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この球団は遊撃手をかき集める。昨夏まで「今後10年の遊撃は不動」のはずだったが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーメッド・ロザリオ Sep 8, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、タンパベイ・レイズは、遊撃手をかき集めている。

 2月20日、レイズは、ユー・チャンアーメッド・ロザリオの2人と、それぞれ、マイナーリーグ契約とメジャーリーグ契約を交わした。ESPNのジェフ・パッサンとタンパベイ・タイムズのマーク・トプキンによると、ロザリオの契約は1年150万ドルだという。

 年明け早々、レイズは、外野と一塁を守るルーク・レイリーをシアトル・マリナーズに放出し、交換に、ホゼ・カバイェロを獲得している。

 チャン、ロザリオ、カバイェロは、3人とも、遊撃をメインのポジションとする内野手だ。チャンの守備イニングは、マイナーリーグでもメジャーリーグでも、遊撃が最も多い。ロザリオは、ニューヨーク・メッツとクリーブランド・インディアンズ/ガーディアンズで、遊撃のレギュラーとしてプレーしてきた。カバイェロは、メジャーリーグでは二塁出場のほうが多いが、まだ1シーズンに過ぎない。マイナーリーグの通算守備イニングは、遊撃が二塁を上回る。

 昨夏まで、レイズの遊撃は、今後も不動のはずだった。2021年のオフに、レイズは、当時20歳のワンダー・フランコと11年1億8200万ドル(2022~32年)の延長契約を交わした。この契約には、2033年の球団オプションもついている。

 2021年にメジャーデビューしたフランコは、最初の2シーズンに、計153試合で出塁率.337、13本塁打と10盗塁、OPS.776を記録した。そして、3シーズン目の2023年は、8月12日までの112試合で出塁率.344、17本塁打と30盗塁、OPS.819。オールスター・ゲームにも選ばれた。

 だが、レイズは、8月14日にフランコを制限リストに入れた。母国のドミニカ共和国において、14歳の少女と不適切な行為を行った疑惑が浮上した。

 現在、フランコは、40人ロースターに名を連ねている。とはいえ、スプリング・トレーニングには参加しておらず、メジャーリーグで再びプレーする機会があるのかどうかさえ、定かではない。

 また、8月半ば以降、遊撃のポジションを分け合ったオスレイビス・バサービーテイラー・ウォールズのうち、ウォールズは、10月下旬に腰の手術を受けた。開幕には間に合わない。

 プロスペクトのジュニオール・カミネロカーティス・ミードは、遊撃よりも、三塁あるいは二塁が適任だと思われる。ちなみに、三塁のレギュラーと二塁のレギュラーは、イサック・パレイデスブランドン・ラウだ。

 今のところ、開幕時点の遊撃は、レギュラーがカバイェロ、バックアップはロザリオとなる可能性が高そうだが、まだ確定とは言えない。

筆者作成
筆者作成

 なお、レイズとは別の話だが、サンディエゴ・パドレスは、かつて遊撃手だった選手を数多く擁している。それについては、こちらで書いた。

「遊撃手と二塁手のポジションを入れ替え、鉄壁の守備陣に!? 一塁と三塁に外野の2人も、かつては遊撃手」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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