年俸調停を申請の33人中7人は、選手と球団の申請額に100万ドル以上の差。最大差は250万ドル
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)とホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)をはじめ、年俸調停の申請権を持っていた100人以上の選手は、球団と合意に達し、年俸調停を回避した。ちなみに、大谷の年俸は3000万ドル、ソトは2300万ドルだ(「調停回避の年俸がホアン・ソトより高かった選手は、その後どんな契約を得たのか。大谷翔平は来オフにFA」)。
年俸調停そのものについては、2年前にこちらで簡単に説明した。
◆「大谷翔平の「年俸調停」についてゼロから知りたい人のために」
一方、申請期限までに合意できなかった選手は、33人を数える。彼らは、年俸調停を申請した。例えば、エンジェルスの場合、9人中3人がそうだ。ハンター・レンフローの場合、レンフローとエンジェルスの申請額は1190万ドルと1125万ドル(65万ドル差)。ジオ・アーシェラは1000万ドルと840万ドル(160万ドル差)、ルイス・レンヒーフォは230万ドルと200万ドル(30万ドル差)だ。年俸調停を申請しても、調停前に合意するケースは多いが、調停まで進むと、年俸はどちらかの金額となる。
33人のうち、アーシェラを含む7人は、選手と球団の申請額に100万ドル以上の差がある。
なかでも、カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)とボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)は、その差が大きい。2人とも、選手と球団の申請額は750万ドルと500万ドル。隔たりは250万ドルだ。また、選手の申請額からすると、球団の申請額はその3分の2ということになる。次に金額の開きが大きい、200万ドル差のテオスカー・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)は、1600万ドルと1400万ドルなので、マリナーズの申請額は、テオスカーの申請額の8分の7だ。
タッカーもビシェットも、今オフ、初めて申請権を手にした。2022年の年俸は、76万4200ドルと72万3550ドルだった。
タッカーはライトを守り、2年続けて30本のホームランを打っている。2022年は25-25を記録した。遊撃手のビシェットは、2年連続20本塁打以上とリーグ最多安打だ。2021年は191安打、2022年は189安打を記録した。
いずれも、球団が長期の延長契約を交わしてもおかしくない選手だ。実際、両球団はそうしたいと思っているらしい。MLB.comのマーク・フェインサンドらによると、アストロズとタッカー(の代理人)は、昨オフに契約延長の交渉を行っていたという。ビシェットに関しても同様だ。昨年の開幕直後、ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、ブルージェイズがビシェットに複数年の契約を申し出たが、合意には至らなかった、と報じている。このままいくと、2人とも2025年のオフにFAとなる。
なお、タッカーとビシェットは、チームメイトのなかに、彼らを上回る――少なくとも打撃においては――若きライジング・スターがいる点も共通する。2022年のMVP投票3位と2021年の2位、どちらも大谷に次ぐ順位のヨーダン・アルバレスとブラディミール・ゲレーロJr.だ。
昨年6月、アストロズはアルバレスと6年1億1500万ドル(2023~28年)の延長契約を交わした。ブルージェイズとゲレーロJr.は、昨オフに続き、今オフも年俸調停を回避。年俸は、790万ドルから1450万ドルにアップした。ゲレーロJr.も、FAになるのは2025年のシーズン終了後だ。
アルバレスの延長契約については、こちらで書いた。