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ネット通販、アパレルがついにコンピュータ機器を上回った事実

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
ニューヨークので発表された「トミー ヒルフィガー」の16/17年秋冬コレクション(写真:IMAXtree/アフロ)

米国の市場調査会社、コムスコアがまとめた最新のリポートによると、同国のネット通販市場では、衣服やアクセサリーなどのアパレル商品の売上高が、コンピューター機器の売上高を上回ったという。

アパレルは19%増の515億ドルに

これは昨年1年間における同国のネット小売り販売データをまとめたもの。それによると、コンピューター関連機器は長年、同国のネット通販で最も売上高が高いカテゴリーだった。

これには、パソコンやタブレット端末などのコンピューター機器や、モニター、キーボードなどの周辺機器が含まれるが、コムスコアによると、その昨年1年間におけるネット販売売上高は前年から5.3%増加し、499億ドルとなった。

これに対し、衣料品、靴、ハンドバッグなどのアパレル商品の売上高は前年比19%増の515億ドルとなり、初めてコンピューター機器を上回った。これを詳しく見ると、アパレルの売上高は、昨年の4四半期中、3四半期でコンピューターを上回っている。

そしてその要因には、ここ最近顕著になっている2つの消費者動向があると、コムスコアは指摘している。

アマゾンのアパレル事業が好調

1つは、米アマゾン・ドットコムの「プライム(Prime)」をはじめとする商品配送プログラムの普及。これにより消費者は都度の送料を気にすることなく、気軽に小口の注文ができるようになった。

こうした送料無料(プライムなどは年額制の有料プログラムなので、厳密には無料ではないが)や返品無料のサービスが、アパレル商品のような比較的少額の注文をしやすくしており、この分野に力を入れているアマゾンのアパレル販売は好調に推移しているという。

米国の金融サービス会社、コーエン&カンパニーの試算によると、アマゾンにおけるアパレル商品の売上高はすでに、コンピューター機器と非アパレルの売上高を上回っている。

この状況が今後も続けば、アマゾンのアパレル事業の規模は、衣料品販売で米最大手のメイシーズを上回ると、同社は予測している。

mコマースが急拡大

そして、アパレルのネット販売が伸びているもう1つの理由は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を利用するネットショッピングの普及にあるという。

このコムスコアのリポートについて伝えている米ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、mコマースとも呼ばれるこうしたモバイルショッピングの昨年10〜12月期における売上高は、1年前の107億ドルから156億ドルへと拡大した。

消費者は、スマートフォンなどで、これまになく気軽にショッピングをするようになっている。

モバイルショッピングにおいては、購入の意思決定が簡単に行える比較的低安価な商品が売れる傾向にあり、アパレルはコンピューター機器よりもその恩恵を受けていると同紙は伝えている。

JBpress:2016年4月8日号に掲載:オリジナルタイトル「米ネット販売アパレルが最大のカテゴリーに、コンピューター機器を初めて上回る」)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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