韓国のサル痘、その後は? 政府発表「感染者本人は回復傾向」 市内では警戒強化、ある「注意」も
先月22日、東アジア地域で2例目のサル痘感染者の存在が明らかになった韓国。日本でもテレビ地上波で各局で報じられるなど、関心を集めたが、その後どうなのか。
3日(きのう)に韓国政府疾病管理庁が経過を発表し、多くの韓国メディアがこれを報じた。
感染者は、6月21日にドイツから帰国した30代の男性。帰国直後に以下の症状が出たため、自ら仁川国際空港で申告した。
頭痛
微熱(37度)
喉の痛み
虚脱感
疲労感
皮膚の病変
空港の感染センターと中央疫学調査官によりサル痘の感染者と分類。仁川医療院(国家指定の入院治療病棟)に移送され、治療中。
3日の主たる発表内容は「感染者の帰国から12日が過ぎたが、本人は回復傾向にある」。体温は36.5度を維持している。体に現れた斑点も当初は現れては消えるという状況だったが、それも回復しつつあるという。
また今回は、男性と同便で帰国した49人が「濃厚接触者」に分類された。韓国政府の言う「中位危険群」が8人、「低位危険群」が41人だった。
濃厚接触者のなかから発症者、隔離者は発生せず。
また、この49人のうち機内で男性の隣に座った2人は韓国で蓄積していた新種ワクチンの接種対象者だった。本人が望めば接種をしたが、いずれも希望しなかったという。
- 22日の感染者発生を報じる「SBS」。同日釜山から帰国した男性も「体調不良申請」を行ったがこちらは陰性だった
各自治体は警戒高める
「病院の外」でもこの12日間、様々な対応があった。韓国メディアの報道を見る限り、下記の自治体が防疫体制を強化している。
ソウル特別市銅雀区
京畿道安城市
釜山広域市
慶尚南道金海市
同 昌寧郡
全羅北道益山市
また「マイナンバーカード(韓国では「住民登録証」)のデジタル化」が進む、韓国ならではのシステムも作動している。最近、サル痘感染者発生が頻繁に起きている国への渡航歴がある人には記録が残り、病院に申告せずともそれが分かるシステムになっているのだ。
いっぽう、国内初の感染者発生後、韓国政府の疾病管理庁が国民に訴えたのは下記の点だった。
「感染者に対し偏見を持たないようにしよう。すると隠れてしまい、逆に感染が広がる」
これは「新型コロナウィルスの教訓」だとしている。
2020年2月、大邱広域市の教会で国内最初の集団感染が起きた。
その際に宗教団体側は政府のガイドラインを守らず、密室に1000人近くが集まる集会を開催。感染が広まった。なかでも当時、すでに感染していたにもかかわらず集会に出向いた女性には「スーパーシュプレッダー」「n番感染者」などといったレッテルが貼られた。その後、批判を恐れPCR検査を拒否する信者も続出。社会的な大問題となった。
22日に発生したサル痘の国内初の患者の健康状態は「いったんは落ち着いている状況」。しかし国内では「サル痘検査キッド生産に入った韓国企業」の様子を「聯合ニュース」が報じるなど、対応や警戒が高まっている。
韓国政府疾病管理庁はサル痘のウィルスの潜伏期間を「21日前後」としている。来週、7月11日からの週に感染者に関する新たな発表があるとみられる。
(了)
本稿の感染関連情報はあくまでも韓国でのものです。日本での対応は下記サイトなどをご参照を。