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金利上昇注意!住宅ローンはどうやって選べばいい?

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
画像はイメージです。(写真:イメージマート)

日銀の金融緩和政策の部分的な修正があり、長期金利が1%程度まで許容されることになりました。長期金利は住宅ローンの場合、フラット35や10年固定金利などの根拠となる金利です。変動金利には適用されませんので、変動金利が直ちに上昇することはなさそうですが、これから住宅ローンを選ぶ場合にはどのように考えるとよいのでしょう。

■金利上昇に伴う返済額の増え方を確認しておこう

住宅ローンを1000万円、35年の毎月返済で借りた場合

金利0%  毎月23,809円の返済 総返済額 10,000,000円 借入額の100%

金利0.3% 毎月25,084円の返済 総返済額 10,535,434円 借入額の105%相当

金利0.4% 毎月25,519円の返済 総返済額 10,717,991円 借入額の107%相当

金利0.5% 毎月25,958円の返済 総返済額 10,902,585円 借入額の109%相当

金利1.0% 毎月28,228円の返済 総返済額 11,855,999円 借入額の118%相当

となります。

3000万円借りる場合は上記3倍し、5000万円借りる場合は5倍、1億円借りる場合は10倍することで、返済額の変化や総返済額の変化がわかります。

金利が0.1%変化すると、総返済額が概ね2%増減します。金利が0.1%変化すると、当初の返済額は0.02%増減します。

現在の変動金利は、金融機関の営業努力もあり金利競争に突入しています。変動金利の根拠となる短期プライムレートが上昇しても、直ちに変動金利の変更となるかわかりません。また、変動金利が上昇したとしても、新規借入に対しては、金利上昇分の割引金利を適用することで、今までと同じ借入金で変動金利を借りられる可能性もあります。

ただし、住宅ローンで赤字を甘受し続けることは企業の永続性の足を引っ張りますので、どこかの段階で金利を引上げざるを得ないでしょう。もしくは、住宅ローンの低金利と引き換えに、色々な金融商品の勧誘攻勢をかけて別の商品から収益を獲得するような動きにつながるかもしれません。たとえば、火災保険に加入してもらう、生命保険の見直しをセットで提案するなどです。

■金利変動よりも不動産価格の上昇が問題

既に計算したように、金利が0.1%上昇すると、35年間で住宅ローンの総返済額は2%増加します。一方で、都市部の戸建てやマンション価格は、2割増し、3割増しは当たり前です。物件価格が2割上昇すると、金利が1.0%上昇したことと同額の総返済額となります。3割増しなら1.5%金利が上昇したことと変わりません。

住宅ローン金利は今後上昇する気配ですが、それよりも不動産価格が上昇している地域においては、金利よりもはるかにおおきなインフレが起きていることを認識されるとよいでしょう。

今後は、日銀の金融政策次第で、住宅ローン金利が上昇する可能性が高まっています。今まで上がらなかったからといって、今後も上がらないわけではない。一方で、だからと言って絶対に上がるとも言い切れない、そんな局面です。

これから家を買う人は、金利上昇の可能性を踏まえて、返済計画はフラット35や10年固定金利でも余裕をもって返せるくらいの借入額に抑えておくとよいでしょう。

お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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