モテないけれど「いい人」を救え! マチコドットコムの登場~お見合いおじさん活動月報(3)~
自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。
僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらとこちら)。活動ペースは月2程度。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4名の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。
僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1名のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4名います。「私は婚活自体に向いていないことがわかった」と去って行った人も4名いますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。
結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。
*****
女性ですけど「おみおじ」になれますか?
おみおじを始めて3度目の春を迎え、かすかな手ごたえを感じています。「大宮さんのおかげで結婚できました!」という報告が続々と集まっているわけではありません。見知らぬ人から「私にもいい人を紹介してください」といった問い合わせは増えていますけど、原則としてはお断りしています。だって、僕とつぼいさんは単なる個人ですし、有料の結婚紹介所を開設するつもりは毛頭ないからです。自分たちの友人知人のお世話をするので手一杯ですよ。
手ごたえとは、「私もお見合いおじさんになります!」と宣言する既婚男女が周囲に少しずつ増えていること。恋バナが好きなのは独身者だけではないのです。既婚者だって恋バナしたい。でも、夫婦のラブラブ話を披露するのは野暮だし、不倫の恋は公言するものではありません。既婚者の恋バナは、親しい独身者の恋愛と結婚のお手伝い話が王道だと思います。小津安二郎映画に出てくるお節介おじさんみたいなイメージですね。
「私は女性ですけどおみおじに参加できますか? 長く婚活をしてきて、ようやく婚約者ができました。自分が婚活で得た知識やノウハウを誰かのために使いたいし、独身の女友だちにはすでにいろいろアドバイスしています」
ある食事会で元気で知的な女性に話しかけられました。家業を経営している38歳のMさんです。たいていの女性は好きになる僕ですが、Mさんとは特に仲良くなれる気がしました。遊び心があって人懐っこいけれど礼儀正しくてスマート。人間関係における距離感のようなものが相棒のつぼいさんと似ています。僕が好きなタイプです。
イニシャルがMの女性なので、つぼいさんは懐かしのアニメ「まいっちんぐマチコ先生」のオマージュで「まっちんぐマチコ先生」と命名。つぼいさん、発想が昭和だね……。
マッチングが得意なマチコ先生の知見と人脈は「マチコドットコム」と名づけ、大いに活用させてもらいましょう。オネットとツヴォイ、そしてマチコドットコムが夢の提携です!
お見合いをして自分から断ったことは一度もありません
マチコ先生にさっそくお願いがあります。僕たちのおみおじ会員で最も心配な若林義彦さん(39歳)と会ってほしいのです。有料の結婚相談所を2つも掛け持ちして婚活している義彦さんですが、今のところ成果はありません。義彦さんのほうからはお断りしたことはなく、すべて女性から断られています。真面目でいい人なんですけれど、「男っぽさ」が感じられなさすぎるんですよね……。
マチコ先生、彼に改善を促しつつ、可能であれば心優しい独身女性とマッチングしてくれませんか?
「私は女友だちには『狙った男性をゲットする方法』などを伝授しています。でも、男性にアドバイスしたことは一度もありません。女性に比べると男性は変わりにくいと思うのですが、大丈夫でしょうか?」
その点は心配ありません。僕たちがお世話している男性4人に共通する特徴は「素直であること」だからです。素直さって大事ですよね!
先月の日曜日に、東京・日本橋にあるカフェで面談をセットしました。参加者は、マチコ先生とつぼいさん、僕、そして義彦さん。3人で寄ってたかって義彦さんを応援しましょう。
といっても、義彦さんとの付き合いが長い僕は彼に厳しくなりがちです。「話が長いわりにつまらない! だからお見合い相手から好かれないんだよ」なんて言ってしまいます。ここはマチコ先生とつぼいさんにお任せしましょう。
「今までお見合いした中で、特に『いいな』と思った女性はどんな人ですか?」
さすがはマチコ先生。前向きな質問です。義彦さんに紹介できそうな女性像をつかみたいのでしょう。しかし、義彦さんはいつものペースで回答します。
「どの女性も良かったです。写真で見るよりも表情があるほうがいいので。会話がテンポよく続いて、気がついたら(お見合い時間である)1時間が過ぎていたりすると、また会いたいなと思いますね。でも、次につながらないことのほうが多いです。断られてしまう理由はよくわかりません」
いつも以上に声が小さい義彦さん。断られることが続いて意気消沈しているのでしょうか……。
「誰でもいい」という気持ちは相手の女性にも伝わってしまう
義彦さんには根本的な改善点があります。マチコ先生が女性の本音を代弁してくれました。
「結婚できれば誰でもいいという気持ちは、相手の女性にも伝わってしまいますよ。ある程度、好きなタイプを絞ったほうがいいと思います。10人中10人がいいのではなく、10人中1人を好きになる感覚です」
うーん、なるほど。勉強になります。といっても、恋愛経験がゼロに等しい義彦さんは「自分はどんな女性が好きなのか」を具体的にイメージできない様子。ここでつぼいさんがアドバイス。義彦さんの趣味の一つである「鉄道の写真を懸命に撮っている人たちの写真を撮る」を活用しようというのです。
「撮り鉄の写真を撮るのが好きなんて、面白すぎますよ。テッパンネタです。その話をして、積極的にのってくれるオタク気質の女性だけを選べばいいんです」
さすが渋谷生まれのシティボーイ。強気ですね! マチコ先生は補足したいことがあるそうです。
「結婚を考えている女性は、男性がちゃんと働いていることを確認したいものです。趣味の話もいいけれど、仕事でのテッパンネタを用意してください。単なる失敗談ではなく、仕事を愛していることが伝わってくる話だといいですね。尊敬する先輩や上司の話なども女性は大好きです」
最後に、ちょっとナヨナヨした雰囲気の義彦さんをカッコ良くする方法をみんなで考えました。外見は大事ですからね。具体的には、姿勢を良くして、眼鏡と髪型を変えることです。
義彦さん、今回のアドバイスをすべて実行してください。その間に、僕たち3人が総力を結集してお見合い相手を探します。特にマチコドットコムに期待ですね。マチコ先生、義彦さんを好きになってくれそうな独身女性、いませんか?
(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)