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【河内長野市】秋祭りの最初は西代神楽から。市制70周年にも登場した300年の伝統、西代神社で奉納

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

神楽(かぐら)といえば、本来は神社の境内や社殿内で、神様の前で歌舞を奉納することを指します。

とはいえ一般的に神楽と聞くと、九州の高千穂や山陰の出雲など、日本神話を取り上げた内容である印象が強いです。画像のすばるホールで行なわれた広島神楽も、本来は出雲地方の近くで行われている神楽で、ひとつの作品では出雲神話のヤマタノオロチが披露されました。

しかし、河内長野の秋祭りの前夜に行われる市指定文化財(無形民俗文化財)の西代神楽(外部リンク)は、日本神話だけではない広い意味での神楽の一種といえるのかもしれません。

河内長野市市制70周年記念行事では、西代神楽は、だんじりパレードとは別に行われました。

本来の西代神楽は、秋祭りが始まる前日の夜に奉納されます。場所は西代神社ですが、西代神社はラブリーホールの近くにあるので、河内長野駅や市民交流センターのキックス、市役所などからも近いです。

市内でも山奥の遠い場所の神事だと公共交通派の私の場合は諦めないといけませんが、西代神社は徒歩圏内にあるのでとても助かります。

ここで西代神楽をおさらいしてみましょう。河内長野に50年間ほど藩(西代藩)が存在し、西代神社の近くに陣屋(城のようなもの。藩の政庁)がありました。

西代藩2代目の藩主・本多忠統(ただむね)1732(享保17)年に伊勢神戸に転封(異動)することになったので、その徳をしのんで西代神社に奉納したことに由来します。

西代神楽はコロナ禍での中断後、一昨年から復活しました。しかし一昨年は、雨のために室内で行われ、さらに演目も限定されました。雨の降らなかった昨年は、野外の境内でかつフルバージョンで行われました。ということで、昨年の西代神楽の様子をレポートします。

境内の中にある特設会場です。竹が四方を囲み、結界を作っています。赤い床の場所で神楽が奉納されます。周りにはござが敷いてあり、そこに座って見学ができるようになっています。

私は少し早い時間に来たのですが、この時間は最終のリハーサルをしているようでした。

19時になると、西代神楽がスタートしました。

最初に、地元選出の浦野靖人衆議院議員のあいさつです。

最初に行なわれるのが、「鈴の舞」で、これは鈴と御幣(ごへい:神道の祭祀で捧げられるもの)で、天地四方を祓い清めて舞います。

神楽を舞う獅子が持っている鈴や御幣は、よく神社の巫女さんが持っていますね。

次は「銜之剣(くわえつるぎ)」という演目で、獅子舞の後ろに人が入ったので、獅子が大きく見えます。

天地四方の邪気を剣で祓うという意味があるそうで、獅子の口に剣が挟まれています。

次は「四方掛(しほうがかり)」ですが、当時の市長だった島田前市長の挨拶がありました。

こちらは天狗で、猿田彦(さるたひこ)です。四方掛に登場します。

これは天狗が持つササラの音に先導され奮い立って舞うという内容でした。

そのあと、出席している子供たちに獅子が頭を噛みます。これは獅子がその人についた邪気を食べるという意味があります。

たまに泣き出す子もいますが、どちらかと言えば喜んでいる子のほうが多いです。

獅子が伏せているように見えます。

「扇の舞」が始まりました。

説明によると、扇を得て乱舞するとのこと。

「歌剣」と呼ばれる演目で、剣と御幣をもって舞います。

そしてこちらは剣を扇に持ちかえて優雅に舞う「古野舞」です。説明によれば「歌剣」、「吉野舞」については、天の岩戸の神事を詠んだ神楽歌があるとのこと。その他は笛、巴太鼓、締太鼓の囃子です。

ここまでの様子を動画にまとめました

ここで当時は府会議員だった西野修平市長のあいさつがありました。

このあと行われたのが「玉之舞」です。

農夫姿の人が現れました。

農夫が持っている玉を獅子に奪われるので、それを取り返そうと必死になる演目です。

獅子に取られてしまい慌てる農夫。

うまく取れずに倒されてしまう様子がコミカルです。

「西代」と書かれたゴザで、頭を隠しています。

演目はあと3つです。

「神来舞(しぐるま)」は、単調な曲合わせで鈴と御幣を持って舞うとのこと。

知らない間に多くの人が見学に来られていたようです。

その次は「白獅子」です。奮い立って蚕を取り、虫を追っているとのこと。

そして最後の花之舞が始まります。

この演目が不思議だと思っていたのは、天狗(猿田彦)が、これまでどちがって、ただ寝ている親父のキャラクターになっているところでした。

説明によれば、起しと真似師(まねし)の問答に獅子がからまって舞うとあります。

花之舞での天狗は、「真似師」と呼ばれる道化役(ピエロやクラウンのような存在)とのこと。その道化役に絡むのが、「起し」と呼ばれる立場の人です。

ふたりの絡みが面白く、漫才を見ているようでした。

そして、真似師と獅子との絡みもあります。

10ある演目の中で最も長い時間行われたのが「花之舞」でした。

笹を持っていますが、あれが花之舞の名前にあらわされる花を表しているようでした。

動画にも撮影しました。

無事にすべての演目が行われ最後に挨拶があって終わります。

2022年は雨天のため室内で開催
2022年は雨天のため室内で開催

昨年は屋外で行われましたが、一昨年は天気が悪いため、室内(武道館)で開催されました。今年はどうでしょう。晴れて本来の西代神楽が見られるのがいちばんですが、万一天気が悪くても、中止ではなく屋内で行なわれるのがありがたいですね。

西代神社

住所:大阪府河内長野市西代町16-5
日時:2024年10月11日金曜日 19:00から
地車と神輿が宮入りした宵宮の際にも奉納(外部リンク)との記載あり。

アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩11分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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