今年の猛暑予報は確度が高い
関東甲信地方の梅雨明け
関東甲信地方は、6月29日に梅雨明けしました(図1)。太平洋高気圧が強まってきたためです。
関東甲信地方の梅雨明けの平年日は7月21日、統計をとりはじめた昭和26年(1951年)以降では、これまで最も早かった平成13年(2001年)の7月1日より早く、初めて6月の梅雨明けとなりました。
西日本では太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が流入していますので、大気が不安定となり、局地的に記録的短時間大雨情報や土砂災害警戒情報が発表となるなど、梅雨明けは関東地方よりおくれそうです。
九州北部地方と関東甲信地方の梅雨明けを比較すると、平年値では、九州北部地方が7月19日と関東甲信地方の7月21日より2日早くなっています。昭和26年(1951年)以降、今年までの68年間で、関東地方が九州北部地方より遅かったのが36回、同じ日が7回、早かったのは25回です。
関東甲信地方が九州北部地方より梅雨明けが早いのは、それほど珍しいことではありませんが、関東甲信地方の6月中の梅雨明けは早すぎます。しかし、このあと、晴れて暑い日がしばらく続くということで、気象庁は梅雨明けに踏み切ったものと思います(図2)。
今夏の予報
気になるのは、この夏はどんな天気になるだろうかということと思います。
今年、平成30年(2018年)2月25日に気象庁が発表した暖候期予報(6月~8月の予報)では、東日本、西日本、沖縄・奄美で気温が高くなる確率50%、並みの確率30%、低い確率20%となっています。暖候期予報のような予報期間が長いものは、極端なことがなかなか予想できませんので、珍しい予報と思っていました。なお、北日本では、気温が高くなる確率40%、並みの確率40%、低い確率20%でした。
寒冬と猛暑をもたらすとされるラニーニャ現象(東部太平洋赤道域の海面水温が平年より低くなる現象)が終わるものの、フィリピン近海では引き続き対流活動が活発で、その影響で猛暑となる予報です。
その後、3月に行われる再検討や3ヶ月予報(4~6月の予報)、4月の3ヶ月予報(5~7月の予報)、5月の3ヶ月予報(6~8月の予報)、そして6月25日の3ヶ月予報(7~9月の予報)についても、暑い夏という予報やその根拠はぶれていません(図3、図4)。
ぶれない予報は確度が高い予報といわれていますので、今年の夏は予報通りの「暑い夏」になりそうです。
今冬の予報はぶれた予報
昨年、平成29年(2017年)9月25日に気象庁が発表した寒候期予報(12月~2月の予報)では、東日本、西日本、沖縄・奄美で気温が高くなる確率30%、並みの確率40%、低い確率30%でした。また、北日本では、気温が高くなる確率40%、並みの確率40%、低い確率20%でした。
ラニーニャ現象が始まる可能性が6割くらいであったため、この影響をはっきりと打ち出せず、全地球的に高温になっている影響から数値予報の計算におる寒気流入の影響を少なめに考えていました。
このため、文章表現では、北日本「平年並みか高い」、東日本、西日本、沖縄・奄美で「平年並み」でした。
11月25日発表の3ヶ月予報で、東日本・西日本で、気温が高くなる確率30%、並みの確率30%、低い確率40%と、新しい情報が発表となるたびに、気温が低目の予報に変わっていました。ぶれた予報でした。
実況は、1月末から2月にかけて強い寒気が南下したため、全国的に冬の気温が低く、特に西日本は32年ぶりの寒い冬となりました。また、北陸地方を中心に記録的な大雪となりました。
ぶれていない今年の猛暑予報です。熱中症や紫外線、寝不足など体調を崩しやすい長い夏になりそうですので、水分補給や十分な睡眠をとるなど、体調管理に十分注意してください。
図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図3、図4の出典:気象庁ホームページ。