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“セクシークイーン”アン・シネがプロなのに日本のプロテストにエントリーした理由。合格まで狭き門だが…

金明昱スポーツライター
アン・シネが今年の日本の女子プロテストにエントリーしたことがわかった(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

「とりあえず(アン・)シネは日本の女子プロテストにエントリーしましたよ」

 アン・シネをマネジメントする「NOW ON」に確認したところ、そう答えが返ってきた。

 昨年ファイナルQTまで進んだアン・シネは、11月の最終プロテストからの出場資格がある。

 まさか本当にプロテストを受けるとは思っていなかったので、正直驚いたが、アン・シネ自身もこの判断にはかなり迷っていたと思う。

 なぜアン・シネはプロゴルファーであるにも関わらず、日本のプロテストを受けることになったのか。

 日本のプロテストは1次予選(8~9月)、第2次(9~10月)、最終(11月)と続き、上位20位タイまでが合格となる。

 今年は例年のプロテストにも増して熾烈な争いになるといわれている。

 その理由の一つは、今年からQT(予選会)への出場条件が大きく絞られ、LPGAの「正会員」にほぼ限られること。

 つまり、プロテストに合格して「正会員」になることでQT出場の権利を確保し、少しでもツアーに出場できる道をつくっておく必要がある。

 アン・シネがプロテストを受ける大きな理由がこれにあたる。

 正会員の資格を持っておかなければ、QT出場資格がなくなり、日本ツアー出場への道が断たれる恐れがあるからだ。

立ちはだかる“プラチナ世代”

 しかし最終プロテストで合格できるのはたったの20人と狭き門である。

 「いやいや、プロのレベルであれば、余裕で合格できるはず」と思うかもしれないが、今年のプロテストは例年に比べて、ハイレベルな戦いになると予想されている。

 今年プロテストを受ける選手の中には、“プラチナ世代”と呼ばれる実力者が多数存在する。

 古江彩佳と西村優菜がその筆頭だ。共にナショナルチームでプレーした2000年度生まれの“プラチナ世代”。二人はすでにレギュラーツアー出場経験があり、ローアマチュアを獲得するほどの実力を持つ。

 1次予選は古江が1位、西村が2位。3位以下を10ストローク以上引き離して、危なげなく2次予選に駒を進めた。

 実は他にも強い選手はまだいる。

 過去3年間の日本女子アマ優勝者と日本女子オープンローアマチュア獲得者は、最終プロテストからエントリーが可能。

 そこに該当するのが、日本女子アマ優勝者の安田祐香(17年)と吉田優利(18年)。日本女子オープンでローアマを獲得している小倉彩愛(17年)、後藤未有(18年)だ。

 また、今年から規定が変更され、現在の高校3年生(開催年度4月2日時点で満17歳以上)も受験可能となったこともプロテストをさらに過酷にしている。

 それに該当するのは、今年の日本女子アマで優勝したジャンボ尾崎の門下生、西郷真央らだ。

“次世代クイーン”のユ・ヒョンジュもエントリー

 すでに海外でプロの資格を持っているにも関わらず、日本ツアーQT出場資格を得るため、プロテストを受験する韓国人選手もいた。

 1次予選を27位タイで通過した韓国選手のキム・アイン。アマチュア時代は現在世界ランキング5位のイ・ジョンウン6(今季の全米女子オープン覇者)とナショナルチームで共にプレーしたこともある逸材で、年齢は今年12月に24歳を迎える。

 ただ、韓国での実績はほとんどなく、活路を日本に見出そうとしているようだ。

 昨年のファイナルQTで“次世代クイーン”と注目を浴びたユ・ヒョンジュは、今年度TP単年登録者(1年だけの登録者)なので、最終プロテストから受験が可能。

 彼女も「日本のプロテストを受ける」と断言しており、確実に出場してくるだろう。

 高校生、ナショナルチームを経験したトップアマ、さらにプロゴルファーも入り混じる今年のプロテスト。ピリピリとした雰囲気の中、誰が最後に合格を勝ち取るのか注目したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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