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新型コロナワクチンの「春接種」が開始 あなたは接種対象外? 接種しなくてよいのか

倉原優呼吸器内科医
(提供:イメージマート)

5月8日から5類感染症に移行した新型コロナ。これまでワクチン接種は公費負担でしたが、「春接種」が有料かどうか問い合わせが増えているそうです。また、今後も接種を続けたほうがよいのでしょうか。

ワクチン接種は「5類」化とは無関係

「5類感染症」というのは、感染症法上の公衆衛生学的な位置づけであって、移行によって感染対策における行政の関与がこれまでより薄くなりました(図1)。

図1. 5類感染症への移行で変わったこと(筆者作成)
図1. 5類感染症への移行で変わったこと(筆者作成)

ワクチンは特例臨時接種という予防接種法の枠組みで行われています。厳密には感染症法とは無関係なので、「5類」化したからといってワクチンの公費負担がなくなるというわけではありません。

現時点では、少なくとも令和5年度中(2024年3月末まで)は、引き続き公費負担で接種される予定なので、ご安心ください。定期接種化された場合、いつか公費負担が生じるようになるかもしれません。

現在行われている接種

現在、「令和5年春開始接種」がすすめられています。基本的に、ファイザー社またはモデルナ社のオミクロン株対応2価ワクチンを接種することとなります。

「令和5年春開始接種」の対象は、初回接種(1回目・2回目のセット)を受けた人で、①65歳以上の高齢者、②5歳~65歳で基礎疾患がある方、③医療従事者・高齢者施設等の従事者、となっています。

図2にある通り、12歳~64歳で基礎疾患がない人は、9月の「令和5年秋開始接種」まで接種対象外となり、しばらく新型コロナワクチン接種はできません。この記事を見ている人のほとんどがこれに該当すると思います。

図2. 現在の新型コロナワクチン接種(筆者作成)
図2. 現在の新型コロナワクチン接種(筆者作成)

基礎疾患がある5歳~11歳の子どもは、オミクロン株対応2価ワクチン接種済であっても、「令和5年春開始接種」で追加接種が可能となっています。

基礎疾患がない5歳~11歳の子どもは、オミクロン株対応2価ワクチン未接種の場合、2価ワクチンの追加接種を受けることが可能です。

6か月~4歳の乳幼児は、国内では現時点でオミクロン株対応2価ワクチンはまだ使用できません。

今後新型コロナワクチンを接種すべきか?

さて、「5類感染症になったんだからワクチンは不要」という意見もよく聞かれます。

以前は、左右両方の肺炎を起こす怖い感染症だったので、感染予防、重症化予防の2つの効果を期待して接種していましたが、現在はどちらかといえば後者に重きを置いて接種されています。

重症化リスクが高い人では半年に1回程度、それ以外の人では年1回程度接種するプランが検討されていますが、この投与間隔が妥当なのかまだエビデンスがはっきりしていません。

スタンスとしては、コロナ禍前からインフルエンザワクチンを接種していたような方は、ひとまず政府の推奨に合わせて新型コロナワクチンをあわせて接種していく形でよいと思われます。また、これまで感染したことがない方も、接種してよいと考えます。

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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