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【ロシアW杯】日本と対戦するセネガルってどんな国?―「セネタコ」がたこ焼きを救う

下村靖樹フリージャーナリスト
「セネタコ」がたこ焼きを救う(ペイレスイメージズ/アフロ)

6月24日24時から、サッカーワールドカップで日本と対戦する西アフリカのセネガル共和国(以下セネガル)。

サッカー・セネガル代表の記事は多いものの、セネガルという国についての話題が少ないので、いくつかセネガルネタを紹介したいと思います。

セネガルは1960年4月4日、現在の隣国マリと共に形成していた「マリ連邦」の一部として、宗主国フランスから独立。

同年8月20日に単独国家「セネガル共和国」となりました。

その後、複数政党制導入(1976年)、大統領選挙(2000、2007年)と、多くのアフリカ諸国で混乱が生じがちな大きな節目がありましたが、独立以来軍事クーデターや内戦は一度も発生したことがありません(アフリカでは非常に稀なケースです)。

現在も、旧宗主国フランスを始めとする先進国だけでなく、アラブ・イスラム諸国との関係も良好で、アフリカ外交において非常に重要な国になっています。

日本は1960年10月4日セネガルを承認。

以来、良好な関係が続き、1984年には皇太子同妃両殿下(現天皇皇后両陛下)が同国をご訪問されています。

たこ焼きを救うのはセネガル!?

「セネタコ」という言葉を、ご存じですか?

もし耳にしたことがなくても、気づかないうちに、口にしているかもしれません。

「セネタコ」の「タコ」は、たこ焼きに入っている、あの八本足のタコ。

そして「セネ」はお察しの通り、セネガル。

つまりセネガル産のタコを、通称「セネタコ」と呼びます。

タコ好きの方はお気づきだと思いますが、ここ最近その値段は上がり続け、高級食材の仲間入りをしつつあります。

その理由は、漁獲量の減少とヨーロッパでのタコ人気により、日本で流通するタコの約7割を占める、アフリカのモロッコとモーリタニアからの輸入が減少しているからです。

その窮状を救うために注目されているのが、「セネタコ」。

資源の減少を招くことなく供給量が向上するよう、JICA(国際協力機構)を始めとする日本の支援が行われています。

2015年にはセネガルの漁業・海洋経済大臣が来日し、自ら日本各地で「セネタコ」のアピールをされ、たこ焼きの本場大阪では好評を得ています。

(JICAウェブサイト/天下の台所の救世主!?セネガルから大臣が来日し、「セネタコ」をアピール)

「セネタコ」は、日本のタコ問題を救うスーパーサブになり得るのか?

スーパーでタコを見かけたら、是非原産国名を確認してみてください。

サッカーと人気を二分するのは、激しい格闘技「セネガル相撲」

セネガルで、サッカーと同等、もしくはそれ以上に人気があるのはセネガル相撲です。

日本の相撲と見た目は非常に似ていますが、異なるのは手による打撃が許されていること。勝敗が決するのは、頭かお尻・背中、もしくは両手両足が地面についた時です。

(Wikipedia: 「セネガル相撲」仏語版より)

有名なファイター同士のビッグマッチともなると、数万人収容できるサッカースタジアムで開催され、チケットも即完売するそうです。

そのためトップファイターは、一試合あたり数千万円の報酬を得られることもあり、将来のスーパースターを目指して多くの若者が日々トレーニングに励んでいます。

(動画)首都ダカールの海岸でトレーニングに励む若者たち。

日本とセネガルとの協力

「アフリカで暮らす日本人」というと真っ先に思い浮かぶのは、青年海外協力隊

JICAが行っているJICAボランティア事業の一つです。

現在も58人がセネガルの地で活動しています(1980年から、延べ1103人派遣)。

現地で活動されている方々のブログを読むと、現地の人たちと笑顔で映った写真がたくさんあり、アフリカの人々の生活を身近に感じることができると思います。

また、教育や保健医療、農業開発などの分野で現地の人材育成を行う技術協力。

経済社会開発のために必要な施設を整備したり、資機材を調達したりすることを支援する無償資金協力などでも、日本はセネガルの社会・経済の開発を支援しています。

日本とセネガル共和国との協力年表(PDF/430KB 外務省)

日本で触れるセネガル

食事情

セネガル料理Yassa (写真提供: Blue Baobab Africa)
セネガル料理Yassa (写真提供: Blue Baobab Africa)

セネガルではお米が主食。そして味付けも日本人好みです。

写真はYassa(ヤサ)と呼ばれる、タマネギのマスタード煮込み。

写真を提供してくれた「Blue Baobab Africa」さんによると、「セネガル人にも日本人にも人気のメジャーなセネガル料理」とのこと。

アフリカ料理店であれば、メニューにセネガル料理があるお店も多いですし、大手レシピ検索サイトには作り方も掲載されています。

興味をもたれた方は、是非チャレンジしてみてください。

音楽

セネガルの音楽といえば、昨年9月に「第29回高松宮殿下記念世界文化賞」の音楽部門を受賞された、ユッスー・ンドゥール氏が最も有名だと思います。

1959年首都ダカールで、音楽や思想・言い伝えなどを伝承するグリオ(語り部)の家系に生まれた氏は、1980年頃から活動の場を世界に広げ、1998 FIFAワールドカップフランス大会では公式アンセム「勇者たちの庭」を歌いました。

2007年に、アメリカのタイム誌で「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれたその生き様は、「ユッスー・ンドゥール 魂の帰郷」(2009年)というドキュメンタリー映画にもなっています。

他にもセネガル太鼓やダンスなど、意外と日本国内でセネガルに関係した情報はあります。

今回のW杯をきっかけに、セネガルを始めアフリカに関心を持ってくれる方が増えると、嬉しい限りです。

セネガル基本情報

(外務省ホームページより)

面積

197,161平方キロメートル(日本の約半分)

人口

1,541万人(2016年,世銀)

首都

ダカール(Dakar)

民族

ウォロフ,プル,セレール等

言語

フランス語(公用語),ウォロフ語など各民族語

宗教

イスラム教95%,キリスト教5%,伝統的宗教

主要産業

農業(落花生,粟,綿花),漁業(まぐろ,かつお,えび,たこ)

GDP

147.7億米ドル(2016年,世銀)

一人当たりGNI

950米ドル(2016年,世銀)

主要貿易品目(2016年,ITC)

(1)輸出

魚介類,金,石油製品

(2)輸入

石油製品,機械類,穀物,医薬品

主要貿易相手国(2016年,OECD)

(1)輸出

マリ,スイス,インド,コートジボワール,ギニア

(2)輸入

フランス,中国,インド,ナイジェリア,オランダ

フリージャーナリスト

1992年に初めてアフリカを訪問し、「目を覆いたくなる残酷さ」と「無尽蔵な包容力」が同居する不思議な世界の虜となる。現在は、長期テーマとして「ルワンダ(1995~)」・「子ども兵士問題(2000年~)」・「ソマリア(2002年~)」を継続取材中。主に記事執筆や講演などを通し、内戦や飢饉などのネガティブな話題だけではなくアフリカが持つ数多くの魅力や可能性を伝え、一人でも多くの人にアフリカへの親しみと関心を持ってもらう事を目標に活動している。 

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