「あずき」とよく似ている「ささげ」、「ぼた餅」とよく似ている「おはぎ」。その違いって何ですか?
写真をご覧ください。「ささげ」は、「あずき」と比較すると少し黒っぽいのが特徴です。「ささげ」は漢字で「大角豆」と書き、豆の端が少し角ばっていることから付けられました。両方端が少し角ばっている気がするけれど…。
どちらもマメ科ササゲ属に分類されるため、見た目も味もよく似ていますが、なぜ使い分けられるのでしょう?
それは「あずき」は加熱すると皮が破れ、煮崩れてしまうことがあり、それが切腹をイメージさせるため、煮ても割れにくく、食感もしっかりとしている「ささげ」を関東地方を中心に使うようになったといわれています。
ささげは「さやいんげん」によく似ていて、さやの長さは30~70cmほどと長いです。原産地はアフリカ、平安時代に中国から日本に伝わったという記録が残っています。ささげという名前は諸説ありますが、さやが上向きに湾曲しているのが、捧げものをする手つきに似ているので、「ささげ」と名付けられたといわれています。赤飯などに使用するのは、正確には「ささげの豆」です。
愛知県の伝統野菜の「十六ささげ」は、別名「三尺ささげ」ともいい、さやの中に16粒程の豆が入っているからこの名前が付いたといわれています。インゲンマメと同じようにさやごと食べます。
沖縄の「黒小豆」は「あずき」と名前が付いていますが、正確には「黒ささげ」です。秋田の「てんこ小豆」も同様に「黒ささげ」です。沖縄の「アイスぜんざい」は、小豆を使っているのではなく、黒糖で甘く煮込んだ金時豆を使用しています。
山梨には「甘納豆のお赤飯」(甘納豆を入れて炊いた赤飯)があります。お店には、『甘納豆を使った甘い赤飯』と、『ささげや小豆を使った(一般的な)赤飯』の2種類が売られています。
では、「ぼたもち」と「おはぎ」の違いは?
「ぼたもち」と「おはぎ」は基本的に同じものですが、季節・大きさ・材料によって呼び分けられることもあります。
日本では、赤色は古くから魔除けの力があるとされ、小豆の赤色は祝いや儀式の時に多用されてきました。そのことから、お彼岸の時に五穀豊穣のお餅と魔除けの小豆、当時はまだ貴重だった砂糖を使ったおはぎを、ご先祖様にお供えするようになったと言われています。
ぼたもち
ぼたもちは漢字で「牡丹餅」と書き、春のお彼岸の頃に咲く牡丹の花に似ていることから名付けられました。牡丹は花が大きく豪華なので、ぼたもちの形も丸く大きく作られることが多いです。ぼたもちに使われるあんこは、秋に収穫していた小豆を使うため(小豆の皮が硬くなっているので)、「こしあん」にすることが多いです。ぼたもちは、主にもち米で作られることが多いです。
おはぎ
おはぎは漢字で「御萩」と書き、秋のお彼岸の頃に咲く萩の花の小さな花びら一枚一枚が、小豆の粒のように見えたことから名付けられました。萩の花は、小さく上品な感じなので、おはぎの形も、小ぶりで細長い俵型で作られることが多いです。おはぎに使われるあんこは、収穫してすぐの小豆を使うので、皮が柔らかいことから「つぶあん」にすることが多いです。おはぎは、主にうるち米(一般的に普段食べているお米) で作られることが多いです。餅よりも粘りが少ないので団子のような食感になります。
「つくね」と「つみれ」、「ソーセージ」と「ウインナー」、「寿司」と「鮨」などのように、似て非なるものは多くあります。意味が分かってくると楽しいですね。