オートバイのあれこれ『カワサキの“必殺仕置人”?350アベンジャー』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今宵は『カワサキの“必殺仕置人”?350アベンジャー』をテーマにお話ししようと思います。
カワサキは『マッハ』シリーズや『Z』シリーズで世界に名を馳せたわけですが、その前段階の、世界へ躍進する土台づくりをしたオートバイの一つが『350A7 アベンジャー』です。
350A7は、『250A1 サムライ』のワンクラス上のモデルとして1967年(昭和42年)に登場、「アベンジャー」はこの350A7のアメリカでのペットネームでした。
350A7に搭載されたエンジンは、空冷2ストロークの並列2気筒。
250A1のエンジンを247ccから338ccまで拡大し、ピークパワーは40.5psまで増強されていました。
2ストマシンならではの軽量な車体も相まって、350A7は650ccクラスのビッグバイクにも遜色ない加速力(ゼロヨン加速13.6秒)と最高速(175km/h)を発揮し、デビューするやいなや日本でもアメリカにおいても高評価を得ることに成功しました。
350A7におけるこの成功は、後の『マッハ』シリーズ展開への布石となります。
その他、250A1の格上モデルとして質感も重視されていて、燃料タンクには鏡面が美しいメッキがあしらわれ、またシートもタックロールタイプを採用。
ちなみに、車名の「アベンジャー」は直訳すると〈復讐者〉や〈報復者〉といった意味で、より日本語的に意訳すれば〈仕置き人〉のようなニュアンスだと思われます。
何に対する報復、お仕置きなのかは定かではありませんが、おそらくは、当時日本の二輪メーカーはまだまだ後進・発展途上で、それを見下していた欧米老舗メーカーに向けて、カワサキが「見返したる!」という反骨精神をほのめかしていたのかもしれません。