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ユニクロ40周年感謝祭が開幕、インバウンド人気&地域共創型の浅草店では雷おこしを配布

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
ユニクロ40周年感謝祭。浅草店では雷おこしを配布した。 写真はすべて筆者撮影

 ユニクロは5月24日、「40周年感謝祭」を開幕した。1984年6月2日に広島に1号店をオープンした際、柳井正社長は目玉商品を仕込むとともに、「通勤・通学前にも買ってもらえるように」と異例の早朝6時にオープン。行列してくれたお客さまへの感謝の気持ちとして、あんぱんと牛乳を配った。そんなユニクロの創業時の精神と原点に立ち返り、感謝祭ではこれまでもあんぱんやノベルティなどを提供してきた。今年は初めての試みとして、「あなたの街の店長が選ぶ名品」と題して、店長が選んだ地域の名品を5月24日に先着で来店客に提供した。

 創業時に思いを馳せて「月寒あんぱん」を選んだ札幌澄川ミュンヘン大橋店をはじめ、「マルタイラーメン」「みっくちゅじゅーちゅ」「白えびビーバー」「横濱ハーバーダブルマロン」などが並ぶ中、浅草店では常盤堂雷おこし本舗の「雷おこし」を配布した。開店の30分前ごろから並びができ始め、開店時には300人弱にまで増えたため、用意した「雷おこし」は1時間を待たずに配布が終了。記念に写真を撮る外国人の姿も見られた。感謝祭の陣頭指揮を執る店長の下で店長代行を務める、東耕平氏に狙いと想いを聞いた。

――今回の感謝祭で「雷おこし」をプレゼントに選んだ理由は?

 東:私はこの店に今年3月に着任したのですが、2021年6月4日に開店した浅草店では、オープン時に同じものを配布させていただきました。コロナ禍もありお客さまが少ない時期もあったのですが、今はインバウンドのお客さまも含めて大変盛り上がってきました。ずっと苦楽をともにしてきたお菓子であり、感謝の気持ちを込めてお客さまにお渡しさせてもらうことで、これからも一緒に成長できたらという想いで今回も選ばせていただきました。

――浅草店のお店の特徴にも大きくかかわっていますね。

 東:このお店は大きく3つ特徴があります。ユニクロの中でも特別店であり、お花の「UNIQLO FROWER(ユニクロフラワー)」や、刺繍やプリントサービスの「UTme!」、お直しや修繕などを行う「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」などサービスや商品をフルモデルで展開するお店だということが1つ。

 2つ目は、海外からのインバウンドのお客さまが半数以上で免税比率が非常に高いお店であり、その方々に向けた商品を充実している店です。The日本を感じてもらえるような、葛飾北斎をはじめとした浮世絵や、江戸グラフィックなどのTシャツなども人気です。UTを買ったり、Tシャツやラウンドバッグなどに刺繍やプリントをしたものを着たり持ったりして浅草や日本各地を観光したり、お土産物を買うなど、観光地の一つとしてユニクロをルートに選んでいただけるようにもなっています。ユニクロを知り、日本を知るきっかけのお店という役割を持っています。

 そして、3つ目が地域密着型のお店であるということです。「雷おこし」や、エントランスにある恩田提灯の大型提灯、試着室の壁に浅草を拠点に活動する江戸の粋に影響を受けたESOWさんにグラフィティを描いていただくなど、浅草の職人の方に協力していただくなど、地域と協業し、店作りしています。“アワーネイバーフッド”をコンセプトに、地元で働く方々にエアリズムやヒートテックなどの販促物に登場していただき、企業やお店をアピールしたり、2階には地域の注目アイテムを展示した地域展示コーナーも展開しています。私たちが商売し売れているのはこういった方々の協力があってこそ。街の方々にもインバウンドの方々にも幅広く愛される店として、浅草の街に興味を持っていただくきっかけとして、一緒に街を盛り上げ、地域の発展を考える場、提案する場、実現する場を目指しています。

――ユニクロの40年の歴史のうち、東さんは何年をユニクロとともに過ごしていますか?

 東:今28歳で、2022年3月に入社し、埼玉県越谷市にあるユニクロレイクタウン店を皮切りに、豊橋、岐阜、そして浅草で働いてきました。まだ2年3ヵ月ほどですが、小学生のころからユニクロで買い物をし、家族とお世話になってきたので、ユニクロ歴としては17年になります。

――これから10年後、20年後、40年後に向けて、ユニクロをどんなブランドにしていきたいですか?実現したいことは?

 東:これからも一人ひとりのお客さまに最適な商品を提供できるように、店長やスタッフの皆と力を合わせて、幅広いお客さまの欲しいものが必ずあるように、もっともっとお客さまの想像を超えるサービスや商品を提供していくように努めていきます。LifeWearのコンセプトのもと、世界中のお客さまの生活水準を上げるためには、現場がとても重要です。目の前のお客さまを大切にしながら改善し続けたいと思っています。将来的には地域に密着した商品の開発や生産に携わりたいですね。

――地域との取り組みで今企画中のものは?

 東:6月7日から浅草店の開店3周年を記念した「東京下町祭り」を実施します。店長とともに地域の企業やお店の方々と相談しながら、浅草を知ってもらい、盛り上げられるような商品や企画などを仕込んでいるところです。地域の方々にもインバウンドの方々にも喜んでいただけて街を発展させられるような取り組みをこれからも続けていきたいと思っています。

*感謝祭は6月2日まで開催。5月24~27日の4日間は1万円以上の購入者に40色を用意したステンレスボトルを提供する(各日上限あり)。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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