米どころ近江八幡の「水無月」お米の旨味が凝縮された、【和た与】さんのういろを季節の装いで
創業約160年、滋賀県近江八幡市にお店を構える「和た与」さんは、滋賀県を代表する銘菓のひとつ、丁稚羊羹発祥のお店としても有名です。
竹皮にこし餡を包むという蒸し羊羹は、近隣の方々から次第に多方面へとその人気が広がり、丁稚奉公先のあちこちの都でも販売されるほどに。その蒸し技術を遺憾なく発揮された名物のお菓子がもうひとつ。
米どころ、近江の美味しいお米だけを使用した米粉からできる「ういろ」は、日本の美味しさがぎゅっとつまった和菓子。
米粉を水で溶いたものにお砂糖などを加えていく作り方もありますが、和た与さんでは、ざらめを溶かした蜜を冷ましてから米粉に加え、空気を含ませながら攪拌なさるという特徴が。蜜を加えるタイミングや温度、空気の含ませ具合などは、職人さんの技の見せ所。長年の経験をもとに、その日の気温や湿度等微妙な加減によって微調整をしながら、絶妙な具合に仕上げてきます。
今回はそのういろが水無月仕様におめかしした、「水無月ういろ」をご紹介。
白、抹茶、黒糖の三種類をいただきました。
白は、和た与さんのういろの美味しさを最もシンプルに味わえる一品。咀嚼した瞬間、粘り気ともちもちとした重厚感のほかに、どこか空気を含んだような軽やかさを感じるのもまた印象的。「詰まっている」とはまた別物なんですよね。ぽわん、とした生菓子ならではの食感。
噛むたびにお米の旨味がじわじわと強くなり、小豆の蜜煮とはまた別のほっこりとする甘味に舌鼓。
抹茶と小豆の組み合わせはもう、言わずもがなですよね。美味しくないわけがない。ういろそのものの甘味が立ち、抹茶のほろ苦さや香りはあとから追いかけてきます。
ちょっと意外だったのが、黒糖。白と抹茶よりも、ぷるん、とした瑞々しさと弾むような弾力、そして歯切れの良さが際立ちます。そのおかげで、非常に鮮烈な沖縄県波照間産の黒糖のエキゾチックな香りが心地よいまますっと体にはいってきます。
近江八幡市は、八幡堀をはじめとする歴史情緒ある街並みも魅力の一つ。映画やドラマなどのロケ地としても有名です。
時代が変わっても愛され続ける、心和むようなお米の美味しさを、ぜひ街の雰囲気と一緒に味わってみてくださいね。