「お通じ」の良い人の食事の特徴は?鍵は「リコピン」と「αカロテン」。1万2千人解析【最新論文】
お通じの悩みを「薬」に頼るのは得策ではないかも
食事中だったらごめんなさい。
日本では女性の11人中5人、男性でも4人に1人は「お通じ」(便秘)に悩まされていると推計されます. [厚生労働省「2019 年 国民生活基礎調査の概況」(35頁)] 。もしかしてお困りでは?
いろいろな薬が出ているので自分に合った薬が見つかれば、問題は感じないかもしれません。でも以前ご紹介した通り、下剤の常用は将来の認知症リスクを上昇させる危険性が指摘されています。できるのであれば、お薬なしで解決したい問題です。
とはいえ「繊維質の多い食物はたくさん食べているし、水分もしっかりとっている。それでもお通じがよくならない」と悩んでいる方も多いでしょう。]
1万人以上のデータを解析して分かった「お通じの良い人がよく食べているもの」
そんなあなたに朗報です。お通じの良い人たちの食事を調べたら、意外なものが関係していました。それは「リコピン」と「αカロテン」。"BMC公衆衛生学"という学術誌が8月22日に掲載した論文をご紹介します。書いたのは中国・蘭州大学のJiangnan Wang氏たちです [文末文献1] 。
Wang氏たちが今回解析したのは、米国で実施された全国調査です。任意抽出された約1万2千人のデータを解析しました。
その結果、女性の11%、男性の5%が便秘を訴えていました。
そして女性では食事で「αカロテン」をたくさん摂っている人ほど、便秘を訴える可能性が低くなっていました。男性では「αカロテン」と便秘の間に関係はなかったのですが、食事で「リコピン」をたくさん食べている人ほど、便秘に悩まされる確率は低くなっていました。
論文著者は「リコピン」や「αカロテン」にお通じ改善作用があると考察
この結果では「リコピン」や「αカロテン」以外で便秘に影響を与えそうな要因の影響が、統計学的に除外されています。そのためWang氏たちは「リコピン」や「αカロテン」そのものに便秘を回避させる作用があると考えています(論理的にはそうではなく、それらを豊富に含む食品の「何か」が作用している可能性もあり)。
リコピンは腸管の「炎症や酸化ストレスを抑制」、あるいは「腸内細菌叢の改善」を介して腸の機能を正常化させる可能性が示されています。一方「αカロテン」も「抗炎症作用」や「抗酸化作用」を持つのは確認されていますが、腸管への作用は今一つ明らかになっていないとのことです。
ともあれ、お通じの良い人たちの食生活に倣って損はないでしょう。トマトが「リコピン」に富んでいるのはよく知られた話。プチトマトなら簡単に食べられそうですね。また「αカロテン」が豊富なのはニンジンとカボチャ。調理がめんどうならお惣菜を買うときの目安にしましょう。
まとめ
いかがでしたか?意外な食材で便秘を改善できる可能性があるという論文でした。食事については以下のような論文紹介記事も書いています。こちらもぜひ、お読みください。ではまた!
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今回ご紹介した論文
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【注意】本記事は最新の医学論文についての紹介あり、研究結果の内容はあくまでも「論文筆者」によるものです。また論文の解釈は論者により異なる可能性もあります。あくまでもご自身の見解形成の参考としてお読みください。