H&Mが原宿に日本初の新コンセプト店開店 商品を厳選、女性特化、セルフレジやゆったりテラスも
スウェーデン発の「H&M」(ヘネス&マウリッツ)が新しいコンセプトストアを世界の主要都市に出店している。今年2月にオープンした米国・ニューヨークのSOHO店では、北米初のセカンドハンド・ストア(中古品を扱う)“H&M Pre-Loved” をショップ・イン・ショップ形式で導入。3月にオープンした英国・ロンドンのチェルシーにあるキングスロード店では、コスメを展開するビューティスペースを広くとったり、リアルとECを融合したサービスを強化。そして、今日(4月18日)、JR原宿駅前のWITH HARAJUKUにオープンした日本初の新コンセプトストアでは、広めのフィッティングルームや、ベンチやテーブルを配したテラスを設け、ゆっくり過ごしたり国内外のファッション誌を見てインスピレーションを得るなど、滞在型の提案をしている。初めてセルフレジも導入した。
新コンセプト店に共通しているのは、多品種を擁する「H&M」の中から、ウィメンズに特化し、さらに絞り込んだ商材をファッションギャラリーのように展開している点だ。内装やインテリアも白やベージュを基調に洗練された空間を創造。より高い質のショッピング体験を提供することを目指している。
原宿では2008年、「H&M」の日本2号店として銀座店に続きオープンし、「コム デ ギャルソン」とのデザイナーズコラボレーションを打ち出したことなどもあり、話題を呼んだ。けれども、コロナ禍もあり、2022年8月に閉店していた。
アネタ・ポクシンスカH&Mジャパン社長は原宿という場所について、「日本のファッションやカルチャーを代表するとても重要な場所。インフルエンサーも多くいる。しかも、原宿駅前で多くのお客さまがいらっしゃる素晴らしいロケーションに新店をオープンできてとても嬉しい」とコメント。
新店舗の特徴については、「最新の体験をしていただける新しいコンセプトを導入した店舗。ウィメンズウェアに特化し、H&Mの中でも特にファッション性が高くトレンド感のあるアイテムをコーディネーションして提案している。原宿の場所に合った商品も用意している。このお店で一番自信を持っているのが、私たちがずっと提案してきたアフォーダブル(手が届きやすい)な商品を、より質の高い形で提供していくこと。それが良いコンビネーションで実現できたお店になっていると思っている。より質の高い体験も提供していきたい。日本では他にない、唯一無二の店舗として運営していく」と意気込む。
ウィメンズに特化したことについては、「原宿はファッションの街。ファッションにおいて女性が大きな影響力を持ち、しかも原宿は他の方々に影響力を持っているお客さまが多い。そういうお客さまとの関係性を構築できたらとウィメンズに特化した。メンズは近隣の渋谷や新宿などの店舗を利用していただければ」と説明する。
原宿といえば若者の街としても知られるため、「H&M」が展開する「DIVIDED」(ディバイデッド)ラインを訴求するかとも思われたが、あえて今回は外している。その理由について、「『DIVIDED』のラインを好まれるお客さま層がいらっしゃることは承知しているが、私たちが提供するウィメンズラインの中にもそういった方々に気に入っていただける商品がたくさんあると自負している。選んでいただけるようなキュレーションや見せ方など工夫しながら、お客さまニーズに沿った商品展開をしていきたい」と語る。
原宿店の売り場面積は700平方メートルで、コンパクトな1階はイントロダクションコーナーとして商品ディスプレーと、5メートルを超える大サイネージで注目商品を紹介。中2階とメインフロアの2階で構成する。フィッティングルームはウッド調で高級感があり、友人や家族と一緒に楽しめるワイドルームを用意。「モダンなショッピング体験につながる」というセルフレジも導入した。
デザイナーズコラボなど特別コレクションなども随時打ち出していく。開店時には韓国デザイナーズブランド「rokh」(ロク)とコラボした「rokh H&M」も発売するため、一時的にメンズ商品も展開することになる。
価格は引き続きリーズナブルながら、従来の「ファストファッションのH&M」のイメージを覆す、新コンセプトの原宿店は、「H&M」の新しいサステナブルなビジネスモデルのチャレンジとして要注目だ。
<H&M原宿店 写真ギャラリー>