子どもの身長体重、計測してそのままにしていませんか?
子どもの身長・体重は、保育園、幼稚園、小学校などで毎月計測されています。お子さんの数値は健康カードなどに記録して保護者がみられるようになってると思います。日ごろ、忙しいときには、身長・体重を確認して、前月と数値の比較をして、『見ました』の捺印をするだけで、持たせていることが多いのですが、これを機に見直してみました。
成長曲線とは
「成長曲線」は母子手帳にも載っているので知っている人が多いのではないでしょうか?
身長・体重のデータを見て、「身長が伸びたね」「体重が増えたね、太ったかな?」と一喜一憂するのは大人の世界。子どもの成長期にはその身長、体重の値を見て、そのあとが肝心です。
私の子どもの母子手帳に載っている成長曲線のグラフの出典は、厚生労働省のデータです。
このグラフは、
とあり、日本人の身長・体重のデータから、おおよそこの範囲に収まっていれば健康に成長している、と言われる指標となっています。
子どもがまだ乳児の頃、1か月健診や4か月健診、1歳半健診などでは、身長体重を計測したあとの問診で、小児科医が母子手帳のグラフのページを開いてプロットしながら、「きちんと成長していますね。心配ないですよ。」と言われた人も多いのではないでしょうか。または、ご自身できちんとプロットしてグラフを作成している人も多いかもしれません。
お手元に母子手帳のあるかたはぜひそこへプロットを、そしてない方は厚生労働省のページより無料で入手(PDF)できますのでダウンロードして、プロットしてみてください。
成長曲線に入っていれば、たとえ下のほうをはっているようなグラフになっていたとしても「ちょっと小柄な個性の子」です。もしはみでて心配なようであればそのグラフを持って小児科医に相談すると良いでしょう。
ちなみに、完全母乳で育っている子どもは成長曲線が異なるとも指摘されており、「母乳育児のための成長曲線」というのも研究・発表されています。
肥満度グラフって知っていますか?
そして、成長曲線の他に、「肥満度グラフ」というのがあることを最近小児科医の方に教えていただき、知りました。
日本小児科内分泌学会では、
子どもの肥満は主に肥満度というものを使って評価します。肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので下記の式で計算されます。
肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重×100 (%)
とされており、この肥満度のグラフは女子と男子で異なるだけでなく、幼児と学童でも異なることがポイントです。
成人では、体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数(BMI)や、適正体重の計算式が使われることが多いですが、これとは式が異なります。
BMI= 体重kg ÷ (身長m)2
適正体重= (身長m)2 ×22
そして、肥満度グラフにプロットしてみると、また違ったことが見えてくるのです。
4月からの生活習慣を見直してみよう
例えば、急に体重が増えた子。身長もぐっと伸びていれば体重が増えるのは当たり前です。でも、身長の増え方に比べて体重の増え方が多い子は、肥満度グラフに如実に現れます。
例えば、小学校3年生までは肥満度グラフのプロットが下のほうだったのに、急に4年生になってから上のほうになったら、どんなことが考えられるでしょうか?
学童保育が3年生までで終わってしまい、4年生からは自宅で鍵っこになった。おやつを食べ放題、体を動かして遊ばず、家の中でゲームし放題。そんな環境になっているかもしれません。
また、塾通い等が始まり、生活習慣が不規則になったり、夜の睡眠が遅くなったりするために睡眠時間の確保ができずに成長ホルモンの分泌が十分でないのかもしれません。
そういった、生活習慣の見直しのヒントもこのグラフから読み取ることができるのです。
データはデータのままではわからない
何事もデータ(数値)をデータのまま読み取るのは難しいため、このようにデータからグラフなど、『その数値の集まりを理解しやすい形』に表現して、図形を読み取ることを行うことが多いです。
今回の身長・体重の場合には、折れ線グラフと領域の塗り分けで表現されていますが、データによって適切な表現方法は異なります。
例えば、アンケート結果を集計したりするときには全部で100%になるような場合には、円グラフを用いると何割くらいがどういった意見かがわかりやすく表現することができます。棒グラフが適切な場合もありますね。
普通は見えないものや見えにくいものをコンピュータグラフィックス(CG)によって可視化し、理解を容易にする技術を可視化(Visualization:ビジュアライゼーション)と言います。私は大学時代に、可視化の研究室に所属して、実験・研究をしていました。可視化の分野では、科学的データの可視化、音楽可視化、情報可視化、医療可視化など、様々な研究が行われています。
夏休みの自由研究に、子どもと一緒に何か身近なもののデータを取り、どのような可視化方法で表現したらわかりやすいか、議論してみるのも面白いかもしれませんね。