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片づけのプロが教える、片づけが苦手な人が抱える「5つの執着」

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

私はこれまで12年間、片づけの仕事を通じて片づけが苦手な人と出会ってきました。片づけられない原因は人それぞれですが、その人たちの片づけの苦手意識はある5つの「執着」によって根付いている可能性があると考えています。

その1.モノへの執着

片づけとは家にあるあらゆる「モノ」が対象です。だけどそのモノへの執着が強すぎると「捨てられない」などの原因となり片づけが進まないことがあります。

私はモノへの執着が強いと感じる方へは「捨てる」ことよりも、何のために片づけたいのか?という目的を明確にして片づける間その目的を繰り返しお伝えするようにしています。

例えば食器棚の中がぎゅうぎゅう詰めで食事の準備の度に食器を取り出すのが大変だというSさん(40代)は「どの食器も捨てられない」言います。

そこで、食器棚の片づけの目的は「毎日の食事の準備を楽にすること」と確認し、そのためにどの食器を捨てたらよいのか?ではなく

食事の準備を楽にするためには、どのような食器が必要かを考えて食器を選んでもらうことから片づけを始めました。

その2.完ぺきへの執着

片づけが苦手な人の中には、意外と完璧主義な方がいます。自分では気づいていない人も多いのですが、

「せっかくやるなら収納からまずモノを全部出して片づけたい」と思っていたり、「片づけには時間がかかるから時間を確保できるまで先延ばししよう」と思っているため、なかなか片づけが始められないことがあります。

片づけに対して大きな成果を求めているため、そのためには時間や労力は惜しまないと考えているけど、実際にはその時間や労力はないのです。

片づけは完璧さを求めるのではなく、めんどうくさいけど、ちょっと片づけてみようというようなスモールステップの積み重ねが大事なのです。

その3、過去への執着

片づけレッスンを行っていると、「過去」への執着を抱えている人が多いと感じています。

大事な思い出が詰まったモノなのか、マイナスのイメージが詰まったモノなのか、

ただの出来事と結びついているだけのモノなのか、しっかり考えないといけません。

先ほどのSさんですが、好きではないけれど結婚当初からある捨てられない食器がありました。特に思い出はないモノが、毎日使う食器が取り出しににくい原因になっていたことに気づくと手放すことができました。

また子どもが小さい頃に使っていた食器は、思い出の品として保管することも考えましたが食器棚に空きスペースはないので「卒業」ということで手放しました。

過去への執着は誰にも経験があることでしょうが、この執着が強すぎると一向に片づかないので「捨てる」ではなく「卒業」と言うキーワードを使うとよいでしょう。

その4、他人への執着

片づけが苦手な人は、「自分はこんな風に暮らしたい!」というしっかりとした意思をあまり持っていません。

家がキレイな知人やSNSで見つけた自分よりキレイに素敵に暮らす人と自分の生活を比較し、必要以上に不安に感じたり焦ったり、自己評価を低くしてしまう傾向にあり余計に片づかなくなります。

特にここ数年は、片づけ方がわからないという人より「自分はこのやり方で良いのか?」「SNSで見たあの人の収納をマネしたけどうまくいかなかった、どうすればいいか?」というような不安や焦りを感じて相談に来る人が増えたと私は感じています。

5.特定のモノへの執着

片づけが苦手な人ほど、収納道具で手っ取り早く解決しようとする傾向があるので、収納用品に詳しいのになかなか片づかないという人もいます。

収納道具がそのような人たちに安心感を与えることもあるのですが解決をしてくれるとは限りません。

また「コレクション品が多いから片づかない」と思っている人もいましたが、家の中がコレクションで埋まるくらいであれば問題ですが、そうでないならまずは大切なコレクションの管理を徹底的に行えば大丈夫です。

片づかないのはコレクション品のせいではなく、その人や家族の生活習慣に原因がある場合が多いのです。

その他には、〇〇専用の収納道具などを好むため、そういう情報をSNSで仕入れてマネをするので、結局モノが増えてしまうことがあります。

専用の収納道具は確かに便利ですが、逆にいうと用途が限られてしまうので、

すぐ使わなくなったりすることがあり、それが片づかない原因になります。

小学校低学年の子どもがいるFさん(40代)は、ずっとランドセルラックを探しているけどよいモノが見つからず、子どものランドセルはいつも床に置きっぱなしでした。

Fさんは、ランドセル専用のラックをずっと探しているのですが、ランドセル専用のラックを買えば、子どもがそのラックにランドセルを置いてくれるとは限りません。

そこでFさんはランドセル専用ラックではなく、学校の道具が入る背の低い棚を子どもがリビングに入ってきてすぐの場所に置くことにしたら、子どもはその棚の上に帰宅したらランドセルを置くようになりました。

片づけが苦手な人は、愛情深い部分がありモノや過去に執着し、他人の評価などを気にする傾向があります。そして意外にも完璧主義な部分もあり、収納道具にもこだわりをみせることがあり、それが逆に片づかない原因を作っているかもしれません。

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

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