41歳のDHが選んだのは、パドレスではなくナショナルズ。昨年は32本塁打。450本塁打まであと1本
ネルソン・クルーズは、ワシントン・ナショナルズの「初代DH」として開幕を迎える。今シーズンから、ナ・リーグもDHを導入する。
契約の合意を最初に報じたのは、ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールだ。MLB.comのマーク・フェインサンドによると、契約は1年1500万ドルだという。2022年が年俸1200万ドル、2023年は年俸1600万ドルの相互オプションだ。オプション破棄の解約金は300万ドルなので、クルーズは少なくとも1500万ドル(1200万ドル+300万ドル)を手にする。フェインサンドはこの前に「クルーズの選択肢はドジャースとパドレスに絞られた」とツイートしていたが、クルーズが選んだのは、ロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスのどちらでもなかった。
クルーズがナ・リーグのチームでプレーするのは、メジャーリーグ1年目の2005年以来となる。この年の出場は8試合しかなく、ホームランは打っていない。翌年の夏、マイナーリーグでプレーしていたクルーズは、カルロス・リーとともにミルウォーキー・ブルワーズからテキサス・レンジャーズへ移り、以降、ア・リーグの5チームでプレーしてきた。
現在の年齢は41歳。7月には42歳となるが、クルーズのパワーは衰えていない。昨シーズンは、ミネソタ・ツインズとタンパベイ・レイズで計32本塁打。短縮シーズンの2020年も、53試合で16本のホームランを打った。その前の6シーズン(2014~19年)は、いずれも37本塁打以上(平均40.7本)だ。通算本塁打は、ともに殿堂入りしているジェフ・バグウェルとブラディミール・ゲレーロに並び、史上40人目の450本塁打にリーチをかけている。MLB.comのサラ・ラングスは「開幕時点のクルーズは41歳と280日。ナショナルズ/エクスポズでホームランを打った、この年齢かそれより上の選手は1人だけ。1988年4月16日のグレイグ・ネトルズが43歳と240日」とツイートしている。ナショナルズは、2004年までモントリオール・エクスポズだった。ネトルズがエクスポズで打ったホームランは、この1本しかない。通算本塁打は390本だ。
クルーズがナショナルズで450本塁打に到達するのは、まず間違いない。また、同じドミニカンのホアン・ソトと、打線の中軸を担う。ちなみに、ソトは23歳だ。クルーズがメジャーリーグで最初のホームランを打った当時は、7歳だった。
ただ、シーズンが終わるまで、クルーズがナショナルズにいるかどうかはわからない。2019年にワールシリーズを制した後、ナショナルズは2年続けて地区最下位に沈んでいる。昨年の夏は、マックス・シャーザー(現ニューヨーク・メッツ)とトレイ・ターナーをセットでドジャースへ放出し、他にもカイル・シュワーバーら数人を手放した。その一方で、今オフに総額500万ドル以上の契約で迎え入れた選手は、クルーズを除くと皆無だ。
ローテーションのトップ2にはスティーブン・ストラスバーグとパトリック・コービンが揃い、打線にはソトとクルーズ、ジョシュ・ベルを擁するものの、ストラスバーグは故障が多いということもあり、同地区のメッツやアトランタ・ブレーブスと比べると、十分な陣容ではない気がする。