赤松健参議院議員が登壇 ウェビナーで明かされた「ゲームアーカイブ」の現状と課題
立命館大学ゲーム研究センターは、産官学でのゲームアーカイブ連携強化を目標とするウェビナー「日本のゲームアーカイブの現在と未来を考える」を1月28日に開催。基調講演、および有識者とのディスカッションに赤松健参議院議員が登壇した。
マンガ家として著名な赤松議員は、以前からマンガの海賊版サイト対策など、ロビー活動も精力的に行っていたことでも知られる。
赤松議員は、「アーカイブ哲学の実践」と題した基調講演で、昨年5月に国会で文化庁、文部科学大臣、国立国会図書館に「ゲームの振興及びプレイアブル保存について」質問したのをはじめ、現在までにゲームメーカーやアーカイブを実施する団体との意見交換、海外のゲームアーカイブ施設の視察などを実施したことを発表した。
なお本講演の内容は、昨年6月1日に赤松議員がホームページで公開した「プレイ可能な状態での『過去のゲームの合法的保存』について」を踏襲したものであったと思われる。
赤松議員が示すゲームアーカイブ活動「今後の方向性」
ディスカッションには、赤松議員のほか元ハル研究所社長の三津原敏氏、ゲーム雑誌「ファミ通」元編集長の浜村弘一氏、スクウェア・エニックスAI部ジェネラル・マネージャーの三宅陽一郎氏が参加した。
「古い資料は、メーカー内でもあまり残っていない」
「ゲームは時間の経過とともに権利関係がどんどん複雑になり、アーカイブが困難になる」
「ゲームは動態保存のほか、中間生成物も含めた開発資料の保存や、当事者のオーラルヒストリーの収集も重要」
「日本と海外とでは、ゲームアーカイブに対するマインドに大きな違いがある。海外では、施設の運営費の一部が寄付で賄われたり、自治体の支援や学校での研究にも利用されたりするなど、地域によって支えられている」
など、識者からゲームアーカイブのさまざまな現況、問題点が挙げられた。
赤松議員は、識者や参加者からの意見をふまえたうえで、ゲームアーカイブ活動における「今後の方向性」として以下の3点にまとめた。
昨年4月に掲載した、拙稿「マンガ・アニメ・ゲームの国際拠点作りの新方針とは? 『MANGA議連』に聞いてみた(後編)」の執筆にあたり取材した、MANGA議連の会長を務める古屋圭司衆議院議員は、マンガ・アニメ・ゲームの国際拠点となる施設「メディア芸術ナショナルセンター」の完成は「順調に進めば、最短で約5年後」との見通しを示した。
MANGA議連の事務局次長も務める赤松議員は「昔は叩かれていたこともあったが、今では理解が進み、国会議員の中でもゲームの規制をしようと考えている人はいないと思うし追い風を感じる。(ゲームアーカイブを)やるにはすごくいい時期だと思うし、私も任期の間にしっかりやっていきたいと思う」とも述べていた。
2022年に当選した、赤松議員の残りの任期は約4年半。偶然なのかどうかは不明だが、赤松議員の任期満了と古屋議員が示した「メディア芸術ナショナルセンター」完成を見込んだタイミングがほぼ一致している。
もしかしたら、2028年には何か大きな動きがあるのかもしれない。今後も赤松議員やMANGA議連の動向には、大いに注目したいところだ。
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