朝6:30からスタートする朝ラー鶏白湯で好発進。鶏っぷりに惚れた! 福岡鶏白湯事情と共に紹介
鶏白湯ラーメンは九州においても間違いなく市民権を得ている。王道豚骨を脅かす昨今の台頭勢力筆頭、G(ガッツリ)系のように爆発的に増えているわけではないが、各県に毎年少なからず実力派がお目見えしファンを着実に獲得。日常的なラーメンとしても地域に馴染んでいる。福岡では同ジャンルの先駆け的存在である「麺道はなもこし」(2011年〜)、完全予約制の一軒家店「御忍び麺処 nakamuLab.」(2018年〜)、昨今では「ほったて小屋」や「やひろ屋」なども活躍。さらに週1回だけ「中華そば かなで」から「まつ尾(び)」へと屋号も変えて鶏白湯を出す二毛作スタイルや、鶏清湯の店がもう一つの柱として鶏白湯をメニューに加える場合もある。「水炊き文化が根付いているので入りやすい」。それは福岡で鶏白湯が人気を集める理由の一つとしてよく語られることで、確かにそれも少しはあるのかも知れない。しかし、同じ鶏の白濁スープだとしても水炊き、鶏白湯ラーメンはもちろん別ものであり、潜在的にも双方を紐づけて食べている福岡人はほとんどいないだろう。もっと単純に、“豚骨以外”でただ旨いと感じられてリピートされたから。「濃いラーメンって豚骨だけじゃないのね」、新味が続々とお目見えする中での気付き。九州の鶏白湯ファンは他エリアよりも圧倒的に“たまには豚骨ラーメン以外”が入口であることが多い。
さて、前置きが長くなってしまったが、ここからは筆者も惚れ抜く鶏白湯専門店「麺や よかやす」の話をする。鶏白湯ラーメンも、スープ濃度や粘度、鶏油の取り方、加える量、泡を立てるか否か、具材も多様化してきた。「麺や よかやす」においては「飲みやすい濃度、塩気で“朝から食べたい鶏白湯”」である。
「麺や よかやす」は2022年、福岡市・筥松で開業。店主の大鶴靖隆さん(1986年福岡市出身)は22歳から料理の道に入り、これまでバーテンダー、和食の職人、焼き鳥の焼き師としてキャリアを積んできた。「類に漏れず幼少期から大のラーメン好き。料理の道に入ってからも食べ込んでいましたが、ラーメンは別世界というか、あまりに身近にあるものだったので自分でやるという発想は当初はなかったです。ただ、豚骨一辺倒から鶏のラーメンが出始めた頃、自分の得意としてきた鶏の扱い、出汁のひき方でうまいラーメンが作れるのではないかと考えるようになりました。思いがけないひらめきでしたね」と大鶴さん。「僕が一方的にリスペクトしているだけなんですが」と前置きし「食べ歩いた中でも特に『六味亭』さんの中華そばには感銘を受けました。豚骨ラーメン以外で勝負!と背中を押してくれたような存在。今も大好きな店ですね」と教えてくれた。
「麺や よかやす」は当初、鶏清湯の醤油&塩ラーメンからスタートしたが、限定麺で出していた鶏白湯の人気が突き抜けたため、より精度を上げるべく、約1年前に鶏白湯専門店へと舵をきった。「鶏白湯」「旨辛麺」と大きく2つの鶏白湯ラーメンがあり“背脂”入りや“青唐辛子”トッピングも用意。
スープは「博多華味鳥」の朝びき鶏を使用。鶏ガラ、むね肉、香味野菜も加え約6時間炊き旨味を凝縮。くさみのない白湯スープに仕上げる。そして、余分な鶏油を丁寧にすくってあるのも特筆すべき点。
「各作り手で考えがありますが、僕はできるだけサラリと飲んでほしいので浮き出てくる余分な鶏油は取り除きたいんです。泡もあえて立てていません」と大鶴さん。具材は低温調理の豚肩ロース肉に、ネギなど。仕上げにブラックペッパーを振りかけてある。赤タマネギを細くスライスしているのも、スープとのバランス、麺との絡みを考慮した大鶴さんのこだわりだ。
豚骨に負けないパンチ。というのも鶏白湯の一つの持ち味ではあるが、「よかやす」の一杯は、鶏感とコクをしっかり感じながらもどちらかというと“優しい”。食べ進めるとジワリと旨味が増幅し、レンゲでスープをすくう手が止まらなくなる。体にスゥ〜と染み渡る。そんな鶏白湯ラーメンだ。
「今年の夏から6:30からスタートする朝ラーも始めました。地域の老若男女、足を運んでくださるラーメンファンの方、また外国人も多く利用いただき手応えを感じています」。
確かに! この鶏白湯は、朝ラーにぴったり。あっさり、コク深く、ほっこりとなれる。出勤前、休日でも、1日の好スタートがきれる「よかやす」の鶏白湯。昼は15:00まで、土・日曜、祝日は16:00まで営業しているのでモーニング、ランチでもぜひ。
【麺や よかやす】
住所:福岡市東区筥松1-8-31
電話:092-407-0940
電話時間:6:30〜15:00、土・日曜、祝日〜16:00、水曜11:00〜
休み:火曜
席数:20席(カウンター6、テーブル14)
駐車場:6台(無料)