きのう26日から今季最後のカード・広島3連戦を行っている阪神ファーム。きのうは予定通り鳴尾浜での開催でしたが、きょう27日とあす28日は場所が甲子園に変更されています。これは掛布雅之ファーム監督の退任が発表されたことによって、鳴尾浜では収容しきれないお客様が来られるだろうと予測し、1試合でなく2試合だったのはお天気を考慮したためでしょう。
それに加えて狩野恵輔選手の引退発表もあり、きょう27日はセレモニーが予定されています。安藤優也投手も登板するみたいですね。そこで、もしかして狩野選手がボールを受けるのでは?なんてことをチラッと考えました。タマスタで軽くキャッチング練習らしきことをやっていたのを見て。これは単に私の“妄想”だと思っていたら…なんと!本当に実現するそうですよ。掛布監督、ありがとうございます。
その時に狩野選手は「2009年に作ったんだけど、そのあと外野をやることになって。あまり使ってないんですよ」と言いながら、すごく手入れの行き届いたキャッチャーミットを持ってきていました。手を入れる部分に名前がずらりと刺繍された子どもさんたちも大きくなって…。春のキャンプ中に、安芸市営球場を走りまわっていた頃が懐かしいですね。
同じく今季限りでの引退を発表した広島・江草仁貴投手も、きょう登板するそうです。1軍ではないのは残念だけど、両チームで労をねぎらってもらう、いいタイミングかもしれません。
両チームといえば、1999年9月28日、由宇での広島戦に勝って2年連続9度目のウエスタン・リーグ優勝を決めた時、広島と阪神に在籍した片瀬清利投手も両チームの選手たちに胴上げされました。目を真っ赤にした片瀬投手を見て引退を悟ったことを覚えています。そして矢野耀大選手も、鳴尾浜のウエスタン・中日戦で両チームの選手たちにそれぞれ胴上げされましたね。その件はのちほど。
初めて場所を移して行われたのは…
2009年9月23日のことです。同9月18日に引退を発表した(田中)秀太選手の引退セレモニーを行うため、場所が鳴尾浜から甲子園に変更されました。これは前代未聞のこと。しかも雨天中止になっていたソフトバンク主催ゲームを、前日に続いて阪神の本拠地で行う“振替試合”だったので阪神が先攻なんですね。でもユニホームは阪神がホーム用でした。
試合は、1回に先制されますが4回に秀太選手の右前打から4安打を集めて追いつき2対2。ところが7回、四球で出した走者を犠打、内野安打で進め、なんとセカンド・秀太選手の送球エラーで還してしまいました。8回にも2点を追加され、9回に阪神が1点返したものの、5対3で敗れています。2番セカンド→ショートでフル出場した秀太選手は4打数2安打という結果です。
甲子園でのファーム公式戦最多となる7054人のお客様に見守られた試合後のセレモニーでは、ソフトバンクの柴原選手、阪神の福原投手、そして秀太選手の子ども3人から花束が贈られました。続いてマウンドではなくセカンドの位置で胴上げ。そのあと、お客様やチームメイトに促され?走り出した秀太選手。二塁、三塁を回ってヘッドスライディングでホームイン!大きな拍手と声援の中、セレモニーが終了しました。
会見で感想を聞かれ「もちろんさみしいですが、まだ実感がないと言えばないし。それよりも試合でミスしたことを反省している方が大きいかな。最後はいい結果でと思ってたんで、2本打てたことはよかったです」と答えています。ファンの皆さんの秀太コールは?「すごくありがたいし、こんなにもお客さんが入ってくれたことがうれしかった。こんなに応援してもらってたんだなと、今まで以上に感じました」と答えています。
最後のヘッドスライディングについては「予定はなかったんですが、何かしろってみんなに言われて…。気持ちよかったです」とのこと。そして「こんなに盛大な引退試合をしていただいて、いろんな方に感謝の気持ちを伝えたいです。ほとんど2軍にいたし、チームメートはもちろん、本当にたくさんの人に支えてもらいました。きょうで終わりですけど、もうやり残したことはないと思って、あしたからまた違う道で頑張ります」と締めくくりました。
では続いて、過去に鳴尾浜で行われた“引退試合”を3つ、ご紹介します。すべて当時、私が書いた記事からの抜粋です。
2010年9月25日 矢野耀大選手
次は、矢野選手が去って1年後の鳴尾浜です。下柳投手本人のコメント等がなくて…すみません。
2011年9月23日 下柳剛投手
そして、その翌年には城島選手の引退試合が行われています。城島選手は1軍でのセレモニーを固辞、この日の鳴尾浜でマスクをかぶって別れを告げました。やはり本人のコメント等はありません。ご了承ください。
2012年9月29日
ここでご紹介したように、引退という形で見送ってもらえる選手は、ごくわずかです。自分自身で“終わりのとき”を決められる選手も本当に少ないでしょう。中には「これが最後の打席」「これが最後のマウンド」と知らないまま、ユニホームを脱ぐ選手も…。そんな季節が、もうそこまで来ていることを改めて感じました。
<掲載写真は筆者撮影>