なぜバルサはレヴァンドフスキを獲得できずにいるのか?デ・ヨングの“売却”の可能性と財政の問題。
トップターゲットの確保に向けて、動いている。
2021−22シーズン、バルセロナは無冠に終わった。リーガエスパニョーラではレアル・マドリーに優勝を譲り2位でフィニッシュ。コパ・デル・レイでは準々決勝で敗れ、ヨーロッパリーグにおいてはベスト8で敗退した。
新たなシーズンを前に、シャビ・エルナンデス監督は補強を望んでいる。ラフィーニャ(リーズ)、セサル・アスピリクエタ(チェルシー)、マルコス・アロンソ(チェルシー)、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、ジュール・クンデ(セビージャ)…。多くの選手が補強候補に挙げられるなか、指揮官が要望しているのはロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)の獲得だ。
「僕の移籍でバイエルンがお金を得るのがベストだと思う。僕の契約が終わるのを待つよりもね。強硬で移籍しようとは考えていない。最善の解決策を模索すべきだ」
「バイエルンは世界最高峰のクラブだ。多くの選手が、バイエルンでのプレーを夢見ている。僕たちは敵じゃない。だから、早く解決するように願っている。必ず合意を得られるはずだ」
これはレヴァンドフスキの言葉だ。
■バイエルンの思惑
レヴァンドフスキは2023年夏までバイエルンと契約を結んでいる。バイエルンとしては、この夏にレヴァンドフスキを放出するのであれば、その売却値で収入を得たいところだろう。クラブ経営という観点で、それは当然の姿勢だ。
バイエルンはレヴァンドフスキを“言い値”で売ろうとは考えていない。移籍金5000万ユーロ程度を要求している。さらに、移籍金に関して分割払いではなく一括払いを求めているようで、これが交渉を難航させる一因となっている。
もうひとつ、問題がある。フレンキー・デ・ヨングの去就だ。
2026年夏までバルセロナと契約を残しているデ・ヨングだが、マンチェスター・ユナイテッドから関心を寄せられている。ユナイテッドが移籍金固定額6500万ユーロ(約91億円)+ボーナス2000万ユーロ(約28億円)のオファーで獲得に動いている。
「デ・ヨングはバルサの選手だ。将来的に、我々が彼を売るメリットを感じなければ、バルサの選手であり続ける」とはジョアン・ラポルタ会長の言葉である。
「我々はデ・ヨングを売りたくない。彼にオファーが届いているのは知っている。将来的には分からないが、今は彼を売ろうと考えていない」
■所属選手の年俸
バルセロナはラ・リーガのサラリーキャップ(移籍金の減価償却費・選手年俸等の限度額)において問題を抱えている。
現在、バルセロナのそれは5億1600万ユーロ(約722億円)だといわれている。その額を4億ユーロ(約280億円)程度まで引き下げようとしている。
今季、デ・ヨングが受け取る年俸は1800万ユーロ(約25億円)前後だとされ、この辺りがバルセロナのジレンマになっている。デ・ヨングがバルセロナに残るためには、減俸を受け入れる必要があるかもしれない。
ジョゼップ・マリア・バルトメウ前政権で、バルセロナは選手たちの年俸を引き揚げすぎた。ネイマール、ルイス・スアレス、リオネル・メッシをはじめ、ウスマン・デンベレ、フィリップ・コウチーニョ、アントワーヌ・グリーズマンと加入するプレーヤーに次々に高年俸の契約を用意した。
ラポルタ会長就任後、そこのテコ入れを始めた。メッシ、グリーズマン、コウチーニョを放出して、デンベレもこの夏に契約満了を迎えた。手を施してきてはいる。だが、まだ調整が必要なのが現状だ。
先日、バルセロナはアメリカの投資会社であるシックスス・ストリートと合意している。2億750万ユーロ(約285億円)の投資を受け、その代わりにリーガエスパニョーラのテレビ放映権収入の10%を25年にわたり同会社に譲渡する。現在、さらに15%をほかの企業あるいはファンドに売却することを検討している。
バルセロナは、この夏、フランク・ケシエ、アンドレアス・クリステンセンを獲得した。だが、まだ彼らの選手登録を行えてはいない。まずは売るべきものを売り、サラリーの調整をして、補強に動かなければいけない。