Yahoo!ニュース

【韓国文化】ハニ(NewJeans)の歌う「青い珊瑚礁」、国境・世代を超えたカバーに大反響!

西嶋広美翻訳者(韓国語)/フリーライター
80年代のイメージ画像

いま、日韓で松田聖子さんの大ヒット曲「青い珊瑚礁」(1980年リリース)が話題なのをご存じでしょうか。NewJeans(ニュージーンズ)のメンバー、ハニ(HANNI)さんが日本で「青い珊瑚礁」を披露し、瞬く間にそのようすが拡散しました。

今回は、ハニさんの歌う「青い珊瑚礁」がなぜバズッたのか、私(筆者)の個人的な感想とともにお伝えします。

■NewJeansって?

NewJeansは韓国の5人組ガールズグループ。メンバーはミンジ(MINJI)、ハニ(ベトナム人)、ダニエル(DANIELLE/オーストラリア系韓国人)、ヘリン(HAERIN)、ヘイン(HYEIN)です。デビューは2022年7月。代表曲に「Attention」「Cookie」「Ditto」「OMG」などがあり、どれも大ヒット、韓国での各音楽賞を総なめにしました。

曲風やコンセプトは90年代から2000年代のポップスとR&Bの要素を組み合わせたもので、ノスタルジックな雰囲気がこれまでのK-POPにはない個性を生み出し、独自路線を突っ走っています。

東方神起や少女時代、aespaなどを輩出したSMエンタテインメントでアルバムコンセプトを担当していた女性剛腕プロデューサー、ミン・ヒジン氏が手掛けていることも有名です。今回の「青い珊瑚礁」効果も、彼女の手腕だともささやかれています。

NewJeans日本デビューシングル「Supernatural」Official MV (Part.1)

■「青い珊瑚礁」が注目されたきっかけ

6月に日本デビューを果たしたNewJeans。同月26日、27日には東京ドームで自身初の日本ファンミーティングを開催し、そこで、ハニさんが「青い珊瑚礁」を歌唱したのです。7月6日に放送された音楽特番「THE MUSIC DAY 2024」(日本テレビ系)でも同曲を披露し、それがトレンド入りしながら、「懐かしい」との声が続出しました。

音源ストリーミングプラットフォームSpotifyは、ハニさんのカバーステージ以降、「青い珊瑚礁」のストリーミング回数が約530%増加したと発表(7月22日)。また、Melon(メロン)といった韓国の主要音楽チャートでも、同曲がランキングに急浮上しました。

日本のメディアの反応も熱く、それが韓国でも報じられるかたちで、幅広い世代に拡散していきました。

マリンルックのトップスに白いスカートのファッションが、80年代の松田聖子さんを彷彿(ほうふつ)とさせ、そこにハニさんの繊細な歌声とアレンジが加えられた新たな魅力が、世界中のファンを魅了したといわれています。同時に、改めて「青い珊瑚礁」自体の魅力も再認識されたというのです。

■韓国の40~50代の心もつかんだ

韓国メディアもこぞって取り上げたことで、アイドルに夢中になる世代ではない韓国の人たちからも注目を浴びました。それは、日本映画『Love Letter』(日本公開1995年、韓国公開1999年)の存在があったからだとも伝えられています。

日本の大衆文化が韓国で解放されたのは1998年のこと。そして1999年に韓国公開となり、現地で大ヒットした映画が『Love Letter』でした。劇中に登場する「お元気ですか?」というセリフも大流行し、私が2000年ごろに渡韓した際には、会う人会う人に「お元気ですか?」という言葉を投げかけられました。当時(いまもかもしれません)、ほとんどの韓国人が知っている日本語でした。

そして、その『Love Letter』で、主人公が口ずさんでいたのが「青い珊瑚礁」。そのため、40代以上の韓国人にとっても懐かしいと感じられる楽曲だったというわけです。

青い珊瑚礁のイメージ画像
青い珊瑚礁のイメージ画像

韓国の芸能人がコンサートやファンミーティングで日本の楽曲を歌う場合、平井堅さんの「瞳をとじて」や中島美嘉さんの「雪の華」などを選曲するのが定番なんです。そんななかで今回、人気K-POPアイドルが80年代の大ヒット曲を歌う姿が、新鮮に映ったのでしょう。

2004年生まれで、日本人ではないハニさんの、日本の80年代アイドルを再現させたような演出(振り付け、歌唱、衣装など)。世代と国境を超えたコラボレーションは大きなインパクトを残しました。今後、こうしたカバーが続くかもしれませんね。

翻訳者(韓国語)/フリーライター

小学生の頃から韓国が大好き!“韓国歴”は30年以上。神田外語大学韓国語学科卒(在学中「韓国外国語大学校」に交換留学)。大学卒業後は約18年間に渡り、韓流ポータルサイトのニュース記事(芸能・政治・経済・社会・スポーツ・北朝鮮)翻訳&コンテンツ企画業務に従事。インタビューや取材記事なども多数執筆。現在はフリーランスの翻訳者&執筆家(writer)として活動しています。

西嶋広美の最近の記事