アメリカ気象局「ラニーニャ発生」と発表
10日(金)、気象庁からこのような発表が出されました。
- エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より低いなど、ラニーニャ現象時の特徴が持続している
- この特徴が冬の終わりまで持続せずにラニーニャ現象の発生に至らない可能性もある (40 %)が、発生に至る可能性の方がより高い(60 %)
ふむふむ、なるほど、ラニーニャは今年発生しないかもしれないけど、発生するかもしれないということのようです。
一方、現地時間9日(木)アメリカの海洋大気庁は、このように発表しました。
She (La Nina) is back!(ラニーニャが戻ってきた!)
こうした表現の違いから、曖昧さを好む日本人と、直球好みのアメリカ人との文化差を感じます。しかしこの相違は、日米における「ラニーニャ」の定義の違いも一因だと思われます。
ラニーニャの定義
大雑把に言うとラニーニャ現象とは、東部太平洋の赤道付近の海水温が、いつもより低い状態が、一定期間続いているか続く見込みがあることです。
日米そこは同じなのですが、(1)海水域の場所、(2)基準、そして(3)期間が微妙に異なっています(※)。こうした理由などによって、アメリカはラニーニャが起きたと言っても、日本は起きていないと言うことがあります。
天候の傾向
ところでアメリカの海洋大気庁によると、今回のラニーニャは弱く、また今冬まで続く可能性が65~75%あるとしています。
では一般的にラニーニャになると、世界の天候はどうなるのでしょう。
まず日本の場合は、西高東低の冬型の気圧配置が強まって「寒冬」になりやすいといわれています。またカナダ西部やアフリカ南部も寒冬、一方でアメリカ南部は暖冬になる傾向があるようです。
ラニーニャ史上最も暑い年?
つい先日、国連の世界気象機関が、今年は観測史上3番目に暑い年になる見通しだと発表しました。
しかし、これまで史上最も高温だった年は2016年、その次が2015年で、両年ともラニーニャの反対の現象である「エルニーニョ」が発生していました。だとすると、2017年はエルニーニョ以外の年として、史上最も暑い年になるかもしれません。
※ラニーニャの定義
<日本・気象庁>
エルニーニョ監視海域(3)の海面水温の基準値との差の「5ヶ月」移動平均値が「6ヶ月」以上続けて-0.5 ℃以下となったか、なる見込みのある場合。
<アメリカ・NOAA>
エルニーニョ監視海域(3.4)の海面気温の基準値との差の「3ヶ月」移動平均値が「5ヶ月」以上続けて-0.5 ℃以下となったか、なる見込みのある場合等。
【参考文献】
エルニーニョ監視速報(気象庁)PDF
「南方振動・海洋大気の相互作用とエルニーニョ現象の関連性」PDF