データが示す投手・大谷はスピードだけでなく変化球も一級品
4月8日(日本時間9日)のアスレチックス戦で投手としての本拠地デビューを飾るエンゼルスの大谷翔平。打者としては本拠地デビュー戦から3試合連続でホームランを放ち、地元ファンのハートをがっちりと掴み、投手としても大きな期待を寄せられている。
対戦相手のアスレチックスはメジャー・デビュー登板の相手であり、前回は6回を3安打3失点に抑えて勝利投手となった。
デビュー戦では最速99.6マイル(159.4キロ)を計測したのを始め、99マイル(158.4キロ)以上を12度も計測した。速球のスピードはメジャーでもトップクラスなのは、「大谷は投・打・走の全てでメジャートップレベルの実力の持ち主だとデータ解析で明らかに」の記事で説明した通りだが、投手の投球速度や投球軌道を追跡するスピード測定器システム『PitchF/X』のデータを見てみると自慢の豪速球だけでなく、変化球も一級品であることが判明した。
デビュー登板戦で投げた92球の内訳を見てみよう。
フォーシーム:42.4%(97.8マイル)
スライダー:28.3%(82.3マイル)
スプリッター:26.1%(89.2マイル)
カーブ:3.3%(75.3マイル)
昨季、先発として規定投球回数(162イニング)を投げた投手と比較していく。
まずはフォーシームの平均球速97.8マイル(156.5キロ)は、97.6マイル(156.2キロ)だったルイス・セベリーノ(ヤンキース)を抜いてメジャーの先発投手最速の座に位置する。
スカウト陣から高い評価を受けているスライダーは平均球速こそ82.3マイル(131.7キロ)と平均的だが、変化がとても大きい。横への変化は9.3インチ(23.6センチ)で、昨季はメジャートップだったダルビッシュ有(カブス)の9.0インチ(22.9センチ)を上回る。
26球投げたスライダーのうち、12球がストライクとコールされたが空振りが3球なのに対して見逃しのストライクが9球と多かった。見逃しストライク率34.6%はメジャーでもトップレベルの数字で、急激な変化を見せる大谷のスライダーに打者が反応できなかったことを示している。
昨季の試合で先発投手が25球以上スライダーを投げて5球以上見逃し三振を奪った試合は505試合あったが、大谷のスライダー見逃しストライク率34.6%は18位に値して、全体の上位3.5%に入るとエンゼルスの公式ページは分析した。
日本ではフォークと呼ばれるスプリッターの平均球速が89.2マイル(142.7キロ)で、こちらもメジャー1位の田中将大(ヤンキース)の87.8マイル(140.5キロ)を上回る。
アメリカではスプリッターを投げる投手自体が少く、昨季に規定投球回数に達した先発投手の中で、スプリッターを投球全体の10%以上投げた投手は3人しかいなかった。打者にとっては対戦する機会が少ない球種なのでとても効果的で、大谷のスプリッターの空振り率は41.7%と非常に高かった。
メジャーでもトップレベルの球種を3つも持つ大谷は、8日の試合でも圧巻の投球を見せて、全米中のファンをさらなる熱狂の渦に巻き込んでいくことだろう。