されて犠打で二塁へ。桑原選手の一ゴロで2死三塁となり、2番・庄司選手に左前タイムリー。続く小窪選手には右中間へのタイムリー二塁打を浴びました。4番・メヒア選手に右前打されるも、ライトの緒方選手がレーザービーム!二塁からホームを狙った小窪選手を刺しています。ベンチ前で緒方選手を迎え、握手する望月投手の笑顔が爽やかでしたね。
以上がテレビの録画で見たものです。1イニングで16球を投げ、4安打2失点という内容。ほとんどがストレートで152キロ、さらに154キロも出ていました。本人は不満げだったそうですが、第一歩としては力強かったのではないでしょうか。
掛布監督は、こんな表現もしていました。「カメでいいんだよ、ウサギにならなくても」。そうです。ゆっくり待っていますからね。