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韓国の事例から考える「ザックジャパン・23人に入れたい選手」

海外組17人、国内組6人(うちGK3人)

ザック・ジャパンに先立つこと4日、ブラジルワールドカップに臨む韓国代表の最終エントリーが発表となった。

メンバー詳細はこちらに。

平均年齢25.9歳(同国ワールドカップ代表史上最も若い)で、欧州組10人、Jリーグ3人、中国3人、中東から1人、そして国内組は6人(フィールドプレーヤーは3人)。これが昨年6月にフル代表監督に就任したホン・ミョンボが選んだ「11ヶ月の結実」だった。自らが指揮を執ったロンドン五輪代表チームからは10人、直前で負傷などでメンバー外となった選手を含めると約半数の12人が選ばれている。1トップの有力候補とされながらここ数年アーセナルでほとんど出場機会のなかったパク・チュヨン(現在はワトフォードにレンタル移籍中)もメンバーに加わった。

元Jリーガーの落選

9日、ソウル郊外パジュの代表チームトレーニングセンター「パジュ」で開かれた発表で最大の話題となったのが、水戸、鹿島、磐田でプレーした左サイドバック、パク・チュホ(マインツ)の落選だった。先月頭から足の指の負傷が悪化、ワールドカップに向けて手術を終えリハビリを行っている状況だった。

実際にホン・ミョンボも会見でまず、自らパクについて触れている。

「彼がいないということは一度も考えたことがなかった。今日の午前中まで悩んだ」。

岡崎のドイツでのチームメイト(日本語ペラペラ)でもあるパク。ドイツから早期帰国してまでも大会に備えたパクだったが、最終的には「ベストコンディションの10%にも満たない」との報告がなされた。ホンは代役と8日の朝にロンドン五輪代表のユン・ソギョン(QPR)の選出を決定した。

ユンがCBとサイドバック兼任の選手である点が興味深い。これにより、CBとサイドバックの兼任選手がユンのほかに東京、大宮でプレーしたキム・ヨングォン(広州恒大)と合わせて2人が入ることになった。ザックジャパンで選出が予想される選手には、両サイドバックをこなす選手はいるもののCBとの兼任者は少ない。今野泰幸が前任の岡田武史監督時代に経験したが、現監督の下では目にした記憶がない。

いっぽう日本の良さとして、メンバー入りの可能性が高い長友佑都、酒井高徳の2人が両サイドバックをこなす点がある。韓国にこういった存在は皆無。両国の育成の結果として興味深い。

この比較の観点から、エントリー入りの可能性を考えてみたい選手がいる。日本が23人で5試合(ベスト8進出時)を戦うことを想定した場合……DFで最後に加えるべきピースは、伊野波雅彦ではないか!? 日本で数少ない、CBとサイドバックをこなす選手だ。「守備的サイドバック」が多くない中、置いておきたい選手でもある。

Kリーグ最高選手も落選

いっぽう、もう一人の落選選手については記者団からの質問によりホンが口を開くことになった。現状のKリーグナンバーワンプレーヤーといえるイ・ミョンジュ(24歳/ポハン)についてだ。

運動量豊富なボランチとして、ロンドン五輪後に頭角を現した。昨季、所属クラブを昨年度のKリーグとカップ戦の「ダブル」達成に大きく貢献。前任のチェ・ガンヒ監督時代にはワールドカップ最終予選の最後の局面でフル代表に初招集され、結果を残した。しかしホンの評価は「とてもよい選手だと思っている。しかし海外の選手との競合でメンバー入りには至らなかった」。

概ね好意的に見られている今回の最終エントリー選出のなかで、パク・チュホの落選、パク・チュヨンの選出(端的にいうと”ひいきが過ぎる”との目線)と並んでの「問題点」となっている。

コアなサッカーファンからは「Kリーグを見ていない証拠」といった声が挙がった。ロンドン五輪代表でともに戦ったパク・ジョンウ(広州富力/中国)、ハン・グギョン(柏)、キ・ソンヨン(サンダーランド/イングランド)との競合に勝てなかった。この点はさすがに9日の会見でも「一部選手にこだわりすぎたのでは」との声が上がった。ホンはこう答えている。

「ロンドン五輪の選手は大会直後にもう忘れた」

しかし、結局は11ヶ月という短い時間では、それ以外の好素材をチームに当てはめるのが難しかったか。イ・ミョンジュは予備エントリー枠の7人に入っている可能性はあるが、ホンはこれを公表せず、「各自に通知を行う」としている。

Kリーグ最高のMFは発表直後、10日のリーグ戦で先制ゴールと2アシストを決めた。これでKリーグ新記録となる「10試合連続得点・アシスト記録」を達成。メディアはこの活躍を強く報じた。チームは2位に勝ち点4差をつける首位、ボランチながら得点ランキング3位に入っている。

あくまで韓国との比較との話だが。国内リーグ最高の選手をメンバーに入れないと、雰囲気が悪くなる。

何が言いたいかというと、「大久保嘉人」「佐藤寿人」、両選手の話だ。ただ、ザッケローニのミッションはあくまで「ブラジルワールドカップで結果を残すこと」であり、厳密にいうと「日本サッカー界全体を考えること」ではない(=ブラジルでの成績により、結果的に全体に貢献することだ)。だから「国内組だから選べ」というのは強く推しづらい部分もあるのだが。とはいえ、FWの人選で決定的な選手が欠けるようにも見えるから、「J最高選手」のメンバー入りはなんら無理のない話だ。

以上、4日前に発表を済ませた韓国とのちょっとした比較の話でした。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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