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【30kmの壁を越えられないランナーは是非挑戦を!】壁が低そうな、終盤の失速が少ない世界の大会3選

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ
写真はsvklimkinが撮影、Pixabayで公開されたもの

どんなに練習してもどんなに大会に出ても、必ず終盤に失速する。もう自分にはフルマラソンは無理なんでは?と思ったランナーはいませんでしょうか。でも諦めるのは早いです。30kmの壁を調べた研究で、世界38都市で行われた270レースの約420万件の記録を調べると、終盤に失速するランナーの割合はレースによって17.90~78.36%とかなりの開きがあることが分かりました。そして国内レースの中では失速しにくいと認知されている東京マラソンは、ここでの調査の結果は失速率が46.95%(30/38位)でした。

実は東京マラソンも終盤の失速率が高いのです。終盤どうしてもうまく走れないランナーは、東京マラソンよりも失速率の低い世界のマラソンにエントリーをしてみてはいかがでしょうか。ではそんな世界のマラソン3選をあげてみましょう。

3位 ベルリンマラソン(ドイツ・ベルリン)

ベルリンマラソン(2010~2019年で計算:対象ランナー346047人)

開催時期:9月

制限時間:6時間15分

平均タイム:4時間13分44秒

失速率:22.25%

女性率:26.6%

世界6大マラソンで唯一ランクインしました。

2001年に高橋尚子さんが、世界で初めて2時間20分を破る2時間19分46秒で優勝した大会として有名です。その後もたくさんの日本のエリートランナーが参加しており、高低差がわずか20mのフラットな高速レースとして有名です。

問題は9月開催ということ。多くの日本の市民ランナーは夏の暑さで、どうしても練習不足となりやすい時期に開催されることでしょうか。また一般ランナーとして参加する場合は抽選となっており、当選を勝ち取る運も必要になります。

RaceRaves run the world「ベルリンマラソン評価のページ

2位 ウィーンシティマラソン(オーストリア・ウィーン)

ウィーンシティマラソン(2005~2019年で計算:対象ランナー82840人)

開催時期:4月

制限時間:6時間

平均タイム:4時間3分19秒

失速率:21.01%

女性率:18.31%

2位はドイツの隣国のオーストリアからです。

この大会はあまり知られていませんが、そのコースは有名です。Nikeがキプチョゲ選手と組んで2017年にイタリアのモンツァでBreak2に挑戦して失敗したのち、2019年に再挑戦の地として選ばれたのがこのウィーンです。

そのキプチョゲ選手が夢を叶えたコースを含むウィーンマラソンのコースも、終盤まで失速しない大会のようです。国連本部「UNOシティ」やドナウ川、クラシックやオペラの街ウィーンを走ってゴールする美しいコースです。失速率の低い女性が少ないわりに、低い低失速率も魅力です。

RaceRaves run the world「ウィーンシティマラソン評価のページ

1位 ハンブルクマラソン(ドイツ・ハンブルク)

ハンブルクマラソン(2013~2019年で計算:対象ランナー79241人)

開催時期:4月

制限時間:8時間

平均タイム:4時間6分10秒

失速率:17.9%

女性率:23.27%

1位はベルリンと同じくドイツの大会です。

8時間制限なのに平均タイムは4時間6分!フラットなコースで風光明媚な光景、そして低めの女性率なのに圧倒的に低い失速率になっています。

理由は検索しても、コースが平坦、気候が安定、エイドの充実とありふれた理由しか出てきませんが、凡事徹底した結果なのでしょうか。高速コースのため、人気が上昇中のようです。

終盤が苦手なランナーも、ここでは爆走できるのでは?と期待します。

※2025年度は、もう定員に達したそうです。

RaceRaves run the world「ハンブルクマラソン評価のページ

逆に終盤に失速する大会3選

㊳シンガポールマラソン ㊲メキシコシティマラソン ㊱ホノルルマラソン

開催時期:㊳11月 ㊲8月 ㊱12月

制限時間:㊳7時間30分 ㊲7時間 ㊱なし

平均タイム:㊳5時間48分56秒 ㊲5時間8分23秒 ㊱5時間40分38秒

失速率:㊳78.36% ㊲67.65% ㊱58.84%

女性率:㊳17.07% ㊲26.38% ㊱43.59%

逆に多くのランナーが失速する大会もあります。

まず38大会中36位はホノルルマラソンでした。

12月開催のホノルルマラソンは早朝5時にスタートしますが、記録を目指すよりも景色を堪能するランナーが多く、日が出ると暑さも出てくるので失速するランナーが多いのでしょう。

そして38大会中37位はメキシコシティマラソンでした。

メキシコシティマラソンは8月に開催されるため暑さはもちろんですが、標高2000mという点も問題です。酸素濃度が低いため疲れやすく、後半失速する結果になるのでしょう。

そして38大会中38位はシンガポールマラソンでした。

シンガポールマラソンは11月末ですが、南国だけあって25度前後になることが多いようです。さらに日照と湿度も厳しいようで、マラソン評価のサイトでは過酷さが語られています。日本から参戦する場合、この時期は暑熱は脱馴化しているので、終盤の壁を乗り越えるのは至難の業でしょう。

RaceRaves run the world「ホノルルマラソン評価のページ

RaceRaves run the world「メキシコシティマラソン評価のページ」

RaceRaves run the world「シンガポールマラソン評価のページ

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は68回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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