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間もなくゴング! 4団体統一スーパーミドル級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 ついに今日、4団体統一スーパーミドル級タイトルマッチのゴングが鳴る。前日計量を、チャンピオンのサウル・"カネロ"・アルバレスは167.5パウンド、挑戦者のジョン・ライダーはリミットいっぱいの168パウンドでパスした。

写真:ロイター/アフロ

 58勝(39KO)2敗のカネロは「試合当日の夜、"何かスペシャルなもの"を届ける」と語った。

 会場となるメキシコ、ハリスコ州グアダラハラのエスタディオ・アクロンには5万人を超える地元ファンが、祖国の英雄を待ち受ける。カネロがメキシコのリングに上がるのは2011年11月26日以来のことだ。

 カネロは続けた。

 「12年ぶりのメキシコ。特別なファイトだ。俺は、このグアダラハラの小さなアリーナでキャリアをスタートさせた。そして今、メキシコ国内でも有数のスタジアムで国中の方々から大きなサポートを得ている。自分のキャリアの中でベストな夜になるに違いない。今、本当に興奮しているよ。

写真:ロイター/アフロ

 もちろん、グアダラハラでファイトすることは常に考えていた。同胞がこのような反応を見せてくれるのは嬉しいし、ありがたい。俺はこの瞬間を心から楽しんでいる。光栄だし、自分を誇りに思う。すべてを出し切るつもりだ。

写真:ロイター/アフロ

 長い間、グアダラハラでは練習していなかったので、ここでのキャンプは気分が違った。雰囲気も格別だ。家族がここにいるし、祖母もいる。最高の1カ月だったよ。

 エディ・レイノソもこう言った。『これは非常に大きなイベントだから、楽しめ』って。すべての人に感謝している。

 ジョンはサウスポーで、優秀なファイターだ。どこからでもパンチを放ってくる。序盤は少し難しさを感じるだろうが、最終的には俺の経験がモノを言うだろうよ」

写真:ロイター/アフロ

 32勝(18KO)5敗の挑戦者、ジョン・ライダーにとってグアダラハラは、完全なる敵地だ。

 とはいえライダーは、いつも不利な状況に置かれながらキャリアを重ねてきた男である。2019年に同じ英国人のライバル、カラム・スミスに判定負けした際には、物議を醸した。今尚、ライダーの勝利を唱える人は多い。

 その後、4連勝し、実力を示した。が、スミス戦で好調だったライダーも、COVID-19のパンデミック中に活動を休止せざるを得なかった。

写真:ロイター/アフロ

 「2019年は素晴らしい年だった。ベガスでの試合が組まれ、その後にスミス戦があった。人々は私の判定負けにネガティブな感情を持っているようだが、自分はあの一戦から多くの信用を得た。今でも勝ったと思うけれどね。私には確かな勢いがあった。勢いって活力になるだろう。2020年、2021年のビッグファイトに向けて準備していたんだ。ついにチャンスを掴むことができるって感じていたら、コロナウィルスに見舞われた。悪夢のような2年間だったよ。

 これで終わりかもしれないと悩んだ時期もあった。でも自分は、ボクシングで何かができると信じて、やり続けたんだ」

 ライダーはボクシングだけでは食えず、ロンドン東部のナイトクラブで用心棒として働き、糊口を凌いだ。

 「その後、スポンサーがドアマンの仕事を斡旋してくれ、友人たちと一緒にやっていたんだ。助かったよ。社会的にも良いことだった。ボクシングジムでヘトヘトになる日々のなか、ドアマンとしての仕事はいい休憩になった。長時間労働だから、正直に言えばボクシングには不向きだけれど、金曜の夜は楽しく過ごせたよ」

写真:ロイター/アフロ

 カネロは2011年3月5日にWBCスーパーウェルター級王座を獲得してから、ずっと第一線で活躍してきた。一方のライダーは、WBA、WBOの同級暫定王者となったことはあるが、スターダムに躍り出たことは無い。それだけに飢えた状態にある。敢えて述べるなら、挑戦者には<咬ませ犬の牙>がありそうだ。

 さて、どんな試合となるか。見逃せない一戦である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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